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67.とある錬金術師の一日(中編)

 魔力を飛ばすと急激に減衰してしまうのです。師匠はそんな事無いと言いますけどネイちゃんだって遠くに飛ばせません。


 レベルが上がれば出来る様になるのでしょうか? 続いて魔力制御です。これは補助具が有ります。魔力を通し易い魔物の骨だったり、鉱石だったりと色々あります。


 補助具に魔力を通して自分の周りに浮かべる事から始めます。ネイちゃんは既に2つを浮かべています。一番初心者向けの補助具ですけどね。


 上級者になると魔力をほとんど通さない物質を使って練習します。そこまで出来たら今度は補助具なしで自前の魔力だけで練習するそうです。


 私は浮かべることすらできません。浮いたと思ったら掌に落ちてきます。それの繰り返しです。魔力を飛ばせないんだから当り前と言えば当たり前です。


 師匠は、魔術大全を読みながら近くで指導をしてくれています。うん、ほとんど動かないから師匠もやる事無いんだよ。万が一魔力が暴走した時のために居るんだよ。


 カンナさんは近くで大剣の型を練習しています。物凄くゆっくりです。太極拳を思い出しますね。あれよりゆっくりですけど。


 大剣に蝶が止まってもそのまま動けるくらいです。流石に凄いと思います。なにが凄いのか今一分かりませんが凄いです。


 やっと休憩です。これから自由時間です。遊びに行きます。今日は市場を物色しましょうか、お店巡りか買い食いツアーでもいいですね。屋台の料理も珍しいものが有ったりしますから。


 やっと解放されたのでネイちゃんと手を繋いでぴゅーっと逃げ出します。また何かやらされたら大変です。ウェンディーさんやジュリエッタさん、マリーさんの所を巡って挨拶をしておきましょう。


「あら。今日の修行は終わったの?」


 なんて声を掛けてくれます。まだみんな仕事をしていますからそんなに長話は出来ません。挨拶を終えたら今日は市場に行きましょう。


 途中の屋台で水あめを買って食べながら行きます。他の街の商品やら色々なものを売っています。特に欲しいものは無いのですが、珍しいものや掘り出し物なんかもたまに見つけます。


 黒の助言ちゃんが教えてくれるんですけどね。滅多にありませんよ。商人さんも目利きですからね。!!! 今日に限って見つけちゃいました。 あれって精霊さんが封じ込められています。


 かわいそうです。何とか助けてあげたいのですが、結構なお値段がします。ちゃんと目利きされているのでしょう。小金貨と銀貨4枚です。


 ネイちゃんと相談しますがこの間貰った分け前ではちょっと足りません。もちろん値引き交渉です。


「お兄さんこれ綺麗ね。なんですかこれ?」


「うん? ああ、それは精霊が宿っていると言われている水晶だよ。ちょっとお嬢ちゃんたちじゃお高いよ」


「あら、そんな事無いわ。これでも冒険者ですもの。この前は装備に小金貨で支払ったのよ」


「おやおや、それは凄いね」


 どうやら信じていないようです。見習い錬金術師のローブを着ていますからね。仕方ないです。まずは支払い能力が有る事を示さないと相手にして貰えません。


「もう。お兄さん信じて無いわね。じゃあ、この装備を見てみればいいわ」


 見習い錬金術師のローブを捲ってその下の装備を見せびらかしちゃいました。もちろんネイちゃんもです。実は師匠に貰った杖も結構お高い事は後から聞きました。


「あ、本当だ。凄い素材使ってる。これどうしたの?」


「もちろん稼いで作って貰ったに決まってるじゃない。それでどうなの?」


「あ、ああ」


 さっきまで恍けていた商人さんの目がきらりと光りました。やっとやるきになったようです。これで同じテーブルに立てました。


「もう、じれったいわね。いいわもう。違うお店を見に行くから」


「ああ、ごめんよ。びっくりしちゃってね。そうそうこれだっけね。これはね、さるお貴族様の家に有ったものなんだけどご息女のご結婚で入り用になったものだから手放されたものなんだ」


「でも言われているだけなんでしょ? 偽物かもしれないわ」


 自分でもいい所を突いた気がします。これを指摘出来れば値引き交渉に応じるかもしれません。ふふふ。さあ、商人さんどうしますか?


「大丈夫だよ。魔力を帯びている事は確実だからね。鑑定に出したっていいよ」


 思わぬ反撃です。そこまで調べていましたか。どうしましょう。え~と。、そうだ。


「ふふふ。問題はそこじゃないわ。魔力じゃ無くて精霊さんだもの」


 やった。決まった。そこまでは確証はないと思いたいです。鑑定するにはそれなりの金額を吹っかけられるはずよ。


「う、うん。でも魔力を帯びてるんだよ? 普通はその謂われ通りだと思うよ」


 よし。勝った。


「その程度の確証じゃ小金貨なんて出せないわ。銀貨8枚なら買ってあげてもいいかな?」


 ちょっと小首を傾げて可愛らしく人差し指なんかも頬に当ててます。自分の美貌も使いますよ。ネイちゃんと合わせても銀貨10枚しか持って無いのですから。


 よし。最終兵器ネイちゃんの上目遣いも使って一気に決めに行きましょう。これで落ちないなら男じゃない。美少女2人なんだから。


「8枚じゃ、足が出ちゃうよ。小金貨と銀貨1枚ならどうだい?」


 くっ。美少女がお願いしてるのに! 効果が薄い! なぜ! あ、私達痣だらけだった。今は小汚い小娘かもしれない。


「う~ん。精霊さんは見たいけど、居なかったらつまんないもの。10枚ならいいわよ?」


「仕方ない。そこまで確証ないからな~。よし。小金貨1枚でいいよ」


 やりました。ギリギリでしたけど交渉に成功です。

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