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92.リトルボア対策5

 昼食を終え、あらためて魔法の練習を再開する2人。基本をざっとおさらいして呪文の確認、次に呪文なしの短縮詠唱を試して問題なく発動させていく。


「はい、最後。氷。アイスニードル」


 数十の細かな氷の針の一群が目標目掛けて発射されていく。ガガガガっと木の幹を氷の針が穿っている。


「いいよ~、ネイちゃん。一応これで9種類、発動出来ることは確認出来ました。うれしい誤算だね」


 そう。当初は基本属性の7種類、これも相性によっては減るかもしれないと思っていたところ問題なく出来てしまったのです。さらに雷と氷この2つは基本属性じゃなく特殊属性扱い。


「いや~、我ながらびっくりだよ。全属性いけるとは思わなかったよ。まあ、ネイちゃんはいけるかもしれないとは思っていたけど」


「……うむ。ネイちゃんは天才。タエも良いセンス」


「ふふふ。エルフに魔法を褒められるなんて光栄ね~」


 魔法適性があるものでも普通は1つか2つ適性がある。3つ、4つで秀才。5つ以上で天才と称される中、全属性適性は非常に稀だ。さらに特殊属性までとなるとエルフの中でも珍しい。


 私の場合は魂に結ばれた金の髪の毛のせいだろうと思うけどね。


「さてここまではいいとして、短縮詠唱のまま次々に魔法を撃つんだけどネイちゃん出来そう?」


「……う~ん。冷静になって魔法撃つとなると……色々考える。難しい」


「だよね。慌てるし、咄嗟にイメージが追いつかなかったりで不発に終わりそうだよ。でも1発1発ゆっくりなら出来る事は確認できたんだからあとは慣れなのかな~」


「……ふんす。練習あるのみ」


「だね。じゃあ、もうパターン決めて慣れよっか? いくよ~。地、水、火、風、光、闇、無、雷、氷」


「……待つ。タエ早い!」


「ごめん。ごめん。じゃあ、地、ハッ水、ハッ火、ハッ風、ハッ光……」


かけ声を掛けながら練習する事しばらく。最初の頃は発動に間に合わなかったり、不発だったりしていたけどだんだん馴れて来た。


 人間てすごいよね。本当に馴れてくるんだもん。今では特に考えなくても次々に魔法が撃てるんだよ。いや~、我事ながら驚きです。


「やれば出来るもんだね~。ネイちゃん」


「……うん」


 今では1発1息位で発射できます。1息は1秒位の事だよ。なので全種類撃ち終わるのに10息。……微妙なところだね。リトルボアの接近が早いか、殲滅しきれるか、いけると思うんだけど。


「どうかな。ネイちゃん。これなら勝つる! ……かな?」


「……ネイちゃんとタエ、2人ならきっと大丈夫」


「秘技、乱射乱れ撃ちと名付けよう」


「……おぉ、カッコイイ?」


 そこは疑問形はダメだよネイちゃん。言いきらないと恥ずかしくなっちゃうから。


「これは私達の必殺技だから滅多に使っちゃダメだよ。ここぞと言う時かもうダメって時に使う技だからね」


「……わかった」


 翌日からは必殺技を隠して功績値集めにいそしむ事になりました。Fランクで一番功績値が稼げるのは討伐でその標的はゴブリンです。


 直ぐに増える上に凶悪、さらに旨味が魔石のみとちょー人気がありません。せめて功績値でも高くしないと誰も狩りません。


 正直、私達だって功績値欲しさに狩っているだけで旨味の無いゴブリンなんて狩りたくありませんが、そこはそれ。リトルボアへの屈辱が勝ってるからサッサとリトルボアを斃してランクアップするその一念で狩り続けました。


「ネイちゃん行くよ。敵性体3。ゴブリンと思われます。その後ナイトウルフ2」


「……ゴブリンはネイちゃんが仕留める。後ろ任せた」


「了解」


 北の森手前の草原地帯でゴブリン狩りをしている私達。弓と飛斬であっさりとゴブリンを仕留めきるネイちゃん。弓と飛斬で1頭のナイトウルフを漸く仕留め、2頭目にファイヤーアローを撃ち込み接近するもネイちゃんからもファイヤーアローが飛んできて余裕で切り捨てて2頭目に止めを刺しました。


「ネイちゃん、ありがとう。やっぱりナイトウルフは耐久が高い」


「……ん。仕方ない。あいつらEランク。必殺技、封印したままだとちょっと厳しい」


「そだね。もう少し筋力があれば、弓も強く出来るんだけどね」


 相変わらず弓は緩めたまま。筋トレは禁止なので持久力上げくらいしかしてない。これでも体力はそこそこ付いて来たんだよ。お昼寝なしでもそこそこ夜更かし出来る様になったからね。


「これで今日はゴブリン8体だね。そろそろ功績値も溜ってきたかな~」


「……もう少し狩っておく?」


「う~ん。そうしようか。あと4体で今日は戻ろう」


 秘儀を編み出してから4日。順調にゴブリン狩りばかり続けているところ。ついでにズキ草の納品もしています。日に10から15体程のゴブリンと雑納袋一杯のズキ草2袋をコンスタントに納めてる。


 ギルドに戻って精算を済ませた所でウェンディーさんに声を掛けられました。


「は~い。タエちゃん、ネイちゃん」


「あ、ウェンディーさん。こんにちは」


「……こんちは」


「はい。こんにちは。2人とも頑張ってるみたいね。そろそろ功績値溜るけどもう1回受けるの?」


「当然です。私達に秘策ありです」


「……ありです」


 グッと拳を握りしめてアピールします。声を掛けて来たという事は功績値が溜ったんだと思います。


「……そう。なら、明日リトルボアの討伐です。頑張ってね」

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