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53.お師匠様6

遅くなりました。

 家でハーブ塩やらガリックの魚醤漬けを仕込んで待っていたら夜遅くに師匠は帰宅されました。大変お疲れの様子です。


「さて、待たせたね。私の師匠はもうお亡くなりになっているからサリー一門だ。サリー一門はこれから5聖を目指す。私の代だけで特級ポーションまで出来るとはとても思えないから弟子であるあんた達に引き継ぐ事になるよ」


 えぇ~~。そんな面倒なことはしたくないです。師匠頑張ってください。あ、破門してくれてもいいですよ?


「オホン。そんな訳に行くか! 錬金術師は魔術師でもある。魔術大全の10巻までは習得して貰うぞ」


 心の声が聞こえてるんですか! ……魔法なら望むところですよ。いつか覚えたいな~と思っていましたからね。錬金術はそんなに興味ありません。儲かるならやっても良いかな?


 あと冒険者もやっていたいですよ? 色々な地方を見て回ったりしたいですから。


「これから入門希望者がわんさかくる事になる。一人前の錬金術師から見習いまでそりゃあいっぱい来るだろう。けど当分弟子はお前達だけだ」


「そうなんですか? お弟子取ればいいじゃないですか」


「いや、この技は秘伝だよ。スパイとか色々な奴が来るんだ。余程身元がしっかりした奴以外は早々取れない」


「そういうものですか」


「まだ王都でもそれほど注目は集めないだろう。私も暫くは軟膏までしか作らない。錬金術大全、魔術大全を習得する事に専念するつもりさ。同時にお前達も習得して貰うよ」


「私達見習いになったばかりですよ? 無理に決まってるじゃないですか」


「いや、お前たちなら成人と同時かそれ以前に一人前になれる。私は信じてるぞ」


 ……嫌な信じ方だな~。翌日から師匠は大忙しです。私達にかまっている時間も無いほどなのでのんびりやらせて貰ってます。


 冒険者ギルドの初心者講習も終えましたけど、あまり実りは得られませんでした。接近戦は向いていないかもっと修行しないといけないようです。


 師匠には放っておかれたままなので、薬草を採りに行ったりお肉を獲りに行ったりしてる毎日です。とうとう森の外縁部で活動を始めました。


 一角ハウンドにも襲われましたよ。弓と小太刀で何とか撃退しましたが、強かったです。集団で襲いかかってきましたからね。


 いきなりの接近戦でしたから慌てちゃいました。木の上に逃げられたのは僥倖でした。そうなればこちらから一方的に攻撃できます。


 と思いきや藪やら木の陰に隠れるんですよ。くぅ~。数時間の攻防でどうにか諦めてくれましたが、トイレを我慢するのは大変でした。


 ようやく挨拶回りだの式典だのパーティーだのが一段落して師匠が戻ってきました。まだ尊師と言うだけの師匠ですが、顔繋ぎ程度は済んだようです。


「放ったらかしてすまなかったな。今日からバリバリやるぞ。まずは薬師として薬草関連を覚えて貰う」


「それは良いですけど、結構知ってますよ?」


「この地方だけだろ? それは。ほかの地方の物や海の物、魔物由来の物なんかもあるんだ。それに使い方、薬の製作方法、処方の仕方なんかもある」


「……そうですか。大変そうですね」


「なに、そんなに大変でも無いさ。数が多いのと間違え易いものが多いだけさ。作っていれば自然と覚えるものさ」


 それを大変と言うのでは……。ドンとテーブルに置かれたのは薬学大全1巻、魔術大全1巻、錬金術大全1巻です。ま、まあ、それほど厚みが有る訳じゃないから、よ、余裕かな。あは、あはは。


 お隣の家を買収して魔術練習場の建設が始まりました。普通は魔術師ギルドに行って練習するのですが師匠専用の練習場を作っちゃうらしいです。錬金術師ギルドも気張ったな~。


 それから毎日3ページずつ。忙しい中私達の講義もしてくれています。師匠も魔術大全とか錬金術大全の研鑽をしなきゃいけないのに付き合ってくれます。弟子だからな、はっはっはなんて笑っていますが、大変だと思いますよ。


 なるたけ手間をかけない様に予習をして復習もしっかりやっときます。私達たいしてやる事無いからね。薬師大全1巻はどこでも採れる薬草ですので既に知っているものがほとんどです。


 魔術大全の1巻も最初は魔力を感じる事からなのでまだ呪文もくそも有りません。錬金術大全の1巻だけはお初な事が多いです。最初は人工魔石の作り方でしたよ。


 魔道具の基本だそうです。天然ものに較べると質が落ちますが、お手軽で安いですからね。人工魔石と言ってもただ合わせるだけじゃありませんでした。用途によって火の人工魔石だの水の人工魔石だのと作り分ける必要が有ります。


 まずはクズ魔石、ほとんどは属性が有りません。それを砕いて粉にします。粉になった魔石を魔法でまとめて行けばいいらしいです。


 早速実践です。ハンマーで大まかに砕いたら、粉砕機の魔道具でさらに細かくします。ネイちゃんと交互に魔力を込めて粉にしていきます。魔石は硬いので魔力の消費も激しいです。


 あれ? 私達杖を使っていませんがいいのでしょうか? まあ、その内師匠がなんか言うでしょう。粉になった魔石に魔法を通して行きます。


 魔石は魔力の塊なので魔法を通せば勝手にまとまってくれます。後はがっつり固まるまで魔法をかけ続けるだけです。ここでたくさん魔法を掛ければ質が上がるのでお勧めです。


 ふふふ。私達は2人で1個の魔石を作っています。2人分の魔法を掛ければ高純度の人工魔石になる事でしょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 前から読ませてもらってます。読んでて独特な感じががとても好きなので、応援してます!
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