少女はその背中に何を語るのか
二つ目の試練を突破し、ファリーダの待つ家に戻るレイル。
エドガルドから、悪霊ネレストの悲しい過去を聞いたが……
「そう、それは充実した一日だったわね!」
家に帰ったレイルを待っていたのは、ファリーダと、彼女が作ったフライドチキンを始めとした豪勢で美味しそうな料理だった。
「はい、ネレストさんって言う霊に憑りつかれている時は自分が自分じゃないみたいでしたよ。ケーナがいて本当に良かったです。今回の試練も、僕1人じゃとても無理だったと思います。」
「そうねぇ。多分、そうやって人の力を借りる事が出来るかどうかも試練のうちかもしれないよ? それに、レイル自身も頑張ってると思うけどな? 私は」
「そうですかね……」
ファリーダが褒めてくれたのでレイルは照れたが、やはり自分自身の力不足は否定できなかった。何て非力なんだろうと思った。ネレストの過去をひきずらない気丈な姿を知っただけに尚更だった。
「ほらほら、レイル! 試練を突破したんだからもっと喜びなって! 料理になった鳥さん達も嬉しそうに食べてあげないと可哀そうだよ?」
「うん」
フライドチキンになった鳥の事を考えたら逆に食べ辛くなる気がしたが、お腹はすいているので食は進んだ。ファリーダの料理は確かに美味しい。
「ケーナも残念だねぇ。もうちょっと早ければ、一緒にご飯食べれたのに。まあ、あの子は宮廷料理が待ってるからお腹が満たされない事は無いと思うけどね」
「そうですね。ところで、宮廷料理ってどんな料理なんですか?」
「まあ、豪華絢爛らしいよ? 高級馬肉とか砂漠燕の巣のスープとか……一回、ケーナがお残り持ってきてくれた事あるんだけど、とってもおいしかったなぁ。いまだに何の肉かはわかってないんだけどさ」
「へぇ」
「今度、お残り持って来てて言ってみたら? 多分ケーナの事だから持ってきてくれると思うよ。あの子、レイルの言う事なら断らないと思う」
そういって、ファリーダはニカッと笑った。
その笑顔の意味を、レイルはまだ理解していなかった。
「でも、ケーナ大丈夫ですかね?」
「ん? どうかしたの?」
「うんと……今日、司祭様からネレストさんの事を聞いてから何だか元気が無くて」
「ふーん、あの子が落ち込むなんて珍しい。」
「……」
レイルは、ケーナが神殿から帰る途中で発した言葉を思い出していた。
それは、今日1日で一番重苦しい言葉だった。
『レイルは、私の事、裏切ったりしないよね?』
前を向いていたから表情は伺えなかったが、彼女の背中から発せられる悲しく寂しい何かをレイルは感じ取っていた。




