表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/111

80.アイテムボックス

 昨日は散々でした。でも衣食住は保障されているので安心です。最近怠けていたので師匠が忙しそうです。鬼の居ぬ間の何とやらで私達もゆっくり出来てますよ。


 む! またネイちゃんがアイテムボックスから杖を取り出しました。ポーションの付与をするためです。じー。いつもいつもネイちゃんがアイテムボックスを使う時には見ています。


 なぜかって? 助言ちゃん達が見ろ見ろってうるさいからです。助言ちゃん達は私の魂に結び付けられているので、オンオフ出来ないんだよね。 好きな時に頭の中に現れて何やらやってるんだよ。


 いつも思うのですが、見ろ見ろと言われるので見ていますが何のためでしょう? ふと疑問に思って考えてしまいました。もちろん助言ちゃんにも伝わります。


 物凄く怒られました。


 どうやらただ見てるだけ~ではダメなようです。じゃあ、どうしろと言うのでしょう。単語の片言なのでよく分からないのです。


「ふぅ~。困ったもんだ」


 つい独り言を呟いてしまいました。仕方ありません。正直面倒ですが、助言ちゃん達がなにを伝え、何をやらせたいのか考察して見ましょう。


「ねぇ、ネイちゃん。アイテムボックス使ってるところ見せて」


「……? うん……」


 私の意図がよく分からなかった様ですが見せてくれるようです。うん、そりゃそうだ。頼んだ私が分からないんだから。


 パッと杖が弓に変わりました。いつも見ている通りです。これをどう考察すればいいのでしょう。


「……どうやってアイテムボックスを使っているの?」


「……スキル発動してるだけ」


 だよね。そうだと思ったよ。本人がどうやってるかなんて理屈で分かってる筈が無いよ。どうやって手を動かしてるのって聞くのと同じだよ。


「え~と。ほら、弓が出て来るじゃない? 例えばどこからか掴んで持って来るとか袋の中から取り出してるとかなんかない?」


「……。……。……。……頭の中に絵が見えるから選ぶかな?」


 おっと。予想外の答えが返って来ました。そう来るか。……そうかレベル1だと選択する意味はあまりないけどレベルが上がれば複数入れられるんだから選ぶよね。


 一応私もアイテムボックスがどう言うものか考えてみたんだよ。ドラ○もんの四次○○ケット。あのアニメに近いのかなとか。いや、それは道具袋マジックバッグの方か。


 おそらくネイちゃん専用の閉鎖空間が有って、そこから出し入れしてるんだとは思うんだけど、その空間をネイちゃんが造ってるの? 別に有るものを利用しているだけ?


 まあ、利用しているだけだろうな。空間自体を造り出すとかどれだけ化け物だよって感じだし。つまり個人に紐付けされた空間にアクセスするスキルなんだと思うんだ。


 じゃあ、どうやってアクセスしてるのかって事になるんだけど、これは多分時空間魔法だと思う。次元斬として攻撃魔法しかないけど空間を切り裂いてるからね。


 切り裂いた向こうは? ってことだと思う。お! 金の助言ちゃんが微妙に頷いとる。どうやら正解ではないけど外れてもいないようですね。


「ネイちゃん。ゆっくりアイテムボックスを発動できないかな?」


「……やってみる」


 眉間に縦ジワを刻んで一生懸命挑戦してくれてるけど、パッと替わるんだよね。何度も何度も試してくれてる。 ん? 見えた! 黒い空間だ。そこから出て来たよ。


「見えた! 見えたよ。ネイちゃん」


「……ハァハァ。見えた? 良かった。もう無理」


 力尽きてネイちゃんが膝を突いちゃった。慌てて助け起こして椅子に座らせたよ。スキルも魔法ほどじゃないけど魔力を使うからね。


 よし。ここまで分かれば、あとは実践あるのみ。金の助言ちゃんが何とかしてくれると思う。(ちょー他力本願)


 まずは魔力を周辺に伸ばす。うん。まだこの空間内だ。この魔力をさっき見た黒い空間に伸ばすイメージで……伸ばしてるよ? 金の助言ちゃん? 繋げてくれてもいいんだよ?


 金の助言ちゃんが首を横に振ってる。違うのかな? え~と。どうしよう? 魔力強度を上げてみようかな?


 お! もっと? もっとなの? 金の助言ちゃんが両手を上にあげる仕種をしてる。それなら目いっぱいあげてやろうじゃないか。


 はぁぁぁ~~。私の髪の毛が魔力になびいて上に持ち上がっちゃた。それでももっともっとってもう無理だよ~。ん? 腰? ああ、杖使えってこと。


 腰に差していた杖を引き抜いて、指揮棒の様に振り回します。黒の助言ちゃんと銀の助言ちゃんも現れて3人で舞を舞っている。


 おお! 私の限界を超えて魔力が吸われる~。死んじゃう。死んじゃうから、や~め~て~。


 もちろん暴走した杖が止めてくれる訳もありません。助言ちゃん達の舞は一層激しくなる一方です。


 ああ、漏れちゃいけない生命力みたいなものも出ちゃってる気がする。意識が遠のくよ~。ここで意識を手放すとどうなっちゃうのかな?


 師匠~、た~す~け~て~。


 カンナさ~ん、杖を引きは~が~し~て~。


 もちろん声なんか出せないよ。とんでもない状況にネイちゃんが怯えてるのが見えるよ。ああ、魔力が無いのに~、す~わ~れ〜て~る~。


 その時ネイちゃんが私の背中に手を当てた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