獣の島
リオン達が暮らすこの世界には、地上と空に大地がある。空の大地『浮遊島』の総数は未だに特定されていない。空を無数に流れる島々を全て数えるには、全ての島へ印をつけるか、宇宙から観測するしかないだろう。
一方、地上にも大小無数の島々が存在するが、大陸と呼ばれるほどのものは五つだけだ。
リオン達の育ったエメネア王国がある『ペルニカ』を中心に地図を描くと、大雑把に南西に『アフィリア』、北に『ユーレジオ』、東に『キャメルノーズ』、南東に『ブラン』といった配置となる。
国の数は、地上だけで百以上。浮遊島でも国と認められるレベルの共同体が確認されており、その数は今後増えていくことだろう。そして百を超える国々のおよそ八割から九割は、その五つの大陸の内にある。残りの一割から二割は、大陸から離れた島国だ。
件のバレアス――正式には『聖バレアス教国』――は、その少数派に含まれる。
ペルニカ大陸からは北西の方角にあるが、船で向かうには少々距離がある。アフィリア大陸やユーレジオ大陸からも同様だ。距離から言えばブラン大陸が近いのだが、間に魔物の危険な海域があり、船で向かうにはその海域を迂回しなければならない。
そんな位置条件のせいもあって、魔空船が開発されるまでの外国との交流はゼロに等しい。現在でも独自の宗教観から生まれる排他的な思想、特に人間至上主義ともいえるその教理から、永らく鎖国状態が続いている。現存する国の七割以上が加盟する冒険者ギルドにも非加盟であり、そのため大陸諸国に比べ、技術レベルや文明レベルがやや遅れているらしい。
そんなバレアスが何故、世界最先端の技術である魔空船を有しているのか。
それは数年前に起こった、ある事件が原因となっていた。
聖バレアス教国は、その大仰な名の通り宗教国家である。
国家元首は『聖皇』と呼ばれ、その地位は世襲制。教義の全てが記された経典『バレリア聖典』を絶対の法としており、国民の全てが厳格に法に従って生きている。
そしてその経典には次のような一説があるという。
『神は自身の子である人間に、この世界を賜った。そして愛しき子の僕として亜人種を、糧として草木と獣を作られた』
この一節により、バレアスは人間至上主義国家となり、亜人――バレアスにいるのは獣人と魚人がほとんどだが――は全て奴隷として迫害されているらしい。
余談だが、この教えの影響でバレアスにはペットを飼うという文化が無いという。動物は全て人間の糧であり、家族や友として愛情を注ぐという行為が理解できないようだ。
そんな人種差別が法として許された国に十年ほど前、とある悲惨な事件が起きた。
『バレアスの獣』
のちにそう呼ばれた事件はギルド所有の魔空船が一隻、バレアスに不時着したことから始まった。
魔空船の製造法が世界に知られ始め、冒険者ギルドが各国に支部を広げ始めた頃のことだ。加盟の輪を広げようと、ギルドもあちこちに魔空船を飛ばし、各国と交渉すると同時に地上の調査に躍起になっていた頃でもある。
そんな中、ユーレジオから西に向かっていた小型調査船が不運にも故障。バレアスの東端に緊急着陸した。
突然不時着した魔空船に、バレアスは大混乱だったらしい。何せ得体の知れない金属の塊が空から降ってきたのだ。技術発展が遅れ、他国との交流も無いバレアスからすればまさに未知との遭遇。中世のヨーロッパにジェット機が飛んで来たようなものだ。船に乗っていた冒険者達に向けられる感情も、決して穏やかなものとはならなかっただろう。
おまけにバレアスは遥か昔から現在まで鎖国が続いている。そんな国では当然、言葉も通じない。交渉も碌にできなかっただろう。
さらに不運は重なった。
その船に乗っていた調査員が全員、獣人だったのだ。
