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アインソフオウル PART5

vs神官戦、決着。

「うわーんママー!!」


「坊や!!」


暴風が吹き荒れ、地割れが起き、暗雲が立ち込める街で、少年と母親の親子が抱き合う。その二人に向かって、無情にも巨大な隕石が一つ降り注いできた。このままでは、二人とも確実に死んでしまう。



その時だった。黄色のぼろ布を纏った男が現れて、持っていた剣を振ったのだ。その剣の一振りは、周囲で起きている暴風をも圧倒するほどの風を起こし、また風の中には鋭利な無数の刃が紛れ、隕石を粉々に斬った。


「行け。」


「は、はい!」


「おじちゃんありがとう!」


親子は男、ハスターに礼を言うと、足早に駆け出し、避難所へと逃げていった。


「…」


ハスターは無言のまま、空を見上げる。そこにあるのは、彗星ヤディス=ゴー。あまりに大きく、そして地球に近付きすぎたため、まるで空に天井ができたかのように錯覚してしまう。周囲で起きている暴風や地割れ、隕石などは、ヤディス=ゴーが地球に接近している影響だ。ここは街中なのでわからないが、恐らく海も大荒れだろう。


(奴らがあれを止めようと旅立ってから、もう十時間近くが過ぎたが…)


今のところ自分とシュリュズベリィが奮闘しているが、このままではヤディス=ゴーが激突する前に地球が破壊されそうだ。


(…急げよ)


ハスターは心中、そう思った。












レギース姉妹の圧倒的な力の前に、ボロボロにされてしまった光輝とさだめ。


「やっぱり、この程度の力しかなかったんだね。」


「こんな脆弱な力で、よく神官長と戦えるなどと思ったものですわ。」


反撃を受けないように距離を取りながら、姉妹は倒れている光輝とさだめを見下している。もう勝負は着いたも同然だ。


「ま、まだ…だ…」


しかし、光輝は羅刹刃を使って立ち上がる。


「まだ…負けてない…!!」


キールとタニアの力は、予想外だった。だが、負けるわけにはいかない。ここで負けたら、何のためにゲイル達を行かせたのかわからないし、何より、


(さだめさんを守らないと!!)


愛する彼女が危険だ。


「こ、光…輝…」


幸いにもまだ意識を失っていなかったさだめは、立ち上がることこそできなかったものの、光輝を呼び止めた。


「…大丈夫だよ、さだめさん。君だけは、命と引き換えにしてでも、守るから。」


光輝はさだめを一瞥し、あの技を使う。


(本当はウォントとの決戦で使いたかったけど、今はさだめさんを守ることの方が大事だ…!!)


使い続ければ死ぬ、最大の奥の手を、使う。


「ブルーライジング・MAX!!!」


光輝の全身から、青い雷がほとばしる。生体電気を最大まで増幅し、限界を超えた身体能力を引き出す、光輝の奥の手。


「先ほどとは様子が違いますね。」


「もしかして、死ぬ覚悟でもした?」


レギース姉妹も、光輝の変化は察知していたが、さほど大きく受け止めていない。


「違う。」


光輝はタニアが言ったことを否定した。


「僕がしたのは、守る覚悟だ。大切な人を、お前達みたいなやつから守る覚悟だ!僕は絶対に、お前達を倒す!!倒して、守ってみせる!!!」


さだめを必ず守る。その決意が、光輝からさらなる力を引き出した。


「っ!?」


突然手の甲に違和感を覚えた光輝は、自分の手を見る。まただ。また光輝の両手の甲に、旧き印が現れているのだ。


「そ、それは…!!」


旧き印を見たキールは、何やら慌てている。なぜキールが慌てているのか、何が引き金になって旧き印が現れるのかはわからないが、


「今は使わせてもらう!!」


光輝は羅刹刃をに雷を宿し、レギース姉妹に挑んだ。


「いくら速くなったって、そんな直線的な動きじゃ…!!」


光輝のスピードを認めつつも、馬鹿正直に突っ込めば斬糸の餌食となるのは明白であると言い、タニアは斬糸を操って光輝を今度こそズタズタにしてやろうとする。だが、光輝は羅刹刃で斬糸を切断した。


