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3045  作者: みむめも
34/204

????/??/?? 観察

「ふーん、じゃあ、ここは成人の遺跡って名前なのか」

「ああ、そうだよ。タダサン。成人の遺跡、白の遺跡って町の人は呼んでるんだ」

「へー、なるほど、なるほど、じゃあ、三人はもしかしてもう大人なのか?」

「あ、いや、それは、ちょっと、違うけど」

「ふーん、……、町まではどのくらいあるんだ?」

「あ、えーっとね」

「タダサン、出口までは後どのくらいあるんですか?」


 さて、離れずについて来いと言っても、実は私は何もすることがない。そもそも、ここがどこなのか全く分からないし、この建物がどういった作りなのか、どこに出入り口があるのか何も知らない、全ては車いすとアガートラムが決めて、勝手に進むがままにお任せしていた。


 なので、その暇を潰すために時々振り返って、後ろに続く三人にいろいろと話しかけてみたり、歩く様子を観察していた。


 会話のほとんどは自分とセンの二人で完結していたが、時折、ロックがその会話に割り込んできた。センと話すことで、ここがどういった場所なのかようやく知ることができたが、会話のきっかけを掴むまでは本当に大変だった。


 見た目、ほとんど小学生ぐらいの年齢に見える彼らと共通の話題というものがない。

 最近どうだ? なんて、曖昧な、反抗期の子どもを抱える父親みたいな話の始め方ができるほど、彼らとの関係は深いものではない。結局、なんとか、いろいろと話を振って警戒心が薄いセンからようやく様々な話を聞き出すことができた。


 しかし、最後方にいる二人、アールとロックからは話を聞くことができていなかった。ロックは時折、話に割り込むが、明らかな牽制の様子であった。彼ら二人は視線をコチラと絶対に合わせないように動かしている。センとは違い、相変わらず不審と警戒の色合いが強い。


 三人は自分から三歩、四歩、後ろを離れて歩いている。

 小柄なセンが先頭になり、アールとロックは更に一歩下がった位置でそれに続いている。もし上から見ることができればちょうど二等辺三角形のような形に見えるのだろうか、初めはもう少し近い距離を縦一列に並んで歩いていたいのだが、いつの間にか、そのような距離が開いていた。


 警戒心の差がそのまま順番に現れているのか、セン、アール、ロックと縦に並んで進んでいたが、気づくとロックが一人遅れ始めた。歩き疲れ、もしくはなにかの不調、怪我でもしたのかと心配したが、距離があり、明らかにコチラをひどく警戒している彼になんと言葉を掛ければいいのか分からずに考えていると、彼は少し変わった動きを見せた。


 少し歩くと足を止め、頭を左右に動かして、何かを探すような動きを見せる。その後は何事もないように歩き始めるのだが、またしばらく進むと、同じように足を止め先程と全く変わらない動きを見せる。その動作自体は、ほんの数舜のモノだが、何度も続けることで周囲から僅かに動きが遅れ始めた。


 自分がそれに気づいた時、おそらくアールもその動きが気になったのだろう。彼女は歩く速度を緩め、ロックの方に近寄って縦一列の隊列は崩れ、今の形に落ち着いた。



「ちょっと、ちょっと」


 私はロックからの久しぶりの質問に答えるために小さく手招きをして、上に浮かぶアガートラムを呼び寄せた。

 

―はい? 何かございましたか?

「いや、あのさ、」

―はい

「出口まで、あとどのくらい?」

―正面口までは現在の速度で7分程となります。

「そうか、ガーディアンはもういないんだよね?」

―警戒態勢は解かれましたので、通常業務体制に戻りました

「わかった。ありがとう」



「あと、少し。もう少し、早く歩こうか?」


 最後方に位置する二人にそう伝えた。  

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