3045/05/01 灯り
(本当に1000年後?)
外の景色を見て一番に思ったことはそれであった。
かつて、いや、覚えている……、うーん、記憶にある世界では見た事がない深い夜。世界を覆っていたはずのコンクリート、アスファルトは闇の中全く見えない。人が働き、生活する場であるビルや住宅などの建築物もその闇の中で見当たらない。
地上は全てが眠りついているかのように静かで、そこにあるのが本当に大地なのか、それとも底のない穴が開いているのかもわからない。一方で夜空は澄み渡り、ほんのわずか先、手を伸ばせば届く先に星々の光があった。
未来というよりも過去、いっそ、異世界、ゲームの世界に来てしまったと言われた方が納得できるほど、世界は全く違うものであった。
「……、まじかぁ」
その景色を見て、口から出たのはその一言であった。その一言は誰にも聞かれることはなく、私は外の景色を見るのを止めて、バスの天井に向けて一人溜息を吐いた。
「あれ? ねぇ、あれって?」 「ん? うーん? ああ! なぁ、あれ!」 「どれ? あ!」
急に子供たちが騒がしくなった。
そちらに目を向けると窓側に座った子供が窓の外、地上の何かを指さし、興奮気味に声を上げている。その中にロックの姿が見えた。
「タ、タダサン、ほら、あれ、あそこ! 灯が見える!」
ロックは私が見ていることに気付いたのか、少し興奮気味に声を掛けてきた。
「あかり? 」
その声に再び窓の外を見る。
バスはいつの間にか森を抜けていた。何もないだだっ広い野原の向こうゆらゆらと動く明かりがいくつか見える。それは、自分たちが向かう方向からこちらに近づいてきているように見える。
「なんだあれ?」
「タダサン、あれ、きっと僕らを探しに来た町の人だよ!」
ロックはそう断言した。