「なっ!?」


今まで切れなかったはずの斬糸を、いとも簡単に斬ってしまった光輝。驚くタニアを連れて、キールは光輝の一撃から離脱する。


「タニア、彼の雷に気を付けなさい。あの雷は旧き印によって威力を強化され、退魔属性も付加されているわ。もうさっきまでのようにはいかない…」


「旧き印を身に宿し、その力を自在に操る…まさかあいつ…!!」


キールから指摘を受け、タニアまでが焦り始める。


「…雷に触れさえしなければ!!」


だが、退魔属性が付加されているのは雷だけだ。雷をかわして、攻撃を叩き込めばいい。


「がっ!!」


光輝は姉妹に背中と胸に蹴りを喰らってしまう。


「…がああああああああああああ!!!!!」


しかし、倒れない。咆哮を上げて全身から雷を放ち、姉妹を攻撃する。


「「ああああああああああ!!!!」」


かわしきれず絶叫を上げる姉妹。彼女ら神官はガタノトーアの力を与えられており、ガタノトーアは水属性の神。クトゥルフ神話の属性で言うなら、土か雷が弱点だ。なので光輝やさだめの雷は姉妹にとって弱点なのだが、人間が起こせる程度の雷ではどう頑張っても姉妹にダメージは与えられない。しかし、今光輝が使っている雷は違った。光輝の両手に出現した旧き印が威力を高め、また邪悪な存在を祓うための力も加えている。


(い、意識が飛びそう…!!)


(痛い!!痛い痛い痛い!!!)


光輝の雷は、姉妹に致命的なダメージを与えているのだ。


「はああああああ!!」


今がチャンスとばかりに、光輝は追い討ちをかけた。



「…」


さだめは、その姿をじっと見ている。いつか見た、あの諦めない光輝の姿。必死になって、自分を守ろうとしてくれている姿。


(私も!!)


一緒に戦いたい。光輝を守りたい。


「ゴールドライジング・MAX!!!!」


彼女もまた光輝とともに戦う決意をした。光輝の背後から襲い掛かってきていたタニアの爪を、指ごと斬り落とす。


「ぎゃああああああ!!!」


けたたましい悲鳴を上げるタニア。


「タニア!!」


「もらったッ!!!」


光輝はキールに生まれた僅かな隙を突き、横一文字に斬り捨てた。


「がっ…」


「はあああっ!!!」


そして、さだめもまた動きの止まったタニアの脳天目掛けてヴォルテクスを振り下ろす。


「ぐっ…あっ…」


倒れる姉妹。


「ま、まさか…旧神の加護を受けているなんて…」


「お姉…ちゃ…ウソ…だよね…私達は…さい…きょ…」


キールは意味深な言葉を残し、タニアは涙を流しながら、絶命した。


「お、終わった…!!」


光輝とさだめは神官のレギース姉妹との戦闘に勝利し、技を解く。旧き印も、同時に消えた。


「まだだよ、光輝。早くゲイル達を…!!」


さだめの言う通りだ。神官は二人倒したが、まだ倒さなければならない相手を倒していない。


「そうだね。行こう!」


いろいろ気になることもあるが、休む暇もなく二人は最深部に向かって出発した。




「どうだ。自分の技を喰らった気分は」


腕組みし、悠々と皇魔とレスティーを見下すディノクス。あれから二人はディノクスに向けて様々な技を試したが、ディノクスは全て受けきり、また受けた技は全て返されてしまった。


「当然だな。俺はお前達とは才能が違う。お前達がどれほどの努力をしようと、俺はそれを一度受けてしまえば完璧に再現できるんだ。わかったか?自分達がどれだけみじめな存在かが」


