????/??/?? 疑心
「そう、ですか……、分かりました」
「二人とも、疲れたのか? もう少しらしいから、頑張れよ!」
「うるさい、セン! もう少し静かに歩きなさい。あいつらがどこにいるのか分からないんだから、」
コチラからの返答に、ロックは少しばかり間を開けて応えた。
その様子をどう感じ取ったのか、先を進むセンが遅れる二人の方に体を向けて、大きく茶化すようにおどけた声を出し、それにアールが激しく反応し、厳しい言葉で言い返した。
センがムッとした表情を浮かべたのが背中越しにも分かった。短い付き合いでも、彼ほどわかりやすい人間ならば、そのあとなんと反論するか何となくに想像できる。
「分かった。じゃあ、とっとと歩けよ。遅いって言われてんだから」
「……」
想像していたよりは、センから出た言葉は幾分か優しいものであった。しかし、それに対して、アールは無言で返した。かなり空気は悪い。そのままにしてしまえば、おそらくなにもいいことはない。
「ガーディアンを心配しているなら、たぶん大丈夫かな? 今確認したけど、」
「何でわかるんですか? そのガーディアンは仲間のもとに案内しているのではないですか?」
慌てて、口を動かした。
アールが感じている不安の原因、ガーディアンがいないと分かれば、丸く収まるだろうと良く考えずに先ほど手に入れた情報を出してしまった。彼女の舌鋒はこちらに向けられた。
よろしくない緊張した雰囲気が走る。それまで、あえて無視していたモノがいよいよ無視できないモノとなり、遂には誰かがそれに触れなくてはならない所に来てしまった。
「いや、一応、出口に向かっているつもりだけど?」
「嘘です。さっきから進んだ道を確認してましたけど、自分たちが来た道とは違う方向に進んでいます。アナタはどこに、私たちを連れて行くつもりですか!」
「待って、アール、それは言っちゃダメだ! 止めろ!」
「おい! アール、それは本当か? タダサン? 騙したのか?」
(え? 違う方向? 出口と違うの?)
彼女の言葉を聞いて、浮かぶアガートラムの方に顔を向けた。そして同時に、先ほどから何度も足を止め、左右を見ていたロックの行動の意味がようやくわかった。彼は気づいていたのだ。自分たちが来た道と違う方向に案内されているという事に、そして、それを何の説明しない私に不審と猜疑を抱いて、警戒していたのだ。
「ちょ、ちょっと待って、アガートラムさーん?」
―はい?
「出口に向かってるんだよね?」
―はい。出入り口に向かっております。
「いや、こっちは違うっていうんだけど?」
―緊急避難のため正面ゲートからではなく、一番近い非常口から外に出るように案内しております。
「だ、そうだけど?」
初対面時よりも開いた心の距離を感じながら、何とか説得の言葉を出した。




