2 JR行田駅のロータリー
JR行田駅のロータリーは、昔からあまり変わっていない。
変わったのは観光案内所や観光看板が増えたこと、交番がロータリーをはさんで反対側に移ったことくらいだろうか。
いずれにしても、自慢できるような駅前じゃない。
市外、県外の友人が遊びに来たとき、何度か行田を案内したけど、この玄関口に降り立った彼らはたいてい、「思ったより寂れてる」という主旨のことを言った。
1998年の4月、僕ら5人はバンドを組んだ。
きっかけは、僕とSKの再会だった。
高校を出た僕らは、浪人した1人を除いて大学へ進学していた。
行田から大学へ通うとなると、ほとんどの場合、JRを使うことになる。
それで、高校のときは秩父線とJRに分散していた僕らが再会することになった。
あのときSKは、ソフトケースに入ったギターを背負って駅前のロータリーを吹上寄りの自転車置き場のほうへ向かって歩いていた。
高校のとき、バドミントンのラケットを同じように背負っていたのを見かけたときは、一言、二言、言葉を交わしただけだったけど、この日は違った。
僕は大学でバンドを組みたいと考えていたけど、大学では音楽的趣向の合うメンバーを見つけられないでいた。
SKが今どんな音楽を聴いているのかわからなかったけど、どうせ趣向が合わないにしても気心の知れた人間のほうがいいと思って、すぐにバンドの結成を持ちかけた。
SKは快諾した。