優位。圧倒的に、優位。自身の拳法と、それを完璧に扱える自身の才能に酔いしれ、ディノクスは笑う。


「…黙れこの愚か者が…」


しかし、皇魔は断じて屈しなかった。覇気の鎧はあちこちひび割れ、今にも砕けそうになっている。だが、それでも倒れなかった。膝をつくことは、決してなかった。


「…何だと?貴様、今俺を愚かと言ったのか?どう見ても愚かなのは貴様の方だろう。決して敵わない相手に挑み、無様な姿をさらしている貴様らを、愚かと呼ばずして何と呼ぶ?」


ディノクスから見れば、皇魔達の今の姿はあまりにも滑稽に見えた。だが、実は皇魔達から見れば、ディノクス達神官の姿は愚かなのである。


「ガタノトーアの邪悪な力に屈し、人類を裏切った貴様ら神官の方が、俺にはよっぽど愚かに見えるぞ。抗おうとは考えなかったのか?それで本当に、貴様は満足したのか?まぁ今の貴様の姿を見れば、貴様の心中も見透かせるというものだがな!」


ガタノトーアという邪悪な相手に、決して屈してはならない相手に従ってしまった神官達。憎むべき裏切り者でありながらのうのうと生きている神官達は、皇魔にとって愚かだった。絶対に許すことのできない愚か者達だった。


「…それの何が悪い?」


ディノクスは少し黙ってから続けた。


「弱者は強者に従うのみ。それは俺達が宇宙に飛び出す前からずっと続けられてきた世界の、いや、宇宙の摂理だ。俺はそれに従っただけのこと…だが、今は違う。今度は俺が強者の側に立ち、弱者を従える!お前達のような弱者をな!!」


「私達が弱者ですって?黙って聞いてれば好き放題…!!」


ディノクスの言い草に憤慨したレスティーは、ディノクスに飛び掛かろうとする。しかし、皇魔がそれを片手で制した。


「なるほど、一理ある。だが、貴様の目の前に立つ俺達は、本当に弱者か?」


「当然だろう。今の貴様らの姿は、とても強者に見えん。」


「そうか。ならば、その曇りきった目でしかと見直すがいい!」


皇魔は覇気を練り上げ、ひび割れた鎧を修復する。


「我らの力を!!闘界覇神拳奥義・怒涛炸裂拳!!!」


そして、怒涛炸裂拳を繰り出した。


「馬鹿め!!その技は既に受け取っている!!相殺してくれるわ!!怒涛炸裂拳!!!」


だが、怒涛炸裂拳はもうディノクスに覚えられてしまっている。相手の技を防ぐには、同じ技をぶつけて相殺するのが一番確実だ。よって、ディノクスも怒涛炸裂拳を放つ。相殺した瞬間にさらに技を放ち、仕留める作戦だ。


だが、


「何!?」


皇魔の怒涛炸裂拳は、ディノクスの怒涛炸裂拳をすり抜けた。


「ぐおああああああ!!!」


あまりにも突然の出来事に対応しきれず、防御技の発動も間に合わぬままクリーンヒット。ディノクスは吹き飛ばされた。


「な、何だ今のは!?何が起こった…!?」


「貴様は確かに天才だ。それは認めよう。神威照覧拳水鏡返し…完璧な技だ」


怒涛炸裂拳は、皇魔が修得に三週間もの時を掛けた技である。地獄のような修行を三週間、ひたすらに積み続け、やっと修得できた技。ディノクスの水鏡返しはそんな技を一度受けただけで、完璧に再現してしまった。


「しかし、この技は完璧すぎた。俺の技を完璧に再現しすぎて、俺の拳筋までもそのまま再現してしまったのだ。」


水鏡返しは、一度受けた技を完璧に再現する技。しかし、その再現率は高すぎて、相手がどのように攻撃したかまでも再現してしまう。自分の拳筋なら、見切るのは容易い。皇魔はディノクスが再現した自分の拳筋を見切り、ダメージを与えたのだ。


「貴様ほどの才能の持ち主を、俺は見たことがない。だが、そこにこそ付け入る隙があった!貴様は己の才に溺れ、慢心したのだ。俺は未だに未熟…しかし!慢心した者に敗れるほど、落ちぶれてはおらん!!」


