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テンプレ的プロローグ

息抜きです

 気が付いたら見知らぬ部屋にいた。

辺り一面真っ白な部屋。その中央に一つだけ椅子が置かれている、ただそれだけの部屋。

何故こんなところにいるのだろうか、そう思いここに来る前に何があったのか思い出そうとする。


「あっ」


そうだ、あれは確か――



自分の名は山中竜治、しがないサラリーマン5年目の27歳である。

別にそこまでブラックといほどでもなくかといってそこまでホワイトでもない働きやすい職場であるが給料は安い。

家と会社の往復ばかりで趣味らしい趣味もないが竜治はこの生活に不満はなかった。

しいて言えば可愛い彼女がいないことぐらいだろう。

今日も今日とて営業という名のさぼりを公園にて行っているところである。

遊ぶ子供たちや談笑する老人たちを見ながらちびちびと缶コーヒーを飲みながらタバコに火をつける。

そうしてゆっくりと過ごしながら、そろそろ仕事に戻ろうかとそんな事を考えながら空になったコーヒーをゴミ箱に捨て公園を去ろうとする。

ふと気分を変えて公園の左の道を行く。

赤信号をのんびりと待っていた竜治の背中が“トンッ”と押されて車道に倒れていく。

そんな彼の視界に最後に映ったのは愕然とした表情でこちらを見つめる女子高生の顔だった。



そうだ、思い出した。信号待ちをしていたら急に押されたんだ。そうしたら意識が遠くなって――


「気が付いたかの」


そう声をかけられ正面を見ると先ほどまでだれも座っていなかった椅子に人影がある。

それはまるで老人のようで少女のようで、あるいは少年のようで成熟した女性のようでもある。

何を言っているのか自分でも理解できないが、目の前にいるはずの相手の姿がわからないのだ、そのことに竜治が混乱していると


「無理に理解する必要はない。いや理解できんと言うべきか。わしは君たちの言うところの神というものにあたる」


「神……様……?」


「そうだ。神とは特に君たち日本人にとっては様々な姿を持つ。だから君が私の姿を理解できないのも仕方がないというものよ」


「えっと、その神様が何で俺なんかに?」


「君は最後のことを覚えているかね?」


「ええ覚えています。俺は死んだんですか?」


「そうだ。だが実はあそこで死ぬはずだったのは女子高生の方だったのだよ」


「それってどういうことですか?」


「本来はスマホを見たままの彼女が交差点に進入し轢かれるはずだった。だが予定と違って君がそこにいたため、君が代わりに押し出されて死んでしまった。だからな君にもう一度人生をあげようと思ってな」


「もう一度ですか?」


「そう、あの世界の君は死んでしまったのであそこに戻すことはできないが、別の世界なら問題はない。それともあの世に送った方がいいかね?」


そう言いながら神様はこちらを見つめてくる。あの世に行くか別世界に行くかなんてそんなのは答えは決まっている。


「別世界へ連れて行ってください」


「本当にそれでいいのかね?」


「はい、だって人生まだまだやり残したことがあるんです。まだ生きられるなら生きたいんです」


「良かろう。では君を異世界に送ることとする」


そう言いながら神様が手を横に振ると周囲が光に包まれていく。

だんだんと視界も光に埋め尽くされていく中


「では良い旅をな」


そんな声を確かに聞いた。


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