第21話 キャンディ・チート
Side:タイセイ
孤児院にお邪魔している。
なんせ孤児院はティシュペーパーでスマイル100円ラッシュだ。
「タイセイ、いらっしゃい。いつも寄付をありがとうございます」
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スマイル100円、頂きました。
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メグが俺を見つけたのだろう寄って来て、笑顔。
「寄付するのが俺の仕事みたいなもんだから」
「強がり言わないで、品物を用意するにもお金が必要でしょう」
スキルで出しているのを言っちゃおうかな。
いや、勇者が居るなんて噂になったら困る。
「気にしなくても良いんだよ。金なんてもんは使ってこそ価値がある」
「無理しないでね」
「そうだ。やさしいメグにご褒美だ」
俺はフルーツ味の飴を出してやった。
「美味しい。持久力+1だって。いっぱいあるけど皆にあげてきて良い?」
やっぱり、笑顔。
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スマイル100円、頂きました。
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飴のスキルは、持久力+1か。
キャラメルのキャッチコピーがたしか、一粒食うとなん百メートルが走れるだったかな。
まあ、良いや。
そんなに害はない。
「ああ、みんなに持っていっていいよ」
スマイル100円が続々と貯まっていく。
200円もしない飴で4000円ぐらい儲かった。
孤児院はコスパがいいな。
こういう場所を回って歩くのもいいかも。
メグが戻って来た。
「街の子供達とは遊ばないのかい?」
「仲のいい子は何人かいるわ」
「その子達にも飴を持っていってあげたらどうかな」
「そんなのずるい」
「何がずるいんだ?」
「彼女らは家も家族もいるのよ」
「妬んでるのかい?」
「ううん、そうじゃないけど。そうじゃないけど……。ええと、笑わない?」
「笑わないさ」
「タイセイがお父さんだったら良いなと思って。お父さんはよその子に、物を頻繁にあげたりしないでしょ」
ああ、そうか。
メグは俺を友達に取られると思ったのか。
「メグは特別だよ」
「どう特別なの?」
「この街に来て友達の第一号だ」
「そう、友達……」
メグは落胆したようだ。
元気づけるにはどうしたら良いだろう。
「メグはパートナーだ。俺の商品を最初に試してもらう」
「パートナー! 私、パートナーになる!」
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スマイル100円、頂きました。
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メグの機嫌が直ったようだ。
「パートナーには色んな味の飴を試してもらう。大変だぞ」
「うん、頑張る」
コーヒーキャンディ、キャラメル、黒飴、キシリトールキャンディ、ヨーグルト味のキャンディを出す。
メグは飴を舐め始めた。
「凄く幸せ」
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スマイル100円、頂きました。
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「何で幸せなんだい?」
「えへへ、秘密」
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スマイル100円、頂きました。
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幸せそうな笑顔を見ていると理由はどうでも良いと思えてきた。
このスマイルラッシュが長く続けばいいな。
Side:メグ
私がパートナー。
パートナーという事はお嫁さんよね。
家族よね。
タイセイは色んな味の飴を出してきた。
こんな色々な種類の品物をどこから仕入れているんだろう。
きっとタイセイはやり手の商人なのね。
その証拠に出してもらった飴はどれも美味しくて、人気商品になると思った。
商品を見る目が凄い。
くやしいけど、商品の上下がつけられない。
どれも美味しくて笑みがこぼれる。
駄目よこんなんじゃ。
パートナーなんだから。
飴を持って街に出る。
よく遊ぶ子供達がいたので声を掛けた。
「孤児院にタイセイという大商人が来ているの。私と仲良くしてくれるみんなに、飴のお土産だって」
「変なの。大商人とメグは関係ないだろ」
「私はパートナーなのよ」
「そうなのか」
「私、お土産を早く食べたい」
「ちょっと押すなよ」
「仲良くね。食べたらタイセイに感謝するのよ」
「うん」
遊び仲間達が飴をもらい笑顔になる。
タイセイは喜んでくれるかな。
笑顔になると分かるみたいだから。
「美味いな。果物が口の中でダンスしてる。えっ、ステータスが上がった」
「ほんと美味しいね。うん、果物の味で口の中がいっぱい。私もステータスが上がった」
「これってどこで売っているのかしら。べっこう飴なんて、これ食べたらもう満足できない」
「小遣いで買えるのなら欲しい」
「じゃじゃーん、注文書よ。それと印章」
「うわ、すげぇ。印章じゃないか」
「みんな印章を持てるのよ。ちなみに飴は一袋大銅貨1枚」
「少し手伝いをしたら買えるわ」
「そうね」
「欲しい人は注文書に印章を押してね」
私は朱肉のふたを開けた。
名簿の登録をしないと。
名簿に印章を押して名前を書いてもらう。
えっと、名前が読めない。
そういう場合は、横に似顔絵を描くんだった。
上手く描けないけど、私なら判別できる。
自分で描いた絵を忘れたりしない。
色使ってあるから、髪の毛の色と目の色だけでも判別可能。
タイセイって賢い。
この色のペンも不思議。
インクを付けてないのに描ける。
注文は少ないけど、私なら大金ね。
大商人なら、はした金でしょうけど。
でも、こんな美味しい物を大銅貨1枚で売って大丈夫かな。
きっとタイセイには何か考えがあるんだわ。
失敗したら、私がフォローしてあげないと。
だってパートナーだから。