「ぐあっ!!」


覇気の玉をぶつけて、ディノクスを吹き飛ばす皇魔。先ほどまともに喰らわせた怒涛炸裂拳が、予想以上の大ダメージを与えていたようだ。受け身も取れない。金剛塊すら発動できていない。当然だ。皇魔は普段使う怒涛炸裂拳の三倍の覇気を込めて、ディノクスを殴った。簡単には復帰できない。


「その技の弱点はもう一つあるわ。」


言いながら、レスティーは何かを投げる。それは、『爆』と一文字だけ書かれた護符だった。レスティーが四枚ほど投げた護符は、ディノクスの身体に貼り付く。


そして、


「爆!!」


レスティーが右手の人差し指と中指を立てて唱えた瞬間、護符が爆発した。


「ぐおあっ!!!」


超至近距離から爆発に巻き込まれて倒れるディノクス。レスティーが使ったのは、爆砕符。気を解放すると爆発する特殊な墨を使って字を書いた護符で、これに気を込めて投げつけ、気を解放することで、好きなタイミングで爆破できる。爆発の威力は、込めた気の量によって調整が可能だ。


「技の発動に特殊な武器が必要な場合は、その武器がないと技を発動できない。ま、当然だけど。」


「ぐっ…うう…!!」


呻くディノクス。皇魔とレスティーは、自分の技を覚えてしまう敵を相手にしても、逆転できた。水鏡返しの弱点を見抜く洞察力と、その弱点を突く発想力。


「貴様らの方が…俺以上の才能の…持ち主だった…だと…!?」


認めたくなかった。今まであらゆる格闘家を破ってきた自分が、こんな方法で負けるなど。


「だったら…俺の技で…俺自身のオリジナルで…叩き潰すまでだ!!!」


もう、皇魔達の技は受け取らない。だから、金剛塊は使わない。あれは元々、水鏡返しを強化するためのものだから。全ての魔力を、拳に集める。守りを捨てた、完全な攻撃。


「神威照覧拳奥義・光王激震拳!!!」


全力の右拳を放つディノクス。皇魔もまた、全力の覇気を込めて一撃を放つ。


「闘界覇神拳奥義・轟牙通突拳!!!」


真っ向から激突する両者の拳。勝ったのは、皇魔だった。ディノクスの拳をえぐり砕き、そのまま心臓をぶち抜いた。


「がっ…はっ…!!!」


血を吐きながら、それでも残った左手で皇魔の腕を掴むディノクス。


「…どうやら…本当に…俺の負け…らしい…」


こうなってしまっては、もはや勝敗は明らか。ディノクスは敗北を認めた。


「…最後に…聞かせてくれ…お前達から見た俺は…やはり無様に見えるのか…俺は…弱かったのか…?」


「…はっきり言わせてもらえば無様だ。邪神ごときに踊らされ、そのような姿になった貴様はな。だが…」


皇魔は腕を引き抜き、ディノクスは倒れる。


「この戦いは良い鍛練となった!己自身と戦える機会など、そうそう訪れるものではないからな。」


ディノクスは、まさに相手自身を映し出す鏡。その鏡と戦うことで己を見直すことができたこの戦いは、皇魔にとって満足のいくものだったと言える。


「そうか…それは…良かった…」


ディノクスは笑みを浮かべて息絶えた。破った相手を見下し続けてきた彼だが、倒した相手の強さを認めるという本当の強さを持つ者達と最後に出会えたこと。それがこの上なく嬉しかったのだろう。


「安らかに眠れ。貴様ら神官の因果は、我らが必ず打ち砕いてみせる。」


「あなた達のボスが取り込んだ、ガタノトーアの力を破ってね。」


思えば、この神官達も哀れな存在である。全ては、ムー大陸にガタノトーアが現れたことが原因だ。ディノクス達にとって、ガタノトーアはどれだけ恐ろしい存在だっただろうか。邪神が全てを狂わせた。だから、元凶である邪神を倒す。今回は、邪神の力を己のものとしたイマシュ=モを倒すことで。皇魔達は先に行かせた者達のことが気になり、急いだ。




