????/??/?? 確認
「えーっと、順番が前後逆になってしまったけど、とりあえず先にあいさつさせてもらうよ?」
こちらに向けられた六つの瞳を前にして、私はそう切り出した。これは完全に自分の話の癖である。
もともと人と話すのが得意ではない。そうはいっても、社会人として仕事をするならば、様々な人と関わらなくてはならない。だから、潤滑なコミュニケーションの為に、どれほど緊張していても、口から出せる一番なじみある言葉、自分の名前を使った鉄板の自己紹介を始めた。
「私の名前は多田和人といいます。たくさんの田んぼに、令和の和に人と書いて、」
「? タダさんでいいのですか? タダカズトさんまでが名前ですか?」「いや、タンボって何? レイワのわって何?」「人って、タダカズトに“ひ”はないわよ?」
目の前にいる三人は私の名前に戸惑った表情を浮かべた。どうこちらを呼べばいいのか、完全に理解されていない。特に、名前の書き方、漢字を説明した部分が大失敗をしてしまったようだ。
「あ、いや、タダさんでいいから、あと、さっきのは忘れて……、」
「あ、はい」「なあ、タンボってなんだ? あと何を忘れればいいんだ?」「タ・ダ・カ・ズ・ト、やっぱり“ひ”はないわよ?」
考えてみれば、見た目は小学生くらいの背丈である。漢字の説明が少し難しかったのかもしれない。それに見た目、コスプレしてる子供たちだから、もしかしたら、純粋な日本人ではないのかもしれない。
失敗を反省し、その原因にある程度目星をつけて、話題を切り替えるために少し強引に話を持っていく。
「タダさん! ちゃんと約束守を守ってくれればきちんと無事に外に出られるから、」
「ほ、本当ですか!」「守る! 守るから、約束守れよ! タダ!」「……できるの? アナタに?」
男の子二人は素直に食いついてくれた。しかし、アールと呼ばれた少女は簡単にそれを信じてはくれないようで、こちらに少し冷たい目線と疑いの言葉をかけてきた。
「ああ、大丈夫。でも、いくつか約束してほしい」
それを受け止めながら、車いすを三人の方に少しだけ近づいた。
一番小柄なセンという少年は、こちらが近づいていることに気づいていないのか、少しもその場から動こうとはせず、それと対照的に、ロックと呼ばれた少年は、こちらが近づいた分、悟られないようにスッと少し後ろに下がった。背丈が一番大きな少女アールは気づいているだろうに、一歩も動くことはしなかった。
「約束して欲しいことは、二つだけだ」
それぞれの動き、警戒心の現れたそれを見たうえで、それを無視して三人に話を始めた。