先にも述べた通り、獣人を含む亜人種は全て、バレアスでは人間の下僕――奴隷である。そして奴隷の所有物は、主である人間の所有物だ。
結果、乗っていた魔空船はバレアスに略奪された。今回の島にやってきたという魔空船は、その時の船か、それを研究し新たに作られた物なのだろう。
なお、その事件の後、ギルドから何度となく人間の職員が交渉に訪れたが、魔空船の返却はなされていない。そして、船に乗っていた獣人の調査員は全員処刑されたと告げられたらしい。
だが冒険者ギルドは、未だに生存の可能性を信じて懸命に交渉を続けているとのことだ。
初めて訪れた浮遊島にて、虎男ダルルガルムとの出会いを果たしたリオン達。彼から宗教国家バレアスの調査団と思わしき連中の話を聞き、その痕跡を掴むため、案内を受けることになった。
それから五時間後。案内された先での調査結果を持ち帰ったリオン達は、リリシアズアークの着陸場所まで戻ってきていた。別行動していたミリル達とも、無事に合流している。
「で、案内された場所で、こいつを見つけたってわけね」
ジェイグの土魔法で簡易的に作ったテーブルの上を思案顔で見つめるミリル。
そこにはリオン達が持ち帰った魔術陣を書き写したメモと、バレアスの国旗が拡げられている。
「この魔術陣は、目印と考えていいのか?」
「間違いないわ。対となる魔導具を使って、印の場所を特定する魔術。三十日っていう有効期間はあるけど、距離の制限はない。とっても便利な魔術ってわけ」
「陣を消すことは?」
「消しても無駄ね。正確には、この魔術の効果は陣そのものじゃなくて、その土地に直接刻まれるわけ。一度発動すれば、陣を消しても土地に刻まれた印までは消せないわ」
ミリルがめんどくさそうに肩を竦める。
「ということは、バレアスの連中は一ヶ月以内にここに戻ってくるつもりというわけか」
ここを離れてから一週間以上は経っているらしいので、残っているのは二十日くらいだろうか。
「じゃあ今後の方針を決めよう。といっても、大きく分けて選択肢は三つだけどな」
そう言うと、リオンは右手を全員に見えるように持ち上げて人差し指を立てる。
「一つ目は、この島に関わらず、すぐに立ち去ること。撤退だな」
メリットは、一国と余計な諍いを起こすリスクを避けられることだ。浮遊島は他にもたくさんある。あえてこの島にこだわる必要はない。
「だが初めての浮遊島冒険が、これで終わりというのも味気ないよな。それにこの程度のことですぐに撤退を選ぶなんて、俺達らしくない」
「そんなのつまんないニャ」
猫耳と尻尾をシュンとさせ、拗ねた子供のように足をプラプラさせるファリン。他の面々も同様に、このまま撤退など納得できない様子。
「なら二つ目。このまま黒の翼単独で探索を続行すること」
メリットは、この島で発見できる資源や素材をある程度独占できること。さらにはギルドへの報告がスムーズになるということだ。
ビースト――とりあえずダルルガルム達をそう呼称することにした――という新種族だけでも大発見だ。他にもこの島には新種の動植物が多く見られる。ギルドの学者達は泣いて喜ぶだろう。それにミリル達からの報告では、魔石や魔鉄などの鉱脈の反応もあったらしい。この島の価値は、文化的にも生物学的にも物質的にも計り知れないものになるだろう。
当然、それらの調査をこちらで事前に済ませておけば、この島の有用性も説明しやすくなるし、ギルドとしても調査団を派遣しやすくなる。調査もスムーズに行えるだろう。
まぁこの島に価値があるのは、バレアスにとっても同じ。ゆえにこの選択肢を選べば、パーティー単独でバレアスと敵対する危険性が高い。