上を、下を、右を、左を、前を、後ろを、ドルマが作った魔法陣が包囲する。包囲網の中心にいるのは、ビャクオウ。


「消え去れ小僧!!ラーヴァル・ザルーグ!!!」


ドルマが詠唱を終えると同時に、全ての魔法陣がビャクオウに向けて巨大な光線を発射する。凄まじい爆光に呑まれて、ビャクオウの姿は見えなくなった。勝利を確信するドルマ。彼の最強魔術を受けて今まで立っていた相手は、イマシュ=モのみ。それ以外の者に耐えられるはずがないと、そう思っていた。


「っ!!」


消滅させたはずのビャクオウに斬られるまでは。ビャクオウは魔術を発動される前にデビルズエイリアスとイリュージョンナイトメアを使い、姿を消しながら分身を配置。完全に油断していたドルマに、エンドオブファンタズマを当てたのだ。


「ば、馬鹿な…!!」


「こんなもんかよ?この程度の雑魚が、アブホースなんて大物を召喚するとはな。実力が釣り合っていないのではありませんか?」


「ぐっ…侮ったわ…!!」


ドルマは悔しがったが、エンドオブファンタズマはドルマの急所を捉えており、間もなくして死亡した。一方ビャクオウはもうドルマに対して興味がないらしく、そのまま最深部に向かっていった。


「安定の瞬殺…」


「っていうか、今エリックの口調が…」


元最強の実力を目の当たりにした狩谷と、ビャクオウの機嫌が治っていく瞬間を垣間見た空子。


「ド、ドル爺…てめぇよくも!!」


仲間を容易く瞬殺されたことに激昂したウーベルは、背を向けて歩いているビャクオウに挑もうとする。


「おっと待ちな!!」


だが、その間に狩谷が割って入り、エルダーキングでラグドラスを防いだ。ビャクオウは総スルーで、姿を消す。


「お前じゃあいつには勝てねぇよ。あいつに勝てるのは一人だけ…だがそいつはお前じゃねぇ!!」


「ぐっ!!」


そのまま弾き飛ばす。


「それに、あなたの相手はあたし達でしょ!!」


待ち構えていた空子が、ギガトラッシュを発砲する。


「ごあっ!!」


背中にまともに喰らったウーベルは、吹き飛んで地面を転がった。


「一気に決めるわ!!」


ようやく訪れた勝機を前に、空子は新たな武器を出す。


「ティンダロス!!」


呼び出されたのは、機械でできた犬。ヘブンズエデンでは、強力な支給武器を開発している。その中には世界に公表されていない、学園独自の武器も存在する。その一つが、遠隔操作型支援兵器。アンドロイドと混同されがちだが、こちらはAIを持っておらず、使用者が逐一命令を下して操作しなければならない。ロボットではない兵器。ティンダロスもその一種だ。遠隔操作型支援兵器はリモコンのようなものとセットで運用されるのだが、今回はメシアジャケットがその役目を請け負う。どうするかというと、思うだけだ。思うだけでティンダロスがメシアジャケットから信号を読み取り、行動する。


「行け!!」


空子が指示を出すと、ティンダロスはウーベルに飛び掛かった。ティンダロスは全身に武器を搭載されているが、最大の武器は口の中に仕込んであるメーサー砲。ティンダロスは口からメーサーを吐いて、ウーベルを攻撃する。


