プロローグ:決戦
プロローグが魔王との最終決戦ってマジ?
---本当に嫌になる---
戦っててずっとおかしいと思ってたんだ。
「がっはぁ!!」
「勇者と言えどこの程度とはな...」
「アルト!!しっかりしろ!!」
「っマリア!回復を!!」
「もう魔力が残ってないんじゃ!!メイは!?」
「無理よ!ドットの治癒とみんなへのシールドで手一杯なの!!私が止めたらそれこそ一瞬でやられちゃう!!」
こちらは仲間全員瀕死だってのに相手-魔王は傷一つ負った形跡がない。
「どうした?我を倒すのではなかったのか?」
「くっ...!」
魔王の挑発にアルトが倒れながらも睨みつける。
---でも、奴の言葉の中に殺意がない---
瀕死なのになにをほざいてるかって?
俺には分かるんだよ、なんせ...
「ふむ、どうやら我の予想とは程遠かったな」
(また、ダメだった。)
「魂の勇者だから...か」
「シン?」
つい考えてたことが口に出てしまったようだ。横にいたメイが心配そうに聞いてきたので何でもないと伝える。
「これで終わりか?ならばそろそろ、この戦いも終幕としよう」
(待って...止まって!私はもう誰も殺したくない!)
そう言って魔王は大型の魔法陣を作り出し詠唱を始める。
---本当に嫌になるな---
ずっとあいつの言葉の中から声が聞こえてくる。
おそらく本心、魂の叫びだろう。
過去の経験からなんとなく察した。
「我が瘴気を糧とし、禁忌を成す」
(誰か、私を止めて!!)
こいつは、200年以上ずっと苦しんできたんだ。
自分の意思とは裏腹に体が勝手に動き続けて。
自分では止めることができない状態でずっと一人ぼっちで。
「我が望みは支配。故に世界は業火で焼く尽くす」
(誰か、私を殺して!!)
誰かに止めてもらいたくて。
でも来た人はすべてを殺してしまって。
最後には自分の死すら望んでいる。
「禁忌:ヘルフレア...起動」
(もう...全てを...終わらせて...)
---こんなのが【災禍の魔王】だって言うのかよ---
何が魔王討伐でハッピーエンドだ!胸糞悪い!!
俺は昔っから、転生前からこういうバットエンドな物語がぁ!
「大っ嫌いなんだよぉ!リフレクトフィールド!!」
ヘルフレアに対して防御魔法を発動し仲間を守る。
「はぁあああああ!!」
「シン!!」
「シンさん!!」
「ほう?相殺とな、まだ戦えるものがいるとは」
(い、生きてる?)
「貴様は...なるほどイレギュラーな勇者か、面白い」
(お願い!私がまた殺してしまう前に早く逃げて!!)
何とか防げたが今の一撃でこっちはぼろぼろだ。でもまだ倒れるわけにはいかない。
あれ?これ耳逝ったか?周りの音が聞こえなくなってしまった。
『あるじ!今の攻撃がまた来たらもう防げない!!』
「はぁ...はぁ...分かってる。」
『主よ、何をする気だ?』
手の中から相棒たちの声が聞こえる。
皆には申し訳ないが、俺のやりたいことは決まった。
「今から俺の魂源を魔王にぶつける」
『正気⁉そんなことしたら...』
「どうせ負けて死ぬだけなんだ」
『主よ!!』
「これがラストアタック...最後まで俺に付き合えよ、相棒」
『......分かった(承知した)』
聞き分けが良くて助かるよ。
さぁ、覚悟は出来た。
「魔王、お前にどんな過去があって今に至るのかなんて知らない」
相棒達を握りしめて、一歩ずつ前に進む。
「だがあんたの声、しっかりと聞こえてるよ」
誰かがなんか言ってる気がするがよく聞こえてない。
仲間かな?魔王かな?今聞こえるのは相棒の声と魔王の声だけだ。
「・・・・・・・・・」
(なに、する気なの?)
心配してくれるのか、優しいじゃん。
一度深呼吸して、詠唱を開始する。
「我、糸を紡ぐ者」
「想いは願いに、願いは心に火を焚べる」
「心火を束ねて楔と成し、楔を束ねて剣と化す」
「例え全てが拒もうと、我が願い止まること知らず」
「この異界にて、ただ一人心意を唄う」
「故に脆く、故に儚く、されど美しき希望なれ!!」
眩い閃光の後、右手には七色の大剣が顕現した。
「行くぞ魔王...これが、最後の...一撃だぁああああ!!」
俺の剣と魔王の魔法。光と闇がぶつかり合い、眩しい閃光がこの空間すべてを飲み込む。
そして...
彼の二振りと剣と仲間だけがこの空間に残った。
Q.結局主人公は何したの?
A.「魂の勇者」の能力で魔王が心の声を聞いた。
バットエンド嫌いって理由だけで討伐から救出へと切り替える。
聖剣と魔剣を自身の魂用いて融合し剣を精製し、文字通りの魂の一撃を魔王にぶつけた。