「仮にバレアスと交渉しても意味はないだろうな。なにせギルド非加盟国だ。冒険者の言う事なんて聞く耳持たないだろうし、加盟国のルールも適用されない。おまけにこの島には、奴らが欲している鉱物資源が眠っている。間違いなく独占を狙ってくるだろう」
全く厄介なことになった、とリオンが肩を竦めてため息を溢す。
「それともう一つ厄介なことに、バレアスは人間至上主義らしい。亜人ならばなんであろうと全て迫害の対象となっているそうだ」
「なるほどねぇ。そんな連中がビースト達をどう扱うかなんて、考えるまでもないわね」
リオンからの情報に、ミリルがあからさまな嫌悪の表情を浮かべる。そういう亜人差別をする国や地域が未だにあることは知っていても、やはり不快感は否めないのだろう。同じ亜人であれば尚のこと。ミリル同様に獣人であるアルやファリンも、特に反応が顕著だった。
もちろんそれを不快の思うのは、ティアやジェイグも同じ。そもそも亜人の排斥思想は、自分達にとっては大事な家族への明確な敵対行為だ。
もっともその悪意が直接的な害にならない限りは、進んで関わり合いになるつもりもないが。
「まぁあまり面白い話ではないが、会ったばかりのビースト達のために、俺達だけで一国の調査団相手に喧嘩を売る義理はないな」
基本的にリオンの行動原理は、家族が最優先。家族の命を守るためなら、他人の命を切り捨てることに躊躇いはない。
とはいえ、リオンの本質はお人好しだ。自分達の手が及ぶ範囲であれば、誰かを守るために戦うことにもまた躊躇いはない。
「そこで最後の選択肢、一つ目と二つ目の折衷案。探索組と撤退組を分ける。撤退組は魔空船でギルドへ向かい、応援を呼んできてもらうことになるな」
この方針を選ぶのが、最も無難だろう。
ギルドが来るまでの間に手に入れた素材は独占できるし、単独パーティーで国を相手取る必要もない。ギルドから評価と報酬も得られる。
何よりギルドが正式にこの島を管理下に置けば、いくら非加盟国と言えどそう簡単に手出しはできない。ギルドと直接敵対すれば、それはすなわち加盟国すべてを敵に回すようなものだ。ギルドが来れば、ビースト達の安全も保障されるだろう。
「まぁこの島の資源の独占を狙っているであろうバレアスには悪いが、こっちにもギルド所属の冒険者として通すべき筋もある。引き際はしっかり見極めるが、ひとまずは三つめの方針で行こうと思う。構わないか?」
確認を取るが、全員特に問題はないようだ。
「ミリル、バレアスみたいな目印となる魔術は使えるか?」
「あたしを誰だと思ってるわけ? そんなのよりもっと便利なやつだって使えるわよ」
実に頼もしい笑みと発言にリオンは頷くと、残留組とギルドへの報告組の編成を告げる。
「ならギルドへの報告はミリルとアルに頼む。報告するギルドの選択は任せるが、あまり時間もない。なるべく近いギルドの方が良いな。ただしあまり規模が小さくても対応が遅くなる。そのあたりは考慮してくれ」
「ま、仕方ないわね」
「え~、オレも残留組が良いよ」
すんなりと了承したミリルと違い、お使いを頼まれたアルはつまらなそうにしていた。
「悪いが我慢してくれ。島の調査にティアとジェイグは外せないからな」
「じゃあファリンでもいいじゃん」
「ランクが上で男のお前の方が、ギルドから信用されやすいだろ。それに、ギルドより先にバレアスの連中が戻って来る可能性が高い。奴らと事を構えることになれば、闇属性持ちのファリンの方が相手の動向を探りやすい」
「……まぁそういうことなら」
リオンの説明に反論を封じられたアルが、少しふてくされながらも承諾した。
ちなみに今言った以外にも、班分けの理由はある。
ギルドとの交渉は基本的にリオンが行うことがほとんどだ。もしリオンがいなければ、代わりにティアかミリルが担当する。今回は魔空船の操縦をできるのがミリルだけだし、遠距離攻撃が得意な二人をどちらも外すのは戦力バランスが悪い。