「くっ!!舐めるなぁっ!!」


ウーベルはラグドラスで反撃するが、すばしっこくて当てられない。逆に追い詰められる一方だ。そして、追い詰めた先には空子。


「ハウリングシュート!!!」


「がはぁっ!!」


ウーベルはガードしようとしたが、弾はラグドラスを破壊してウーベルのみぞおちを貫通。


「エクストリームエクスタシー!!!」


「ぐああああああああああああ!!!!」


動きが止まった所で、狩谷がウーベルを消滅させた。


「やったぜ!」


「当然よ!あの時さんざん馬鹿にしてくれた借りを、ようやく返せたわ!」


空子はティンダロスを収納しながら、鼻を鳴らす。


「よし、急ごうぜ!時間もねぇし、エリックが行ったからとんでもねぇことになってるかもしんねぇしよ!」


「そうね!」


ゲイルとアンジェが気になった狩谷と空子は、最深部に急行した。











「うおおおっ!!」


アデルはプライドソウルで、


「はあああっ!!」


アンジェはバルザイの偃月刀で、イマシュ=モを攻撃する。だが、二人の攻撃はイマシュ=モの身体から伸びてきた無数の触手に受け止められ、弾かれてしまった。


「私はガタノトーアの力を手に入れた後、この力をずっと高め続けていた。今のガタノトーアの力は、私が手に入れた当初の数十倍!もはや外なる神にも匹敵する!」


イマシュ=モは触手の先から光線を放って、反撃してきた。


「中途半端にしか神の力を使えないお前達が、数十倍以上に強化された神の力を100%使える私に、勝てるはずがない!この戦いの勝敗は、最初から決まっていたのだ!」


今度は衝撃波を放つ。


「それがどうした!!」


その衝撃波をルルイエセメタリーで相殺するアデル。


「それでも私達は負けられないの!!」


アンジェはイマシュ=モにシャイニングフェザーストームをぶつけた。


「…それほどまでにあの星が好きか。そんなに失いたくないのか」


だが、イマシュ=モはダメージを受けていない。


「何がなんでも、地球を破壊したくなったぞ!!お前達を全滅させてな!!」


イマシュ=モは飛び掛かりながら、魔力を込めた拳を放つ。


「クトゥグアドライブ!!」

「ぬっ!?」


アデルは炎化して拳を受け流し、実体化してアクセラレーションパンチをイマシュ=モの顔面に当てた。


「くくくっ…この分なら簡単そうだな。」


だがやはりダメージはなく、イマシュ=モは蹴りを繰り出し、アデルは再度炎化してかわす。


「レイブレード!!」


アンジェはイマシュ=モの隙を狙ってアークスで斬りつけたが、これでもノーダメージだ。


「弱い!!弱すぎるぞ!!もう少し私を楽しませろ!!でないとせっかく招いた意味がないではないか!!」


イマシュは念力を発動し、戦いによって壊れた周囲の岩塊を、音速を超える速さで飛ばす。アンジェはそれを瞬間移動で回避し、アデルはハスタードライブを使って風を操り、岩塊を切り刻む。そして、


