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65.クロワッサン

ブクマ・評価・感想・誤字脱字報告有り難うございます。

「パンが焼き上がりましたよ~」


 ネイちゃんと焼き上がったばかりのパンを持って、お肉パーティーに参加です。ネイちゃんも待ち切れなかったみたいでちょっと拗ねちゃってましたけど、パンを見た途端にご機嫌でした。


 そうです。今回作ったパンはクロワッサンです。前世でも1、2を争うくらい好きなパンです。こっちでも食べられて幸せです。


 まずは10個程を籠に入れて持ってきました。テーブルの中央にでんと置きましたが皆さんそれほど心惹かれて無い様子。まあ、お肉の香りの方が暴力的なまでに匂い過ぎるから仕方ない。


 でも食べて見れば一目瞭然ですよ。今までのパンとは桁違いに美味しいはずです。小麦粉の品質が前世の物より悪いのでパン自体の質もあまりよく有りません。


 しかーし。それは他のパンも同様なので勝てるはずです。私お気に入りのクロワッサンを召し上がれ。


「これかい。タエちゃん?」


「そうです。食べてみて下さい」


 手に取ったクロワッサンを物珍しそうに眺めてから、パクリ。またパクリ。おいしいよね? ちょっと不安になってきました。あれ? 反応が薄い。


「うん。いけるね。これは流行るだろうね。マリーどうだい?」


「ええ。流行るわね。でもこれって原価が高くつくんじゃない? タエちゃん」


「そうですね。バータの分高くつくと思います。家では師匠が気に入ればまた作りますよ?」


「うん。気に入った。これからうちのパンはこれにしよう。バータ分くらいどうってことない」


「ああ~、いいね、いいね。あたしもここに住むよ~」


 カンナさんも気に入ってくれた模様です。女将さん達も気に入ったようですが商売となると難しいのでしょう。


「あ~、美味いよ。美味いんだけど売れるかね~。白パンより高くつくんだろ?」


「そうね~。高くつくわね。白パンでも売れ行きとしてはそこそこ程度だからね~」


 チズーを乗せて生活魔法の着火で焙ったものを渡してみました。


「おお、いけるよ~。タエちゃん」


「ふぅ~。いけるね。でもこれって他のパンだっていけるだろ?」


 なるほど。そうきますか。確かに他のパンでもチズー乗せはいけますよ。と言う事はケバブを挟んでも同じ感想になるでしょうね。でも挟むけどね。


「うむ。このためのケバブだったか。ステーキでいいじゃないかと思っていたけど、違った。ケバブはそのまま食べてもいいけど挟み易いのか」


 そうですよ。細かく削り取るから入れやすいし食べ易いです。ステーキを細く切って入れれば食べ応えが有って良いんですけどね。


 女将さん達も悩んでいるようです。商売に妥協はありませんからね。でも受けると思うんですどね。商売としてどうかは私じゃ分からないです。


 んん! このチズーおいしい! なにこれ? 本当にいいもの持って来てくれたんだ。どこで売ってるんだろう?


「このチズー、美味しいですね。どこで売ってるんですか? 師匠、うちもこれにしましょう」


「ん? これか。これは無理だぞ。ジュリエッタの所の自家製だ。非売品ってことだ」


 ええ~。残念です。気に入りました。分けて下さい。ジュリエッタさん、散々我儘聞いて来たじゃないですか。


「気に入ってくれたかい。うれしいね。自慢の品なんだよ。まだマリーには負けらんないからね」


「もう。その内姉さんも唸らせてやるんだから」


 これはやるっきゃないですよね。小さい鍋にチズーを入れて……。想像してたら本当にやりたくなってきました。


 立ち上がったと思ったら厨房に掛け込んでいそいそと小鍋に卓上コンロ(魔道具)にマナ板と包丁を持ち込んでクロワッサンとステーキを一口サイズに切り分け、お野菜はスープから取り出したものを並べました。


 小鍋にひと固まりのチズーを入れて魔道コンロに掛けます。とろけてきましたよ。チズーフォンデュです。クロワッサンをフォークにさしてチズーに着けてくるくるっとしてから食べてみました。


 なにをおっぱじめたのか興味津々で見つめる面々を余所にうまーい。それを見ていたネイちゃんが速攻で真似をします。ネイちゃんはお肉で試すみたいです。


 続けて師匠とカンナさん、ジュリエッタさんにマリーさんも次々に試し始めました。私はお口直しにお野菜でもう一度いっちゃいます。


「おお、うまいぞ。ジュリ、チズー分けてくれ」


「あら、おいしいわね。これも高い料理になりそうね~」


「これなら、安い市販のチズーでもいけるんじゃないかい?」


「よくもまあ、次々と思い付くね~。もう住むっきゃないじゃん」


 それぞれの感想でした。ネイちゃん? 黙々と食べてますよ。最近叫ばなくなってきましたからね。あの頃は本当に碌な物食べてなかったみたいで、食べ物がたくさんあるだけで叫んでましたっけ。


 モドキのお肉は美味しいのですけどドラゴンに似てると言うのは分かりませんでした。ドラゴン食べたことが無いので仕方ないですよね。


 その後は色々しゃべりながら料理を平らげていきました。クロワッサンもどんどん追加してたら、残りが少なくなってきました。流石に余りましたけどね。


 クロワッサンはどうなったかって? 一応出してみようと言う結論ですよ。多分流行るけど、そんなに売れないと思われているみたい。一応レシピを教えておきました。

書き溜めがガリガリ削られて行く~。

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