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52.錬金術師ギルド

 特級軟膏が完成した翌日、師匠に連れられて錬金術師ギルドにやってきました。師匠の弟子登録のためです。うん、そう。私達の登録じゃないんだよ。


 なんでって? まだ錬金術師じゃないからに決まってるじゃん。師匠は錬金術師だから弟子を取った事を登録するの。何人が錬金術師になったとか。どこの一門だとかが丸わかりなんだよ。


「や。今日は弟子の登録に来た。2人取る事にしたから。タエとネイだよ」


「サリー導師。初弟子ですか。お宅の所の一門は先細りでしたから良かったじゃないですか。聞きましたよ。サレナ導師がとうとう身罷られたって」


「ああ、この子達はサレナ導師の所で見習いの様な事をしていたらしい。まだ正式に弟子にはなってなかった様だけど薬師の基礎は教えられていたね」


「そうですか。同じ一門に入れて良かったですね。杖は発動させましたか?」


「ああ、2人とも杖を出してこのおじさんの言う通りにしてごらん」


 腰に挟んでいた杖を抜いて構えます。魔道具? に杖を通して魔力紋と杖を登録して貰いました。


「おじさんは酷いですよ。へぇ~。また珍しい杖を発動できたね。月光銀の杖にこっちは……神木の杖か! うわぁ、発動したらこうなるんだ。これは先が楽しみなお弟子さんだね」


「だろ? 普通は見習いの杖でやっとこ発動なのに希少な杖を1発発動だったよ。私だって新緑の杖を発動させた時は驚かれたけどその上を行ったからね」


「はぁ~。才能豊かな方達は良いですね。僕なんかやっとこ見習いの杖でしたよ。ただ先っぽが光っただけでしたから。それでも嬉しかったな~」


 なんだか昔話に花が咲いちゃったようですね。私達は退屈ですよ。師匠も付き合って話していますが、指がトントンとカウンターを叩いています。苛付いてきたかな?


「さて、弟子の登録も済んだし、本題と行こうじゃないか」


「あれ? 登録が本題じゃないんですか?」


「こいつだよ」


「??? ……と、特級軟膏! 完成させたんですか!?」


「ああ、サレナ導師からの贈り物かね。この子達がヒントを持って来てくれたから。姉弟子さまさまだ」


「そんな、簡単に。王都から召喚されますよ。うわぁ、こりゃ参事会も揉めるんじゃないですか?」


「そんな事は知らないね。と言う事で薬師ギルドの方は他の誰かに回しておくれ。もうそんな事にかまっている暇は無くなっちまったんだ。特級ポーションまで突っ走るからね」


「こりゃ大変だ。ちょっと待ってて下さいよ。連絡してきますから。王都の四聖一門以外じゃ初めてじゃないですか特級を作ったのは。待ってて下さいよ僕が叱られちゃいますから」


「あいよ。分かってるって。早く行きな」


 ……何か大事になって来た感じがします。直接バレ無くて良かったです。どうなっていた事か。


 この後は大変でした。この辺、マルデリー地域というのですが、辺境も辺境なのですがそんな所の錬金術師ギルドで特級を作った術師は師匠が初めてらしいです。


 マルデリー地域の参事会、錬金術師の偉い人(?)が招集されて急遽、師匠の昇格が決定され尊師になっちゃいました。勿論参事会メンバーにも選出されちゃいましたよ。


 でもこんなの大した事無いらしいです。辺境の参事会だもん。王都の四聖というのは錬金術師でも最高峰の4人に贈られた尊称でその一門の秘伝が特級なんですって。


 つまり四聖と肩を並べちゃったと言う事です。まあ、細かく言うとちょっと違うらしいんだけど凄い事らしいです。


 え? 細かいのも説明しろって? もう面倒臭いな。本当は特級だけじゃなくて錬金術大全と言う錬金術のバイブルが有ってそちらも全部習得する必要があるらしいです。。


 師匠は導師だから、普通の錬金術師で大全でいえば4、5巻くらいまで習得してるのかな。上級導師で6、7巻、高級導師で10巻まで、尊師になってやっと15巻までを網羅した方です。特級は特別なんだよ。


 見習いで1、2巻、3巻まで出来たら錬金術師として一人前になれるのよ。もちろんそれまでに薬師としては終了してないといけないんだけどね。


 そうです。だから師匠は急いで錬金術師大全を網羅しなくちゃいけないんだ。今まで素材が高くて手を出せなかったものもマルデリー錬金術師ギルドの完全バックアップで出来るから良いよね。


 その代わり、王都の本部と対等になれるのよ。特級だもの。四聖の方達もそれぞれ本居地が別に有ってそこはブイブイ言わせてるらしいです。あ、筆頭四聖の方は王都が本拠地です。


 うん。これで錬金術大全を網羅したら五聖になっちゃうんだ。マルデリー地域を治める貴族達もこぞってバックアップしてくれるんだって。五聖になれば貴族位の伯爵と同じかそれ以上ですって。


 つまり四聖の方達は国お抱えの錬金術師なんだよ。まあ、特級ポーションまで作れれば欠損まで癒せるからね。凄いんだよ。聖女様が癒しを与えるのと同等の薬を作れちゃうんってことだもの。そりゃ凄いよね。


 師匠はやっと軟膏が作れただけだからまだそこまでじゃないけど、特級ポーションを作れる素地が有るっていう事だよ。


 さて、私達は帰ろうかな。師匠は忙しそうだけど私達には関係ないからね。五聖の弟子と言うだけだから。まだ五聖じゃないけど。


 ん? だって弟子だからって全員が作れるようになるわけじゃないもの。腕前を認められてようやく特級の指導を受けられるんだよ。はっはっは。先は長いさ。

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