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ロカルーノ王国の王が知らないうちに攻め入られ、戦勝国が連合軍だと諸外国に通達したが、特に混乱もなかった。


留学を終えたイヴェンヌがガンディアルニア帝国に戻ると、ヒュードリックが待っていた。


「お帰り、イヴェンヌ」


「ただいま戻りましたわ、ヒュードリック様」


「留学はどうだった?」


「楽しかったですわ。留学した当初にロカルーノ王国のルシャエント殿下とベラ様が来られたのですけど、よく分からないことをおっしゃっていましたわね」


「そうか」


彼らは王国に到着するとガンディアルニア帝国に戻ろうとした。


言い分としては留学の途中だからということだが今更、許されるはずがない。


「わたくし、ほっておいて欲しくて何も言わずにいましたけど、言ったほうが良かったということが分かりましたわ」


「見てみたかったな」


「初めて啖呵を切った気がしますわ」


イヴェンヌがヒュードリックとの婚約を発表したころに、ロカルーノ王国はウィシャマルク王国に吸収合併された。


老中たちからは反発もあったが、おおむね問題もなく完了した。


レオハルクによる改革でロカルーノ王国の貴族は、領地の半分を国に返すことで今の爵位を維持できると伝えると、こぞって返還した。


問題は、ルシャエントとベラだが、互いへの愛情がないまま幽閉された。


ベラにとっては王妃になれるということだけを夢みての婚約だったため、実家に帰ることを望んだが叶わなかった。


ベラの父親が引き取りを拒否したのだ。


「それでルシャエント殿下は元気にしていますの?あぁそういえば殿下ではなくなりましたと手紙に書いていましたわ」


「そうだな。どうだろうな?この間は父に連れられて北限の砦に行っていたが」


利き腕が使えないからと言って飼い殺しにするつもりはない。


伝令兵として戦場を連れ回されている。


「まともに軍にいたことがないルシャエントではなかなか辛いものがありますわね」


使えるものなら何でも使うということでルシャエントは処刑されるよりも辛い思いをしていた。


指示に従わなければ食事をもらえないということが骨身に染みたのだろう真面目に伝令を務めている。


ベラも修道院に入り毎日、奉仕活動をしている。


だが、二人は、いつか終わると甘い考えを持っていた。


「あの二人には言葉で言っても分かってもらえるとは思えないからな」


大人しくしているベラは今でもヒュードリックが迎えに来てくれると夢見ていた。


毎日、熱心にヒュードリックが来ることを神に願い、祈っていた。


「それで、次はどの国に留学に行くんだ?」


「そうですわね。しばらくは帝国にいたいと思いますわ」


「なら、豊穣祭を一緒に行こう」


「楽しみです」


手を繋いで色とりどりの花が咲いている庭を歩きだした。


「あと、ご両親へ挨拶だな」


「家に入るときは気を付けないといけないらしいですわよ」


「どういうことだ?」


「父が男性を家に招くときはくれぐれも注意するようにと申しておりました」


「それは心しないといけないな」


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