????/??/?? 決心、決断
「分かった。みんなを一列に並ばせるから、先に毛布を持ってきてくれないか?」
―了解しました。こちらに予備の毛布を運び出すように手配いたします。5分ほどお待ちください。
「よし、じゃあ、こっちにみんな並んでくれないか?」
アガートラムからの返答をもらって、改めて、セン達三人と彼らの仲間たちの方に顔を向け、できる限り明るく優し気な感じで声を掛けた。セン達三人は別として、他の子たちのこちらを見る目は先ほどの会話を聞いてか、半分ぐらいは好意的な目を向けるようになっていた。
しかし、好意的な目を向けている子供たちもいる半面、私が目を向けた端から顔を背け、避ける子供も確かにいた。そして、集団内にそういった仲間がいるということで、自分の意思を表明する事がはばかられる空気が生まれていた。全体としてはどこか歯がゆい、もぞもぞとしたどっちつかずの中途半端な動きで、何をどうしたらいいのか、困りきったようであった。
「おう、タダサン、こっちでいいのか?」
「ほら、みんなも並んで?」
「いいか? これから、どんどん日も暮れるから寒くなるぞ? 毛布一枚でももらえるならもらった方がいいぞ?」
その空気を私以上にセン達三人は感じ取っていたのだろうか、大きく、積極的に仲間たちに向けて声を出し、動いてくれた。先ほどまで、本当に険悪な雰囲気を作り、対立していたはずの仲間へ何か思うところはないのか、その様子に特にそのようなところは見当たらなかった。
セン達のそういった声掛け、姿に、集団の一部が重大な決断を下し、ようやく動きを見せ始めた。
その重大な決断を下したのは、集団の中でマイノリティー、二人ほどしかいない女の子達であった。彼女らは集団の中でもまた別個の小さな集団を作り、そこで意志の統一が図られたのか、何度か顔を合わせ、頷かせてからセン達、正しくはアールの方に向かって集団から離れる動きを見せた。それを止める声も上がったが、彼女たちはその声に従うことはなく、そのままアールの方に向かってゆっくりと進んでいった。
「良かった。並んで、もう少し待っていてね」
「アールさん、」
「はい!」
その決断を下した彼女たちをもちろんアールは優しく迎える。少女たちはその決断が後悔ないものだとハッキリと返事を返した。
まだ、全体としてはセン達三人と少女たち二人を合わせて五人に対して、未だに十人程度の人数を保つ集団は数の上では圧倒していたが、その一事で完全に大勢は決した。迎い入れられた少女たちの表情、声を見て、聞いて、態度を保留していた他の子供たちもようやく決心して、動き始めた。
一人、二人、三人と集団から人が離れ、セン達三人に歓迎される。四人、五人と遂には数は逆転し、セン達の方が集団といえる塊になったあたりで、その動きは止まる。最後の五人はどうしてもこちらを信じられないのだろう。全体としてはこちらに付いたほうが楽であろうに、それでも頑迷に反対するという意思をこちらに見せ続ける。
その時、背中の方で何かが動いた。空気の流れ、おそらく、自動ドアが開いたのだろうか、それはタイムアップだと告げているようにも思えた。




