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ドラノラーマに惚れ込んで、マーロは求愛し続けた。


婚約者もいなかったこととマーロも上位貴族出身だったことから降嫁する段取りが取られていた。


それが王国の持つ薬草が必要な病にかかった甥を助けるために政略的に王国に嫁いだ。


二人とも政治というものを理解しており、心だけで結ばれることは難しいということも同様に理解していた。


ドラノラーマは王国の側妃となり、マーロは家を守るため妻を娶った。


今でも語り継がれているのはマーロの結婚式のときの誓いの言葉だ。


【汝、この女性を愛することを誓いますか?】


【誓えるかと問われれば、否と答えます。私の心はいつ何時もドラノラーマ様だけに捧げ生涯に愛するのもドラノラーマ様ただ一人】


【・・・ゴホン】


【神の前では何人も嘘偽りを申すなかれ。この教えを守ったに過ぎない事でございます】


【・・・汝、この男性を愛することを誓いますか?】


【誓うことはできませんが、愛する努力はいたしますわ】


【・・・・・・神の加護が】


これで結婚式は終了した。


このあと司祭は気を失い三日三晩魘された。


最後に幸せが多いことを願う言葉が続くが流石の司祭も言えなかったらしい。


典型的な政略結婚の見本として語り草になっている。


政略結婚でも最低限ではあるが、神の前で誓いの言葉を述べる。


誓ったのだから愛することをする努力はするだろうという戒めのためだ。


それを完全に無視した二人は今後の政略結婚の夫婦の言葉を考えさせるきっかけを作った。


互いにいがみ合っている訳ではないから普通に話もするし、子どももいる。


浮気もしなければ愛人もいない。


夫婦のような甘い空気は持っていないが、戦友のような空気は持っていた。


「ドラノラーマ様」


「マーロ」


「何でございましょう。何なりとお申し付けください」


「わたくしもイヴェンヌも帝国の服を持っていません。仕立屋を手配なさい」


「帝国一の仕立屋をドラノラーマ様のために手配いたします。しばしお待ちくださいませ」


マーロが風のように立ち去ると、何とも言えない脱力感に襲われた。


今も昔もマーロはドラノラーマしか目に入らず、行動原理の全てがドラノラーマのために存在する。


帝国では全員が知っており、知らぬは王国のみというくらいに知られている。


「・・・テラスに移動しよう。庭の花が見ごろだ」


「・・・楽しみですわ」



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