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発言、独り歩きするってよ

朝。

仮設拠点。

英雄は欠伸をしながら外へ出た。

すると。

地将が地面へ杭を打ち込んでいる。

「……何してるんだ?」

「道路予定地です。」

「もう?」

「昨日のご提案を反映しました。」

英雄は首を傾げる。

「昨日の?」

「中央道路を先に整備する案です。」

英雄は固まった。

「いや、あれ思い付きなんだけど。」

「合理的でした。」

即答だった。

そこへ。

風将が空から降りてくる。

「地図できたよー。」

大量のゲイザーが紙を運んでいた。

「……なんだこれ。」

「道路引くなら測った方が早いもん。」

「いや、それも思い付きだから!」

「え?」

風将は本気で不思議そうだった。

「ダメなの?」

「ダメじゃないけど!」

そこへ。

水将もやって来る。

手には羊皮紙。

「水源候補をまとめました。」

「早くない?」

「昨日のお話ですので。」

「昨日!?」

英雄の頭に嫌な予感が走る。

水将は淡々と続ける。

「飲料用。」

「生活用。」

「排水用。」

「将来的な拡張を考慮した候補です。」

「待って。」

「はい。」

「俺そこまで考えてない。」

水将は少しだけ考え込む。

「……そうでしたか。」

英雄は少し安心した。

しかし。

「では。」

「ここから詰めましょう。」

安心は一秒で終わった。

「いや、俺詳しくないから!」

「構いません。」

「構うよ!」

そこへ炎将が丸太を担いで現れる。

「道なら広げといたぞ!」

「仕事早ぇ!」

「森ごと燃やすなって言われたから切った!」

「そこだけは守ったんだな……。」

魔王も歩いてくる。

皆の資料を見て静かに頷いた。

「順調だな。」

英雄は思わず叫ぶ。

「何が!?」

魔王は穏やかだった。

「開拓だ。」

地将が頷く。

「基盤が固まります。」

水将も頷く。

「生活が安定します。」

風将も笑う。

「面白くなってきたねー。」

炎将は拳を鳴らした。

「次は家か!」

英雄は頭を抱えた。

「……俺、余計なこと言ったかな。」

四人は顔を見合わせる。

「「「「はい。」」」」

即答だった。



その頃。

人界。

王城。

玉座の間には重苦しい空気が流れていた。

「……報告は。」

王の問いに騎士が首を振る。

「ありません。」

召喚から幾日。

勇者からの報せは、一通たりとも届いていなかった。

「魔王軍に捕らえられた可能性は。」

「否定できません。」

神官が静かに言う。

「召喚陣との繋がりも薄れています。」

王は目を閉じた。

最悪の想定が脳裏を過る。

勇者は。

既に。

「……備えよ。」

静かな声だった。

「第二の勇者召喚を行う。」

神官達が一斉に頭を下げる。

「承知いたしました。」

巨大な召喚陣が再び整えられていく。

王は誰にも聞こえぬほど小さく呟いた。

「どうか……生きていてくれ。」



一方その頃。

魔界。

英雄は道路予定図を前に頭を抱えていた。

風将が肩のゲイザーを撫でながら言う。

「そういえばさ。」

「ん?」

「ヒデオ、報告とか連絡してる?」

沈黙。

英雄の顔から血の気が引いた。

「……………………あ。」

風将は苦笑する。

「してないなら、向こうは心配するよ?」

英雄は空を見上げた。

「……うわぁ。」

ようやく理解した。

自分の"沈黙"もまた、

独り歩きしていたことを。

報連相は大事だな。



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