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エピソード30:ブラッドウィングアサルト

ドラゴンズ・ライズの上空は荒れ狂う乱気流に包まれていた。鋭く切り立った山峰を厚い雲が転がり抜け、初日の薄光が金と影の混沌に王国を染め上げる。遠くで溶岩の河が妖しく輝き、街そのものが生き物のように脈動し、ドラゴナイトの魔力が尖塔や塔を震わせていた。先の小競り合いの煙が嵐雲と混じり合い、戦いの予感を熱く焦がす。


俺はブラッドウィングの頂に浮遊し、翼縁を紅いエネルギーが波打つ。この翼は単なる飛行手段ではない──俺の血そのものの延長、意志と攻撃力を宿した導管だ。一打ごとに空を切り裂き、運動エネルギーを致死の血閃弧へ変換する。五鱗衆はホルモリアの戦いで散り、士気は砕け散っていたが、真の脅威が目前に迫る。ドラゴの配下──竜王自らを守る前衛として屹立する、巨躯のドラゴナイトだ。


「マーベル、ヴェン」俺は虚空へ声を投げかけ、周囲の嵐を抑えて落ち着かせる。「後方を空っぽにしろ。俺は前線に集中だ。ここで遅れるな──ドラゴナイトは俺が一掃する」


ヴェンのアースゴーレムが浮遊平台と尖塔に激突し、大地を揺らし、攻撃者を不安定化させる局所地震を呼ぶ。「了解だ。後方を固める。側面に気をつけろ、ロクジョウ」


マーベルがにやりと笑い、周身に水が生き物のような鎧を纏う。「道を舗装し、空脅威を片付けるぜ。楽しい部分──ブラッドウィングと斬撃は、お前さんに任せろ」


俺は深く息を吸い、血エネルギーを全身から噴き上がらせる。オーラが爆発し、血管が紅蓮の炎で輝く。標的へ集中──溶けたサファイアのような鱗に覆われ、石を刻む鋭爪を持つ巨漢ドラゴナイト。瞳が俺を捉え、優位の傲慢が知性を湛えて閃く。


「よくここまで辿り着いたな、人間」彼が唸り、山石を爪で叩く。「だがこの王国はお前のものじゃない。今すぐ去れ、さもなくば死ぬぞ」


「冗談じゃない」俺は答え、翼を全開に前進。足元の血が液鋼のように波立ち、空を切り裂いて距離を詰める。


配下が雷鳴のごとき翼打で突進。俺は本能的にブラッドウィングを多重の剃刀弧へ伸長させる。初激突で火花が散り、鱗片が飛び、谷に共鳴する金属音が轟く。彼は強靭で敏捷、速く──火炎と爪撃は精密で致命的──だが俺は数ヶ月を血魔法と飛行の融合に費やした。動作は計算され、各角度が遮断・払い・反撃を同時達成する。


俺は血閃の渦を創出、翼を高速回転させ、回転ナイフの嵐のように弧を放つ。彼は払い爪撃で対抗するが、血刃が甲冑に跳ね返り、翼膜を削ぎ、足元を地に切り込んで瓦礫を巻き上げる。彼は後退し、鋭さと速さに驚愕する。


ヴェンが接近路を土棘の連鎖で強化、鋭い地形から噴き上がり機動を制限。「追い詰めろ! 再結集を許すな!」


上空のマーベルが氷水の奔流を螺旋に落とす。凍柱が逃路を塞ぎ、配下の随伴小兵を切り裂く。「道確保! 全部お前さんだ、ロクジョウ!」


俺は超音速で空を斬り、前進。動作ごとに血が凝縮、完璧弧の剃刀投射体をドラゴナイトへ連射。彼は空中捻りで回避を試みるが、密度と数の猛攻に圧倒される。


鋭い衝突音。血刃一本が胸に突き刺さり、もう一本が翼膜を断つ。彼が悲鳴を上げ、怒りに火を吐く。「貴様……強い……が足りん!」灼熱エネルギーの奔流を俺へ直撃。


俺は息を吐き、血を硬化盾へ凝縮。熱を吸収し一部を空へ拡散、輝く紅障壁が回転して守る。衝撃で僅かに後退するが無傷。ブラッドウィングが精密伸縮し、二段目の閃連を放ち、彼の勢いを粉砕。


彼が空中でよろめき、苛立ちの咆哮。「不可能だ……どうやって──?」


俺は答えず、エネルギーを集中。血管から濃密鋭刃を呼び、眩速で突進。最後の連撃が胸と翼を裂き、崖にぶら下がる瀕死の姿へ。最終集中撃で決着。彼は墜ち、ドラゴンズ・ライズへの道は俺のものとなった。