また、ミリルに同行するなら、パーティー内で最年長で外見的に一番威厳のあるジェイグが適任なのだが、魔石や鉱物関連に強い二人をどちらも探索組から外すと調査が遅れてしまう。
随分小柄なコンビになったが、二人とも上級冒険者と呼ばれるランク三級。黒の翼の名前も有名になっているようだし、ギルドからの信用という点では全く問題ないだろう。
方針と編成も決まった。会議を締めくくるように両手をテーブルに突いて、リオンは仲間の顔を見回す。
「別にこの島の住人を助ける義理はない。だが何の非もないビーストが蹂躙されるというのに何もせずに逃げ出すのは、ギルドの方針としてもこちらの心情的にも後味は悪い。それにせっかく見つけた面白そうな島、バレアスの連中のおもちゃにさせるには勿体なさ過ぎる。そして何より、せっかくの初めての浮遊島冒険が、ここで終わりじゃちっとも面白くない。だから――」
ミリルが、口の端を吊り上げて好戦的な笑みを浮かべる。ジェイグやアル、ファリンも同様だ。ティアも決然とした眼差しでリオンを見つめてくる。
そんな仲間の態度に、リオンもいつものように不敵に笑って宣言する。
「奪うぞ、この島」
こうして、冒険者パーティー黒の翼の初めての浮遊島の冒険は、獣の島の奪取と防衛という形で幕を開けた。
「オマエ達の、話、俺達の、森長、教えた。信用、できるまで、俺達五人、オマエ達、監視する」
「それで構わない。監視ついでに色々と話も聞かせてもらえると助かる」
ギルドへ報告に行くミリルとアルを送り出した後、リオン達四人は先程森で会った虎男ダルルガルム達と合流した。
彼らには前もって仲間の所へ報告に行き、今後の対応について相談してもらっている。
ミリル達がこの島の保護のために仲間を呼びに行くと伝えたときには、彼らも難色を示した。だが別にリオン達が何もしなくても、遅かれ早かれこの島に地上の人間がやってくることを伝えると、渋面を作りながらも了承してくれた。
また妙な連中を連れてきたとしても、島に残るリオン達を人質とすればいいというこちらの提案も、合意に一役買っていたのだろう。たとえリオン達が強くとも、森の地の利がある自分達が優位と考えたらしい。
まぁ子供の頃から孤児院近くの森を遊び場、狩場にしていたリオン達を相手に森での戦いで優位に立つことは難しいのだが、そこは黙っていた。
ギルド職員が来たときにスムーズに事が運ぶよう、残留組の四人がやるべきことはいくつもある。
この島の地理や生態系の把握、危険な魔物の駆除、バレアスの妨害、そしてビーストとある程度友好的な関係を築くことなどだ。
そのためには、人質として監視するためだとしても、彼らと話をする機会が用意されたのは実に都合が良かった。
「まず、森長と、会う。全員、ついて来い」
リオン達に背を向けて森の奥へと向かうダルルガルム。リオン達も後についていくと、その周りをビーストの四人が囲む。一見すると、リオン達が護衛されているようにも見えるが、実際は警戒されているだけだ。連行というのが正しいかもしれない。
他のビーストは、ダルルガルムと違い虎型ではない。サイに狼、ゴリラと兎がそれぞれ一人ずつ。体型を見る限り、ゴリラと兎は女性(雌?)のようだ。
しかしこうして改めてビーストを観察してみると、奇妙なことがわかった。
というのも、体のパーツがちぐはぐなのだ。
たとえばサイ男。顔や体は紛れもなくサイなのだが、頭にキリンのような角が生えている。手足には蹄ではなく猫のような肉球と爪が。尻尾は犬のようにフサフサだ。
顔が虎のダルルガルムも、足には馬のような蹄があったり尻尾がウサギのように短かったりとちぐはぐだ。
