表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3045  作者: みむめも
64/204

????/??/?? ボール

―動きます。


 アガートラムが私の耳元で言葉をかける。その言葉の通り、何かが動く音が私の耳に入ってきた。


 自動ドアが完全に開き、ゴロゴロと何かが転がる音が建物の奥から響き、それの正体を確かめようと体をひねらせた時、今度は車いすが急に動き出した。その動きに私はバランスを崩しそうになりながら、急いで体を正面に向けてひじ掛けをしっかりと握りこみ、車いすの動きに耐えた。


 おそらくは、外に出てからずっと自動ドアの正面を陣取っていたが、毛布を運び出すのに邪魔だと判断されたのだろう。そこから少し離れた場所、セン達が他の子供たちを並べた場所に少しだけ近づいたところで車いすは停止した。


―多田様、申し訳ありません。ボールの搬出に必要な場所を確保するために場所移動しました。移動前に詳細な説明を入れずに、大変ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。


 車いすが止まるとアガートラムが想像していた通りの内容で、こちらに向かって思いもよらない謝罪の言葉を口にした。「動きます」 という言葉の意味を勘違いした私が悪いのでその謝罪を受けながら、聞き流す。そして改めて建物の中からゴロゴロと音を立てて出てきたモノに私の意識は向ける。


 それは真っ黒で完全な球体であった。アガートラムの言葉にあったボールという言葉の通りで、大きさはセン達の身長とほとんど変わらない大体1メートルほどの大きさで、どういった原理なのか器用に転がりながら、建物の中から三個続けて出てきて、私が先ほどまでいたあたりの場所で器用に止まった。


「あ、あれは、何ですか?」


 誰の声なのか、知らない声が上がりそれが引き金のようにザワザワとした喧騒に一気に変わる。


「タ、タダサン? なにあれ?」

「ほ、ほら、嘘だったろ? みんな戻ってこい! 騙されているんだ!」

「落ち着いて? タダサン? 教えて? あれは何?」

「アールさん……、」

「……、みんな、落ち着いて、後ろに下がっていて」

「何だよ? あれ何なんだよ?」


 広がる不安を無視するように、私の周りを浮かんでいた指示役のアガートラム以外のモノが向かって一番近いボールの方に向かって移動する。そしてボールの横にアガートラムが一列になって近づくとボールはパカっと音を立てて小さな口を開いた。


 開いた口の中にアガートラムが一つ入り込み、少しすると上の方から何かが勢いよく出てくる。


「わああああああ!」


 その様子にこの世の終わりのような声が上がる。


―毛布の配布を致しますので、多田様はシードを並ばせてください。


 私の隣にいるアガートラムはそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