「イグニスドライブ!!!」


とうとうイグニスドライブを発動。


「ブラッディファング!!!」


チャウグナルファングを装備して必殺技を発動し、イマシュ=モに斬り掛かる。


「無駄だ!!」


イマシュ=モは触手を伸ばして攻撃。だが、ブラッディファングはイマシュ=モの触手を次々と斬り裂き、破壊していく。


「はあっ!!」


「ぐあっ!!」


触手を全て斬り落としたアデルは、イマシュ=モの本体も斬りつける。これまでのように無傷ではない。やっとダメージが通った。


「ビーストクラッシュ!!!」


「むぅ!!」


続くアンジェの攻撃をガードしようとするが、ビーストクラッシュの前に物理的な防御力は意味をなさない。イマシュ=モの腕を片方切り落とす。


と、体勢が崩れたイマシュ=モを銃撃の嵐が襲った。


攻撃したのは、ビャクオウ。


「エリック!!」


「やっぱり生きてた!!」


ビャクオウの登場に驚く二人。だが、来たのはビャクオウだけではない。


「ハイスピードエッジ!!!」


「ライフイーター!!!」


狩谷と空子もだ。同時にイマシュ=モを攻撃する。


「狩谷!空子!」


「遅くなってすまねぇ!」


「ちょっと苦戦したけど、あの神官二人は倒したわ!」


そこへ、


「私達もいるわよ!!」

レスティー登場。


「忍法・大玉鉄大砲の術!!!」


特大の大砲を作り上げ、特大の砲弾を撃つ。


「ぐおおっ…!!」


単純な質量と衝撃に吹き飛ばされたイマシュ=モ。そして、その背後には、


「闘界覇神拳奥義・岩山破砕!!!」


皇魔の鉄拳。


「ごおあっ!!」


イマシュ=モは吹き飛んで地面を転がる。


「僕達もいるぞ!!」


「イマシュ=モ、覚悟!!」


立ち上がったイマシュ=モを、光輝とさだめが容赦なく斬りつける。そして、


「「エンドオブ…!!」」


二人のメタルデビルズが駆け出し、


「ソウル!!!」


「ファンタズマ!!!」


必殺技をぶち当てた。


「ぐわああああああああああ!!!!」


これにはさすがのイマシュ=モもたまらず、その場に崩れ落ちる。


「みんな、来てくれたんだね!!」


「当然だ。」


「あんな連中に、私達が負けるわけないでしょ?」


感激するアンジェに、皇魔とレスティーは余裕で答える。


「お前の神官達は全滅させたぞ!!」


「観念して、この彗星を止めて。」


光輝とさだめは、イマシュ=モに降伏勧告をする。


「…ウーベル達が負けた、か…なら仕方あるまい。」


イマシュ=モは負けを認めず立ち上がった。同時に、今までアデル達が与えたダメージが、すべて修復された。切り落とされた腕まで、元通りである。


「貴様らは極上の客だ。私は自分にできる、最高のもてなしをするとしよう…!!」


イマシュ=モには、まだ奥の手があった。このまま戦っては厳しいので、その奥の手を使うことにしたのだ。イマシュ=モの身体が発光し、邪気が、障気が溢れ出して、どんどん巨大化していく。


「まずい!!ここから離れるぜ!!」


イマシュ=モが巨大化していく様子を見て言い知れない恐怖を感じた狩谷は、すぐ神殿から離れるように言う。確かに、このままでは危険だ。一同は神殿から離れる。その間もイマシュ=モは巨大化を続け、神殿を突き破り、踏み潰す。やがてイマシュ=モを包む光が消えた時、その姿はもう、人間からかけ離れたものになってしまっていた。




タコのような頭と触手に、ゾウのような鼻。もはや人間とすら呼べない、異形。これこそエドガーから聞いていた、邪神ガタノトーアの姿そのものだった。そのガタノトーアの口から、イマシュ=モの声が響いてくる。


「私はガタノトーアの力とともに、その姿さえも取り込むことができた。これがその結果…終神形態よ!!」


イマシュ=モが、ガタノトーアの力全てを完全に発揮するための姿。それが、この終神形態だ。


「な、なんておぞましい姿なの…!!」


「これがガタノトーアか…!!」


空子はガタノトーアの姿を見て震え、狩谷はその肉体から感じられる力の強大さを悟る。


「でも、僕達は石になってない!」


「教授のおかげだね。正面からガタノトーアと戦えるよ!」


光輝とさだめが言う通り、シュリュズベリィが用意した護符のおかげで、彼らはガタノトーアの姿を見ても石になってはいなかった。


「ふん、元々私はお前達を石に変えるつもりはない。そうだ!石に変えて砕くなどというつまらない殺し方はせんぞ!!貴様らはこの私の手で叩き潰す!!真の力というものを見せてくれるわ!!!」


イマシュ=モは怒っていた。自分にあれだけの傷を負わせた無礼者などいない。ならば、自分達が誰に逆らっているのかを見せつけるまで。


「最終ラウンドというわけか…全員気を引き締めろ!!倒すぞ!!ガタノトーアを!!」


だがアデル達にも退けない理由があった。必ずイマシュ=モを倒し、地球を救う。彼らはそのために来たのだ。



遂に始まったヤディス=ゴーの最終決戦。勝つのは地球の未来を背負う傭兵達か、はたまた邪神を取り込んだ神官か。


地球滅亡までの時は近い。



さて、次回はいよいよ長編終了です。どうなるかな?お楽しみに!

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