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第70話

 まさかずっと待っていたのだろうか?

 私はそんな事を考えながら、高志の顔を見る。

 なんだか疲れているようにも見える。

 でも、放ってもおけないし……。

 私はとりあえず高志を起こすことにした。



*



 高志は夢を見ていた。

 紗弥と普通にクリスマスを過ごした夢だった。

 その夢の中の紗弥は笑顔で凄く嬉しそうだった。

 本当ならこうなりたかった……高志はそんな事を考えながら、体を揺らされていることに気がつき目を覚ます。


「ん……なんだ……」


「高志……」


「え……紗弥!?」


 高志は目を覚まし、隣に紗弥がいて思わず飛び起きた。

 そして何故か足下にはチャコがおり、高志の足にしがみついて鳴いていた。


「何してるの?」


「え……あの……だから……き、昨日の事を話したく……」


「話すって今頃何を?」


 紗弥はまだ怒っている様子だった。

 そんな様子の紗弥に、高志は精一杯の謝罪を続ける。


「ごめん! 呆れられても仕方無いと思う! でも!! これだけは信じて欲しいんだ!!」


「何よ……」


 紗弥はつまらなそうな顔で高志から視線を反らす。

 そんな紗弥の視線をこちらに向けようと、高志は紗弥の手を握る。

 そして紗弥に真剣な様子で話しを始める。


「俺は……紗弥が……紗弥の事が好きだから!!」


「!!! だ、だから……何よ……」


 紗弥は思わず顔を赤く染め、顔を反らす。

 高志はポケットから用意していたプレゼントを取り出し、紗弥に渡す。


「本当は……紗弥と一緒にクリスマスを過ごしたかった……ちゃんと、恋人同士のクリスマスを過ごしたかった……これだけは本当だから……」


 高志はそう言うと、高志は紗弥の手を離し、寂しそうに言う。


「じゃあ……俺が言いたかったのはそれだけだから……」


「え??」


 高志がそう言って帰ろうとするのを見て、紗弥は思わず目を見開く。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!!」


「え?」


「そ、それを言いに来ただけ?」


「あぁ……ごめん……本当は……別れたくないけど……」


「……じゃあ、高志は私とどうしたいの?」


「え……そ、それは……よりを戻したいけど……」


 高志はそんな都合の良い事が許させる訳がないと高志は心の中でそう思っていた。

 そんな高志の手を紗弥は握った。


「じゃ、じゃあなんでやり直そうとか言ってくれないの!?」


「え? で、でも……僕は君に……色々酷いことを……」


「じゃあ! ちゃんと償ってよ!」


 紗弥は涙を流し始め、高志に詰め寄る。


「悪いと思ってるなら……私の事を幸せにしてよ……一緒に居てよ……」


「紗弥……」


 高志はそこで、紗弥が自分が思っている以上に自分の事を好きなんだと言う事に気がついた。

 高志は気がつくと紗弥を抱きしめていた。

 紗弥は高志の胸で涙を流す。


「ごめん……紗弥……本当にごめん……」


「うっ……許さない……」


「ごめん……」


「もう……私の事……振らないで……」


「もちろんだよ」


「本当は……私……高志の事……独占したいんだから……」


「うん……良いよ」


「じゃあ……許してあげるから……当分は私のわがままに付き合って……」


「うん……何して欲しい?」

 

 高志がそう尋ねると、紗弥は高志を連れて家の中に入る。

 チャコも置いて行かれないように家の中に入って行く。

 紗弥は高志を連れて自分の部屋に行く。


「さ、紗弥? どうしたの? そう言えば紗弥の両親は?」


「……旅行で居ない……」


「え?」


 紗弥はそう言うと、ついてきたチャコだけを部屋の外に追い出す。


「ごめんね、ちょっと二人にさせて……」


「にゃぁ……」


 チャコは寂しげに鳴き、部屋のドアは閉まり、高志と紗弥の二人きりになった。

 すると、急に紗弥が高志をベッドに押し倒し、キスをした。


「ん……きゅ、急に何?」


「……しよ……」


「え?」


「して……」


 紗弥は頬を赤く染めながら、高志にそう言った。

 流石の高志も紗弥が何を言いたいのか理解出来た。

 そんな紗弥の言葉に、高志は答える。


「良いの? 本当に俺で……」


「高志じゃなきゃ……嫌……」


「……紗弥……」


 高志はそう言って紗弥を抱きしめる。


「愛してる……紗弥……」


「もう離さないでね……」


 そう言って高志と紗弥は再び唇を重ねる。



*



 翌日、高志が目を覚ましたのは自室では無かった。

 見慣れない天井に見慣れない布団。

 しかし、隣で眠る少女の顔はよく知っていた。

 少女がまだ眠っているようなので、高志はそっと布団から起き上がり、隣の少女を起こさないようにベッドから起き上がろうとする。

「ん? あ……起こしちゃった?」


「……ん……どこ行くの?」


「いや、ほら……そろそろ起きないと……紗弥の両親帰ってきちゃうし……」


 目を覚ました紗弥に高志は腕を掴まれた。


「ん……まだ帰ってこないよ……だからもう少し寝てよ……」


「え? うわっ!」


 高志は紗弥に引っ張られ、ベッドに倒れこんだ。


「ん……高志……」


「な、なんだ?」


「んーん……何でも無い……呼んだだけ……」


 紗弥はそう言って高志の腕に抱きつく。

 そんな紗弥の頭を高志ももう片方の手で撫でる。


「紗弥……俺は紗弥を離さないから……」


「ん……私が離さないから大丈夫……」


「そっか……」


「うん……今度愛実ちゃんから首輪貰う……」


「え!?」


 一体どんな方法で離さないのか気になって仕方が無い高志だった。

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