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「この大馬鹿者が」

 

「なぜです。僕が何をしたというのですか」

 

「パレードで王や王妃よりも目立つ衣装を着る者がいるか!」

 

「ベラは次期王妃ですよ。国民にお披露目して何が悪いんですか!あのイヴェンヌですら十才のときにお披露目しているんです。ベラができていないのがおかしいんです」

 

ルシャエントの中では十才のお披露目は王家の婚約者という立場があったから出来たものという認識だ。

 

なら自分の婚約者だと公言していたベラがお披露目をしていないのはおかしいという理論だ。

 

「イヴェンヌは公爵家令嬢だからだ。貴族に生まれた者の義務だ」

 

「そうなんですね。それはそうとしてベラは次期王妃であり、さらに僕の子を宿しています。国民への慶事として必要なことでしょう。目立って何が悪いのですか?」

 

「今回のパレードは帝国への訪問が目的だ。決してお前のためのものではない!それを品のない衣装で参加しよって。この恥知らずが」

 

何度説明してもルシャエントの中では都合の良いところだけを記憶して改変してしまう。

 

これは父親の性質を受け継いだとしか言いようが無かった。

 

「ベラは国母となる身です!お披露目を今までしていなかったことがおかしいんです!」

 

「庶民の娘を貴族より優遇する莫迦がどこにおるか!今回の婚約破棄で貴様の継承権は最下位になったわ!次期王どころが王家に残すこともできんわ!」

 

「どうしてですか!僕は王の息子ですよ!」

 

「お前の従兄がいるからだ!継承順位は年齢が優先されることくらい常識であるわ!」

 

「それとイヴェンヌがどう関わってくるのですか?一番年下の僕が次期王であったのなら上のフィリョン兄上とオーギュスタ兄上が継承権を放棄したということでしょう」

 

「まだ分からんのか!フィリョンとオーギュスタは継承権を放棄しておらん。それでもお前が次期王だったのは婚約者であるイヴェンヌが公爵家令嬢だったからだ」

 

「それでイヴェンヌとの婚約が必要だったのですか。ようやく納得しました。それならもっと早くに教えてくださればイヴェンヌに王妃の座をくれてやったのですが、父上もお人が悪い」

 

この場においてイヴェンヌの必要性をようやく理解した。

 

それでもイヴェンヌとの婚約が叶わないということにまでは結びついていない。

 

「この、大莫迦者が!勝手に婚約破棄を宣言しておきながら良くもいけしゃぁしゃぁと宣えたものだ!わしと王妃の苦労を無下にしよって。二度と顔も見たくないわ!出ていけ!」

 

「それよりもベラを正式に婚約者であると発表したいのでパーティを開いてください。僕たちのことなのだから自分たちで進めたかったんですが、ベラがどうしても父上と母上に開いて欲しいというので」

 

「まだ分からんのか!そんなにパーティがしたくば功績を上げてみせよ!公爵家令嬢との婚約破棄を望んでまで結婚したい娘とともに国のために何かせい!話はそれからだ!」

 

怒りが頂点に達した王は返事を待たずに部屋を出た。

 

まだ言い募ろうとしていたルシャエントは立ち尽くしてしまった。

 

それほどの剣幕だった。

 

「父上の石頭にも困ったものだ。王家の者を産むというだけで十分な功績だというのに、これ以上のことを望むとは、息子ながら王としての資質を疑わざるを得ないな」

 

無人であったために誰にも咎められること無く済んでしまった。

 

功績を上げるために軍備を管理している大臣のところに向かう。

 

王族が功績を上げることで一番簡単なのが戦争で勝つことだ。

 

後ろで守られて勝って帰るだけの楽な位置にいる。

 

中には前線を好んで出陣していく者もいるが少数だ。


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