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81.アイテムボックス2

たくさんの誤字報告有り難うございます。

 ネイちゃんが私の背中に手を当てた瞬間、接着剤でくっ付けたかのようにピタッとくっ付いてネイちゃんから魔力を吸いだした。


 !!! マズイ! ネイちゃんも巻き添えになっちゃう。ネイちゃんの顔が苦悶に歪み目を大きく見開き、どこか彼方を見ている。口だけがタエと動いているけど声は出ていない。


 ネイちゃんの魔力を吸い上げ出したので私に余裕がほんの少しだけ生まれた。傍にあった師匠が納品用に作った魔力ポーション(高品質)をひっ掴んで一気に飲み干す。


 1本、2本、3本めで私の中に膨大な魔力が発生した。と同時にネイちゃんの手が離れくず折れる。私の中の膨大な魔力が私を爆発させる事無く杖に本流となって流れ出す。


 異変に気が付いたのか師匠が慌てて工房に駆け込んで来た。私の意識が有ったのはここまでです。微かに金の助言ちゃんの声が聞こえた様な気がする。


《宣。……スキル。……アイテムボックス。……取得》


 気が付いたら体中を包帯で巻かれて師匠の腕の中でした。ネイちゃんは隣のベッドに横たわっています。見た事のない部屋、薬品の匂い、おばぁを思い出します。


「師匠~。やっちゃいました~」


 かすれた声でそう言うのがやっとでした。


「ばかもの! 説教は後だ。まずは休みなさい。全身の毛細血管が破裂していたんだぞ!」


 師匠が涙をポロポロ流しながら私を抱いていました。魔力ポーションの飲み過ぎだな~。


 隣ではカンナさんがネイちゃんの額に濡れた手拭を当てていました。


「ネイちゃんは……」


「ああ、大丈夫だ。魔力枯渇で意識を失っているだけだ。気が付いたら魔力ポーションを飲ませれば何とかなる」


「良かった~。ネイちゃんも無茶するから……。ごめんなさい、師匠~」


「……タエ。お前が作った特級ポーションを使って今の状態だ。どの位危なかったか分かるな?」


「はい……」


「なにをした?」


「アイテムボックスを使いたかったので……」


「!!! レアスキルは天性の物だ後からは使えん。知らなかったのか?」


「知ってましたけど使えそうな気がしたんです。別の空間に魔力の手を伸ばせればって。あっ! スキルアイテムボックス取得出来ました!」


 自分のスキルを確認して素っ頓狂な声をあげてしまいました。


「――っなんだと! そんなばかな……。ではレアスキルも後天的に習得できるのか……」


「えへへ。分かっちゃいました。魔力で空間の壁をぶち抜くんです。時空間魔法が出来ればもっと簡単に習得できると思いますよ~。私は何もかも足りていない状態でムリムリ暴走した杖でぶち抜いたんですね~」


「そう言う事か。魔力だけで空間をぶち抜くほどの魔力が必要だったからか。魔力ポーション3本分……か。時空間魔法なら穴は開けられるからそこまで魔力は必要ないな」


「また、師匠の論文が忙しくなりますね」


「――っ! 私か! ……そうだな。タエじゃ書けないか……。魔術師界が揺らぐ大発見だぞ。……と言う事は他のレアスキルも習得可能なのか!?」


「それは知らないです」


 本当は知っています。だって助言ちゃん達が見ろ見ろってやっぱり言いますからね。


「――要検討だな。まあ、いい。とにかく休みなさい」


 その後施療院に10日間お世話になりました。金の助言ちゃんがガッツポーズを頭の中でしているのが見えます。念願のアイテムボックスを私に習得させたのですから。


「はぁ~。やっと退院だよ。退屈だったな~」


 ネイちゃんはいち早く回復して、2日で退院して行きましたけど毎日涙目でお見舞いに来てくれます。私の事を心配して来てくれているんだと思っていましたが、どうやら毎日の食事が黒パンと干し肉だったようです。


 一応干し肉は味付けを改善したものが有ったはずなので、堪え切ってくれました。


「……タエ、ご飯」


 うん。ごめん。直ぐ作るよ。……そんなに酷かったんだ。


 師匠とカンナさんに挟まれて私とネイちゃんみんなで手を繋いで帰りました。


「今日は退院祝いだ。ジュリエッタの所でパーティーだ」


 退院して早々に料理を作る羽目にはならない様です。ジュリエッタさんの酒場は貸し切りではありませんでしたがマリーさんやその旦那さんも来て下さいました。


 料理はいつもよりちょっと豪勢で酒場の常連さんもみんなでお祝いしてくれました。パーティーも早々に引き揚げ大通りを師匠の工房に向かって歩いています。


「師匠。論文は出来たんですか?」


「うむ。後は実証実験のみだ。明日、カンナで試す」


「え? あたし? なんで? そりゃ、タエよりは魔力は多目だけど身体強化しか使えないよ?」


「私が試して万が一が起きたらどうにもならんだろう。カンナで習得出来れば100%問題なしだ。そうしたら自分で試す」


「ひでぇ~。態のいい人体実験じゃんか」


「ふふ。でもアイテムボックスのスキルが習得出来たら便利じゃないか? ん?」


「そりゃ、習得出来れば便利だけどよ。命がけで習得したいかって言うとそこまでしたくねぇ」


「問題ない。時空の穴は私が開ける。そこに魔力を通してくれればいいから、そこまで魔力も使わんだろう」


 どうやらカンナさんで人体実験する様です。まあ、内緒で実験が出来るのはこの4人だけだから消去法でカンナさんなんだろうな。


「え~と。師匠? 1回で習得できるとは限りませんよ? やっぱり練習も必要だと思うんです。普通のスキルでもそうですよね?」


「……そう言う考え方もあるな。他に思いつく事はあるか?」


「う~ん。魔力を通した後、あちら側に自分の空間も作らないといけない感じ? 私は一度ネイちゃんの空間を見てますから何と無く出来ましたけど」


 明日の実験、大丈夫かしら。

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