その他のビースト達も、体の所々に基本となる動物以外のパーツが混ざっている。まるでバラバラにしたぬいぐるみを、適当に繋ぎ合わせたような違和感を覚える。
そういえば先程森で討伐した猪も、同じような、あるいはビースト以上に奇妙な姿形をしていた。
(この島独自の進化の形、と考えられなくもないが……そう進化する必然性がわからないな)
生物の進化には、環境的な要因が大きく影響する。とはいえ、ここまで奇妙な進化を遂げる原因は思いつかない。
(狭い島の中では、同種だけでは繁殖が難しかったのかもな……まぁギルドが調査を進めれば詳しくわかるかもしれないが……まぁ今は気に留めておく程度にしよう)
博識なティアの意見も聞いてみたかったが、周りをビースト達に囲まれる中では迂闊な話はできない。おそらく獣人と同様、身体能力や五感は人間より優れているはず。ビースト達からある程度の信頼は得ておきたい以上、あまり不用意な会話をするわけにもいかなかった。
そんな思考を巡らせつつ森の中を歩いていると、やがて森の中の景色に変化があった。
「ここが、俺達の、住処」
ダルルガルムが立ち止るので、リオン達も足を止めて周囲を見渡す。
まず木と木の間隔がかなり広くなった。周りの樹の太さもこれまでと変わっている。樹の一本一本にかなりの太さがあり、樹の節にはドアや雨戸が取り付けられている。おそらくあれがビースト達の住居なのだろう。
そして樹上には鳴子のような物が取り付けられた細いツタが張り巡らされている。おそらく野獣の侵入を防ぐためのものだろう。
(ここがビースト達の集落。幻想的と言うより、原始的って感じの光景だな)
ビースト達の矢や持ってる武器を見た時から思っていたが、どうやらビースト達には金属を加工する技術はないらしい。窓も木製の雨戸があるだけで窓ガラスのようなものはない。文明や技術レベルはかなり低そうだ。
(魔導具技術なんて、完全にオーバーテクノロジーって感じだろうな。いや、そもそも魔力がない以上、魔導具なんて作れるはずもない。バレアスの連中に攻め込まれればひとたまりもないな)
ビースト達がどんなに獣らしい強靭な肉体を持っていたとしても、魔力での身体強化には敵わない。石製の武器では金属の武器防具には手も足も出ないだろう。
そんなビースト達を守るためには、何としてもギルドからの応援が必要だ。だがバレアスの連中が来るまでに応援が間に合わなかった場合、リオン達四人とビースト達だけでこの島を防衛しなければならない。そのためにもビースト達を説得し、共闘関係を築いておきたいとリオンが考えていた。
「来い。森長、こっち」
再び歩き出したダルルガルム。集落の奥の方へと向かうその背中を追ってリオン達も歩き出す。
開けた空間の所々には井戸が設置されており、様々な種類のビースト達が井戸端会議をしていた。ダルルガルムに連れられたリオン達に気付くと怪訝な、あるいは好奇に満ちた表情を向けてくる。
(当然か。彼らにとっては、俺達の方が未知の種族なんだろうからな)
まだバレアスからの被害が少ないためか、人間や人獣という未知の種族に敵意や嫌悪を向けてくるものはいなかった。マイナスからのスタートじゃないだけ、関係を築くというミッションは幾分かやりやすいだろう。
だがそれも、これからの森長との交渉次第。リオンの腕にかかっているわけだ。
(まぁ未知の種族との交渉なんて、浮遊島冒険ならでは。問題は多いが、まずは楽しんでいこうか)
これまでの冒険者生活と違い、復讐も仲間の命も賭かっていない。何よりこれはリオンが夢見ていた冒険の一ページだ。もちろん失敗するわけにはいかないし、そのつもりもないが、なんだかんだでこの状況を楽しんでいるリオンだった。