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32.女将さん

ブクマ・評価有り難うございます。

感想やレビューなどもお待ち致しております。

 翌朝、既に通達して女将さんおよびシェフである旦那さん達を集めました。満を持してゆっくりと階段を降りて行きます。


 既に集まって階下で待ち構えている今回の顧客達。ネイちゃんの手引いて自信満々ですよ。


「もう既にお集まりですね。お待たせしてしまいました。ご希望の有ったハーブ塩の件でお集まり頂きました」


 グルっと全員を見回し、勿体付ける様に睥睨されます。うん。こっちの方が小さいからね。取り囲まれてる感じだよ。げせぬ。


 早速テーブルに着いてお話をしようかと思います。今回のハーブ塩に関しては顧客側からの要望なのでもう一度確認しておきましょう。


「では、女将さんであるジュリエッタさんからの要望でハーブ塩の製作及び購入、またその紹介であるマリーさんも同条件での購入と言う事でよろしいでしょうか?」


「そうだね。追加でマリーの所まで話を広げちまったのは申し訳なかったね」


「いえ、ただし今後顧客を増やすかどうかは協議と言う事でお願いします。こちらとしては生産量的にそれほど多くを用意出来ない事情もありますし、またあまり注目を浴びるのも困ってしまいます。何せ少女2人なのでご内密にお願い致します」


「あら~、顧客が増えれば儲かるわよ~。いいの?」


「はい。まだ未成年ですので危険は出来るだけ避けておきたいのです。商人さんは怖いですから。あと先考えずに利益の追求に走るでしょう? それで拉致でもされたら堪らないです」


「そうねぇ~。このハーブ塩が商品になると分かれば色々困った方が現れないとも限らないですねぇ~」


 ここで昨日から考えていた事を確認しなきゃならないです。ちょっと顧客の要望と違う形になってしまったので。


「それでまずは中瓶1本分とのことでしたが、少々事情がありまして小瓶での提供となります。ご了承ください」


「ん? なんでだい。小瓶じゃあ早々に使いきっちまうよ?」


「はい。そこが狙いでもあります。早々に使い切って欲しいのです」


「よく分からないわねぇ~。早くても多少時間がかかってもタエちゃん達としてはそんなに変わらないですよねぇ~」


「はい。私達としては小分けにする分手間ですが、お客さん、これは女将さんたちのと言うところのお客さんです、にとってはそちらの方がよいと思いますし、女将さん達にとってみても良いと考えました」


「勿体ぶらずに理由をいいな。なんでそんな事をするんだい?」


「はい。女将さん達が知っているハーブ塩とは配合を変えてみました。すなわち香り、風味を増しより匂いを際立たせてみました」


「う~ん? もう少し詳しくお願い出来るかい?」


「宿屋兼酒場であるここでのお客さんが一度注文すれば香り、風味が宿屋中に充満する様にです。そのせいで香り・風味が飛び易いのです。故の小瓶での使いきりです」


 香り・風味が充満した酒場、さらに香りが階上の宿泊客にまで広がって行く様を想像したのでしょうか。女将さんたちの顔にニヤ~っとした笑いが広がって行きます。


「うん。いいねいいね。その案は良いよ。承知したよ。もちろん値段には色を着けさせてもらうよ」


 おお、流石は女将さん。こちらの要望もいち早く呑み込んで下さいましたよ。あとはその成果を実地で確かめて貰ってから隠し玉と行きますよ。


 コトっとテーブルに置かれた小瓶。もちろん皆これがなんなのかは分かっています。


「では実食と行きましょう」


 調理自体は旦那さん方に任せて、酒場のテーブルで待機しています


「タエちゃん、考えたね~」


「いえいえ、お母さんの料理を思い出したらもっと香りが豊かだったな~と思いだしまして」


 この時厨房から、いい香りが漂ってきたのですよ。成功です。香りは文句なしです。シンプルな焼き料理が持ち運ばれてきました。


 持ち込まれた鳥料理、その脂と相まって風味も豊かになっています。あとは味だけです。クフゥ~、鼻に抜ける風味、塩加減も問題ないようです。


「くはぁ~、こりゃ堪らないね。うん文句なしだ」


「そうねぇ~これは売れるわね。小瓶1本じゃなく5本は欲しい所よ~」


 まいどあり~。もちろん作ってありますよ。で・も、まだ終わりじゃないんだよ?


「さて、ご満足頂いたところでもう1つ提案があります。お聞きになります?」


「ふふふ。もちろん聞かせて貰おうじゃないか。どんな隠し玉を持ってきたんだい?」


「2店舗で売りに出すわけですから、同じものと言うのもいかがなものでしょうか? ここにさらに高級な塩胡椒も作ってみました。実食しますよね?」


 全員一致で実食が決まりましたよ。パン、パンも下さい。朝食分が浮きそうな勢いです。今度はスープにも使ってみて下さいよ~。


 この後スッタモンダ有りましたけど、塩胡椒の供給に不安があると言う事で2店舗で高級品として別メニューでの扱いに落ち着きました。


 うん。どっちがどっちを扱うかとか女将さん同士で喧々囂々したんだよ。終いには取っ組み合いになりそうでちょっと怖かったな~。


 どちらの店舗も5本ずつご購入頂きました。それぞれ角銀貨3枚と4枚の値段が付きました。それぞれで10本だよ。銅貨で作ったものが……あっはっは。笑いが止まらないよ。

以下の様な物も書いております。

 異世界農業物語~異世界で農業始めましたーhttps://ncode.syosetu.com/n0558dz/

 異世界転生苦労譚~異世界だって甘くない~https://ncode.syosetu.com/n3637fl/

 エルフ賢者の子育て日記https://ncode.syosetu.com/n5068fk/

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[良い点] 試食で一食分うかすとは、デパ地下のおばちゃんも真っ青?
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