荒い息で浮遊、翼を能量で輝かせる。配下の敗北は残存ドラゴナイトへの通告──ロクジョウは計り知れぬ力。だが真の脅威が待つ──竜人混血、ストーヴィルとドラゴン自身だ。


下方の王国尖塔が輝き、動きが見える──兵の奔走、魔結界の輝き。最高塔上段にドラゴが現れ、銀角が陽光を捉え、瞳を細めて俺を迎える。背後にストーヴィル──人型竜混血が翼を広げ、尾を巻き、破壊オーラを放つ。先の戦いで数百のホルモリア兵が焼かれ凍てついた。この怪物は数千を容易く屠るよう作られ、今俺と対峙する。


ドラゴの声が谷を震撼させる。「ロクジョウ! 我が王国を攻めるか? その傲慢、命で払え!」


俺は目を細め、次の一手を定める。「傲慢じゃない。俺が導く者たちの安全のためだ。お前とその怪物を止める」


ストーヴィルが咆哮し、前進、爪を伸ばす。俺は回避、ブラッドウィングで空を切り、俺を両断しかねぬ火爪を躱す。翼打ごとに衝撃波が生じ、下方の構造を崩しかねない。俺は悟る──血閃、飛行、本能だけでは制さぬ。新技が必要だ。


ヴェンの声が通信に響く。「ロクジョウ、露出過多だ。撤退も選択肢!」


「否」俺は断言。「退けば数千が死ぬ。俺は適応する」


マーベルが下に水流を送り、動的浮上路を形成、安定と一時優位を与える。「背中は任せろ。動け!」


俺はゆっくり息を吐き、血硬化を試す。体周に防護層を纏い、強撃を耐え抜く。血は濃密柔軟な鎧へ硬化、動作に流れる。ストーヴィルの爪撃で肩を試す──火花が散るが、硬殻は僅かに凹むのみ。


「上々だ」俺は呟き。「次は攻撃」血爆を形成、硬化血エネルギーの投射体。精密タイミングで連射、ストーヴィルの肩と翼を打つ。各衝撃で僅かによろめくが、混血の耐久は絶大。


塔上のドラゴが目を細める。「あの怪物は強いが、我が命でさえ屈する」手振りで残存スカイスクワッドを召喚、ストーヴィルを援護・側面へ。空襲が激化、火爪の雨が降る。


俺は空中反転、ブラッドウィング回転で閃爆を高速連射。動作は流麗・計算・致命。回避・払い・反撃を同時。ストーヴィルが再突進、噛み砕きを狙う。俺は本能的に臂を血硬化で覆い、力を吸収し、胸へ高速血爆を叩き込む。衝撃で後退、煙が上がる。


マーベルの水流が空中凍結、平台と障壁を創出、高度を保つ機動を許す。「ルート確保!」


ヴェンが下方障壁を強化、ドラゴナイトの干渉を防ぐ。「分断しろ。俺が堡塁を守る!」


俺は空中で一瞬停止、ストーヴィルのパターンを分析。速く、強大、知性的──だが攻撃の予測性が高い。ブラッドウィングが能量で唸り、次技を呼ぶ:肢を操る血鞭、強撃の準備中に拘束。


鞭を振るい、ストーヴィルの翼と尾に巻き付き、動きを封じる。彼が苛立ち咆哮、暴れるが即座に脱出不能。これが開幕。血エネルギーを巨大刃へ凝縮、体を斜めに斬る。鱗を裂き、紅エネルギーの痕を刻む。


ドラゴの瞳が見開く。「不可能……この人間が……」


配下の敗北は序曲。新技──血硬化と爆撃で優位を掴む。ストーヴィルの振りは狂乱、乱れ──精密さ喪失。俺のブラッドウィングが紅閃と鞭を絡め、空中の致命網を張る。


俺は上空で息を整え、翼を風に波立たせる。「お前の治世はここで終わりだ、ストーヴィル。そしてドラゴの傲慢も」


下方でヴェンとマーベルが戦場を統制:ヴェンが壁と軍を形成、マーベルが氾濫凍結で移動制御。彼らの援護が俺に攻撃と実験の自由を与える。


ドラゴの怒声が轟く。「ロクジョウ! この王国から生還は許さん!」


俺は目を細める。「やるべきことをやる──ホルモリアのため、無力な者たちのためだ」


戦いは始まったばかり。ブラッドウィングが俺を運び、新技が力を与え、決意は不屈。ドラゴナイト王国は我らの全力を味わい、ストーヴィルの覇道は未曽有の試練を迎える。


切り立った尖塔上空で嵐が翼と共鳴し、昇る陽の血塗れ光が谷を照らす。突撃が、始まった。

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