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エピソード38:ここみさんの調停

戦場は不安の静寂に包まれていた。

武器は下ろされたが鞘には収まらず。翼はゆっくり慎重に空を打つ。ホルモリア兵は肩を並べ盾を地に、目は依然鋭く。ドラゴナイトは砕石に止まり浮遊気流に凭れ、爪を握り尾を抑え激情を堪える。ヴェンとマーベルが築いた壁が大地を傷のように裂く──一言の誤りで戦再開の証。


その中央近く、ロクジョウは両軍を見渡す。緊張が静電気のごとく肌を這う。力のみでここに至ったが、力は結束を生まぬ。今は。


息を吐く。

「ココミ」静かに。


彼女は少し後ろ、手を固く組んで立つ。遠爆の灰で衣埃っぽく、ホルモリア内路を急いだ髪は乱れ気味。だが目は揺るがず──憂いあり、決意あり。


「分かってる」言葉終わる前。「私が話せと」


ロクジョウ一頷。「指揮官もう通じぬ。今は征服者も。だがお前なら耳傾けるかも」


ココミ唾飲み。「私、兵非。法も誇りも知らぬ」


「お前は人を知る。それで足りる」


一瞬躊躇──己の怖れ非、言葉の重みゆえ。数百、千の命が、喪失と怒りで硬化した心に届くか否で懸かる。


肩を正す。

「分かった」静か。「上げて」


ロクジョウ手上げる。

血が流れる──激非鋭非、絹解くごとく滑らかに。ココミ足下に広がり、広円台形成。半透明微光、暗紅脈が表を優しく脈し、安定固定、魔力繋ぐ。


台が昇る。

ゆっくり。

確実に。


ココミ戦場上に浮上、壁両側見えぬ高さ非、遠近感じぬ高さ。風が髪衣を引く。下方、数百の目が上ぐ──ホルモリア、ドラゴナイト、狭間。


両軍に呟き波。

「民間人?」

「なぜ彼女?」

「何の策だ?」


ロクジョウ後退、台を壁頂へ進め浮遊させる。声増幅せず。魔で言葉盾せず。通ずるなら、人として。


ココミ息継ぐ。

もう一息。


声上げぬ──だが届く。

「この戦争誰が始めたか裁きに来た非」始める。「正しさ告げに来た非」


呟き静まり、疑念超好奇。

「愛する人々が他守るため戦うの見た。傷つき疲れ、耐え難限超え。恐れが怒りに変わるの見た……恐れ単独は耐え難いから」


視線ゆっくりドラゴナイト陣へ。

「お前ら恐れた」非非難、非嘲。「貴重喪失、侮辱、無視──世界縮む中小さくされるのを」


数体ドラゴナイト身構え。

但し遮らぬ。


ココミホルモリアへ向け。

「お前らも恐れた」優しく。「秘かに築き忍耐抑制で守った全て、暴力一閃で奪われるのを」


胸に手。

「恐れは怪生まぬ。絶望的人を生む」


風動く。

ドラゴナイト指揮官不寧移。ホルモリア兵槍完全地へ。


ココミ継ぐ。

「歴史知らぬ。だがこれ知る──誰も死葬望まず目覚めぬ。子が空燃え隠れぬ望まぬ」


声震え──弱非、正直に。

「されどここに」


下指す──傷大地、折木、両側治療師担ぐ傷者。

「互傷つけ得る証明した。良し、決。だが今日他証明」


目瞬ロクジョウ・ヴェン・マーベルへ──再軍へ。

「止まれぬ証明」


沈黙伸。

焦翼ドラゴナイト粗声。「言葉失返らぬ」


ココミ頷。「返さぬ」


直視。「但し更殺戮も無し」


ドラゴナイト顎固──論ず無し。


ココミ血台上ゆっくり前。

「戦続ば勝利終非。空虚終。焼地、壊信、世代互恨──理由忘却」


顎上げ。

「但し今止まれば稀有得る」


「何?」誰か問。


「機会」ココミ。「此刻余生歴史定義無効決するを」


言葉深沈──巧非、真実ゆえ。


再ドラゴナイトへ。

「誇り見ゆ。誇悪非。血要求誇りは自餓」


ホルモリアへ。

「均衡保存重んず。語拒平和は沈黙──誤解育む」


両手広げ。

「語れ。争え。答要求、責任要求。火爪魔空裂く無しで」


ロクジョウ力緩め台微降、接地近づく。

「頼む」ココミ柔「敵非……失う物残る人として──聞くを選べ」


長間、無言。

ゆっくり老ドラゴナイト進み翼下ろす。

「ホルモリア我嘲と聞。皆為力独占と」


ホ指導者応、声穩。「ドラゴンズ・ライズ征服のみ。交渉無効と聞」


ココミ両見。「今は?」


ドラゴ躊躇。「今……両側傷手当見ゆ」


ホ頷。「壁我罠非──殺止の」


再間。

何移る。

信非──。

開。


ロクジョウ圧変感じ、戦場自握緩む。ヴェン蒼白意識息緩。マーベル髪かき目見開、不信敬混。


「やった」呟「本真」


ドラゴ指揮首低──深非服従非、程。

「善意語す」


ホルモロア前。「我亦」


血台完全降、ココミ固地へ優着。ロクジョウ臂支。

「見事」静か。


ココミ震息。「怖死」


微笑。「それ賭け分理解」


周囲軍動──陣非、集へ。指導集う。治療師開作。使者走──攻令非、語招。


戦争未終。

但し勢断。

断点に武器魔非──。

守護戦理由再告声立。

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