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神々の闘争 War of the spirits  作者: ラザニャン
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レインⅠ 2章・魔術師⑤

説明回最後です。

 8




 先の説明から約10数分後。自分の知らなかったことが一気に脳内に流れ込み、それを脳細胞がフル回転で処理して熱を帯びたような感じになっている。

 少し時間をかけていったん整理し、一呼吸置いた。


「えっとつまり、天体同士の衝突による()()()から〈魔族〉が溢れてる今、俺に魔術師としてその〈魔族〉との闘争に参加して倒してほしい。そして、一般人への被害を無くしてほしい──で、いいんですよね」

「おお、だいぶ察しがよくなってきたな。そういうことだ」

「でも、俺に〈魔族〉なんかと互角にやりあえる力なんて……」


 強気の意識をイメージしたものの、たった一体の〈魔族〉にあそこまで苦戦したほどだ。もう一度あの数を相手にしても拮抗する自信はない。

 すると、中路(なかみち)はニッと口角を釣り上げた。


「リン坊、霊装(れいそう)をもういっぺん出してみろ」

「霊装?」

「夕方、お前さんが〈魔族〉相手に顕現させた衣だよ」

「ああ、あれか」


 膝下に巻き付いた感覚──とは言っても、動き阻害するものではなく促進する矛盾した感覚。あの時感じた体が一気に軽くなった──いうならば、自分の身体が自分ではない、でも自分のままというような未知の体感。


(なんか、不思議だな)


 あれほど緊迫していた状況だったのに、細部がちゃんと浮かび上がってくる。

 イメージを強くして、一気に膨らませた。


「……あれ?」


 変だ。出てこない。なんでだ。特に見落としなんてないはずなのに。


「どうした?」

「あ、いえ、あの……」


 焦る。確かに力が解放寸前になる感覚はある。それを出せばいいだけなのに。出し方がわからない。


「リン坊、霊装(そいつ)を顕現した時、どんな気持ちだったんだ?」

「どんなって、(まい)を助けたくて──」

「じゃあ、その気持ちを押し出してみろ。なんで助けたかった? 助けてどうするつもりだった?」


 目を瞑り、心と対話をするように意識を深く深く潜らせる。


 ──なんで……理由なんてない。助けたかったから。

 ──どうする……無事でよかったって安堵したかったから。


 その時、外にあった何かが変化し、自分のからだを包み、僅かに中からも溢れる感じがした。


「それがお前さんの()()だ。誰かを助けたい。守りたい。その気持ちを忘れるなよ」

「すごい。あの時より……」


 一目瞭然だった。薄い光のベールは幾重にも重枚され、一着の羽衣と化していた。シュッとして無駄が全くないシルエットの上に、ふうわりとヒラヒラの半透明の布地が舞い、淡く(かがや)く霊装の神秘性を強調していた。


「数値なんかで測れるものではないが、参考までに言っておくと、この段階で能力は生身の3倍程度だ。単純に考えて50キロの握力が150キロになったってことだな」


 3倍……。それなら、あの大群相手にも十分対抗できる。この力があれば──守れる。


「守りたい気持ち。か……」


 〈魔族〉を打った拳を静かに見つめる。


「俺のはどっちですか?」

「どっちとは?」

「この魔術が精霊か異能かです」


 中路(なかみち)の方を見ることなく尋ねる。


「精霊だ。少しばかり異能も含まれているがな」

「やっぱりそうか……」


 精霊魔術師ならば、精霊本体を使役していなければならないはずだが、俺にはその心当たりがない。ならば異能かと考えたが、それも違うと断言できる。なぜなら、力は()()()()()()()感じだったからだ。


「リン坊、ほれ」


 ヒョイッときれいな曲線を描いて広げた手のひらに何かが投げられた。


「今後しばらくお前さんの闘う武器だ。しっかり持っておけよ」


 俺は何も言わずに投げ渡された武器──短剣を、懐にしまった。


「よし、準備はできたな。早速だが、ポイントに移動するぞ」

「ポイント?」

「今回の〈魔族〉が発生すると予測を立てた地点だ」

「へぇ、そんなこともできるんですね」


 中路(なかみち)は、ふふんっと自慢げに鼻を高くした。


「さあ、レッツゴーだ!」

「──って、え? ぶっつけ本番? 俺、戦い方知らないけど!?」

「ぼくが説明する前に使ったんだから、何とかなるだろ。なに、骨なら持って帰ってやるから」


 扉の前に立った中路(なかみち)は、当たり前だろ──と言わんばかりの表情でグッジョブしてきた。


「縁起でもないことを言うなああァァッッ!」




 *




「リン坊、やっぱり今日はもう帰れ」

「色々急ですねッ。ほんッとにッ!」

「なんだ、ご機嫌斜めか? 忙しい奴だな」

「純度100%であなたのせいだってことは言わなくてもいいですか? いいですよね? 言いませんよ?」

「ほうほう。で、誰のせいなんだ?」

「言わないからな!」


 レッツゴーと言った思いきや、180度変わって帰宅勧告。スライム並みの柔軟性を持っていても対応しきれない。


 乗るな乗るな。相手は怪物。人間の常識が通用しない相手。このタイプの相手は学校でもほぼ毎日相手をしてるじゃないか。系統はまるっきり違うけれど。


「で、なんで帰らなきゃいけないんです?」

「親御さんが心配するからに決まってるからだろ?」

「チクショウこの支離滅裂ド正論星人めッッ!!」


 中路(なかみち)本人は、なぜそんなことを聞いてくるんだ? という顔をしていた。

 こればかりには、突っ込まざるを得ない状況だったと言い訳をするしかない。


「帰れ──というのもな、予測地点に〈魔族〉が現れるのは明日なんだ」

「明日? 随分時間があるんですね」


 なぜかすんなりと話が繋がった。中路(なかみち)のペースにじょじょに慣れつつあるのかもしれない。


「そうだ。だから今日はもう寝た方がいい。早くなるからな。それじゃ、お休み」


 そう言われた瞬間、視界がドニャっと歪んだ。


「えっ、は? ちょ──」


 遠くから起こしに行くからなー。と声がしたが、どこから聞こえたのかは掴めなかった。

 そして気が付けば、俺は自室に戻っていた。


「──なんなんだよ、もう。わけわかんねぇ…………」


 前言撤回。やっぱり慣れてなんかいない。断じて。

 頭痛のような気疲れの後、今までにないくらいの大きなため息を5回ほどついた。

遅くなったことをごめんなさい。

そして先に言います。励ましのコメント等を少しでもいいのでください。


難しいんですよ、説明回(言い訳)。

書いては消し、書いては消しの繰り返しで、結局本腰を入れられたのは投稿1週間前というありえない大惨事。

しかもなんかめっちゃ長くなったし・・・・・・。


作者の超絶低語彙力を何とかカバーしようと頑張ったんで、不自然な点があっても冷酷な判断→バックだけはしないで・・・・・・(ガクブル)。


次回からやっと、予定通りの思うような内容を書けると思うので、お願い見て頼みますお願いします(超弱音)。


by外出自粛によって6畳の部屋に閉じ込められ、マンネリ化しつつある猫より

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