????/??/?? 未知の服
―記録されました多田様の身体情報から制作しました外出用の上着となります。アレルギー反応テストは完了済みの素材から制作しましたが、着用中、もしくは、着用後かゆみ、湿疹、その他の身体の異常が確認された場合はご報告ください。またその際は、それ以降の上着の着用は控えていただき、……、
私が軽く上げた悲鳴は無視されて、アガートラムからは朗々とした説明が勢いよく始まる。それを聞き流しながら、恐る恐るこちらに向いた視線の方向、セン達三人と彼らの仲間たちの方に目を向けると、彼らは全員がそろって何とも言えない表情を浮かべてアガートラムと私を見ていた。
その浮かべた表情は先ほどまでの破局寸前に陥った時のモノとはまるで違うもので、とりあえずは双方、振り上げた拳を下げて、一旦、仕切り直しの形になった。それぞれの顔には大きく、どうしよう? とか、何だこれ? というツッコミが書かれており、その言葉が口から出される前に私は彼らに気づかれないよう目を自分に、アガートラムからかけられた上着に向けた。
覆いかぶされた上着は薄く、軽いものであった。色合いは今着ている薄いベージュの病衣と合わせてか少し濃いめの茶色のもので、きちんと袖を通してはいないが、肩回り、肩幅は確かにアガートラムが言う通り私の丈に合ったもののように思える。また、薄く、軽いといったが、上着を羽織った瞬間から外気の寒さを感じることはなくなり、その肌触りと合わせて何となく未知の素材のよう感じ、それがいったい何なのか全くわからなかった。
―……、多田様、以上で上着に関しての注意等の説明を終了します。何かご不明な点等ございますか?
延々としゃべり続けていたアガートラムは急にその喋りを止め、こちらに訊き返してきた。
「ああ、もう、いい。ありがとう。……あ、こ、この服は、まだあるの?」
―はい、準備できます。お色は全36色ございます。一番人気は、……、
「いい、わかった。セン! アール! ロック! それに他の人も、その格好で寒くない? 」
アガートラムからの会話が終わった瞬間、電撃的に思い付いた手法、深く考えることなく、そのままアガートラムに伝えると問題はないと返答が返される。それを聞いて、今度はセン達三人に向かって大きな声で聞いてみた。
「あー、うん」
「え? ええ」
「あ、はい」
「?」
歯切れの悪いが確かな返事を返してもらい、私はアガートラムに向かって言葉をつづけた。
「ここにいる全員分の服を用意してくれ」




