Let it go
アレックスは少しあっけにとられている様子。
「悲しむのはわかる。けど後を追ってもおじいさんはうれしくないと思う。ただ、アレックスが一生懸命に生きていればいいと思う。そして時々思い出してあげれば、おじいさん喜ぶわよ、きっと」
アレックスはうなだれていた。
「今は思いっきり泣いていい。涙が枯れたら気持ちを切り替えてね」
アレックスは泣いていた。そんな彼がかわいそうで、ぼくの肩を貸してあげることにする。何かにすがって泣く方が楽だと思って。
朝がきて、外が明るくなった時、アレックスはもう泣いてはいなかった。すっくと立ち上がった。
ぼくたちは本部に行った。
ケイは女の子の三階へ、ぼくは男の子の四階へ入った。メラニーが特別にぼくを冬眠レンジャーのアシスタントで指名してくれた。メラニーが出動するときにはぼくも呼ばれることになる。同じくらいの年の少年たちはぼくを尊敬のまなざしで見ていた。それが心地いい。
レンジャーとして出動すると、たまにぼくよりも年上の男の子が泣いていることもあった。けど、ぼくをみるとすぐさま涙を隠すんだ。メラニーの言ったとおりだった。子供って割としたたかで強い。
何回か出動して帰ってきたとき、アレックスがきていた。
ずいぶん晴れやかな顔をしていた。
「おじいさん、ぼくと一緒にいてたのしかった、ありがとうっていうメッセージを残してくれていたんだ。あの家でずっと暮らしてほしいって、そして時々でいいから、夜の星をながめて、おじいさんのことをおもいだしてほしいって・・・・」
すごい、これもメラニーの言う通りだった。
「ボクも冬眠レンジャーになろうって決めた。メラニーのおかげ。ありがとう」
メラニーはただ、静かに笑っていた。
「私のお父さん、まだ若かったけど亡くなったの。その時、私、ずっと泣き通しだった。冬眠しても治らない病気があるなんて、信じられなかった。悲しくてもう二度と笑える日が来るとは思えなかった。私が笑ったらお父さんに申し訳ないって思ってた。泣いていることが父への寂しいっていう心の表れだって思ってたのね。でも母が、天国から見ているお父さんがそんな私の姿を見たら嘆くだろうって言った。私の泣いている顔、かわいくない、笑っている顔を見たいだろうって言ったの。自分の顔を鏡で見た。私って真っ赤でむくんでて、すごい顔してたの。ああ、こんな顔、お父さん、見たくないだろうって思った」
メラニーはふくれっ面を作り、寄り眼にしてみせた。実際はそんな顔じゃなかったはずだ。ぼくは笑っていいのかわからなかった。
「アレックスって、あの時の自分を見ているみたいだった。だから、泣くだけ泣いて、空っぽになったら後は笑ってって言えたの」
「アレックスは、冬眠レンジャーとしての訓練をするんだって。そしてちゃんと冬眠もするって言ってた」
メラニーはぼくを見て言う。
「ティジェイも将来そうなるといいわね。あなた、子供の扱いが上手だし、むいてると思う。妹さんと仲が良かったのね」
「え、ん、まあ」
言葉を濁した。ぼくたちはいつもけんかしていたから。でも春になって、リアナがめざめたら、なかよくしようと思う。うん、たぶんできると思う。
「がんばるよ」
春はまだ遠し。けど、冬眠から目覚めてしまったけどずいぶん学んだと思う。
SFネタを無理やり童話にしたような話になってしまいました。それでも最後まで読んでいただきましてありがとうございます。




