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転生ゲーマーは無限レベルアップで成り上がる!  作者: おさない
第四章 目指せ無限レベルアップ
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第88話 修行の成果です!


「うぅ……めでたく……ありません……!」


 動けなくなったルッタは、シャオメイに背負われた状態でうわごとのように呟く。


「何を言ってるカ! こんなに早く気を扱えるようになるなんて、とってもめでたいことヨ! 今日は師匠に報告してお祝いするネ!」


 一方、シャオメイはそんな彼のことを明るく励ました。


「ですが……おめでたい可能性も……考えられます……!」


「ん?」


「むにゃむにゃ……おかわり、ください……」


「……ただの寝言だったカ」


 しかしどうやら、倒れてしまったことに関して落ち込んでいるわけではなく、単純に寝ていただけのようだ。


「まったく、心配して損したネ!」


 彼女は大きく息を吐きながら言った。


「けいけんち……おいしい、です……えへへぇ……」


 そんな状況でもなお、意味のわからない寝言を呟き続けるルッタ。


「……けーけんち? 聞いたことない名前の食べ物ヨ」


「はやく……はやくけいけんちを……! うぅ……っ」


 一体、彼はどのような夢を見ているのだろうか。


「……こんな時に食べ物のこと考えてるなんて、ロウスーみたいでのんきな奴ネ」


 色々と勘違いしているシャオメイは、呆れた様子で言った。


「……でも、そういう可愛いところも好きヨっ!」


 そして、頬を赤くしながら一人で騒ぐのであった。


 恋する乙女は盲目である。


 *

 

 とにかく、そうしてムゲン水を手に入れるための修行が始まった。


 ルッタの当面の目標は師範に認められること。そのためには、技術だけでなく心も磨かねばならない。


 もちろん、ルッタ自身もそのことは理解している。


(僕は心優しいので、何も問題ありません! リリア姉さまからもよく言われます!)


 自信満々であった。彼は誰よりも素直で清らかな心の持ち主である。


 あまりの清らかさに、師範も涙を禁じ得ないであろう。


 ――初日で気の力を引き出すことに成功してしまったルッタは、二日目から他の弟子たちと同じ通常の修行に参加することとなった。


 まず最初に行ったのは、山頂で座禅を組んで気を纏い続ける瞑想の修行である。これを成し遂げるためには、心を常に安定させねばならない。


(なるほど、放置ゲーの中でもかなり虚無に近い方のやつですね!)


 しかし、この修行がルッタにとって最も過酷なものであった。


 隣に座る年長の弟子――ワンリーのやり方を参考にしながら、ひたすら心の平穏を保ち続ける。まさに退屈の極み。


 ルッタにとって最も恐ろしいものは、ホラーゲームに登場する倒せないお化け。そして二番目が退屈なのだ。


(うぅ……真っ暗な画面を眺め続けている気分です……っ!)


 目をぎゅっと瞑りながら、そんなことを思うルッタ。他の三人と比べて明らかに纏っている気と意識が乱れていた。


「喝ッ!」


「あう」


 集中が途切れれば、当然後ろで様子を見ている師範に竹の棒で背中を叩かれる。


(うぅ……攻撃を受けると痛いですが、その代わり防御力が少しずつ上がっていくので……むしろそっちの方がマシかもしれません……!)


 もちろん、ルッタがその程度の痛みでめげることはない。


 暇さえあればゲームの攻略について考えてしまう彼の性質は、この修行ととても相性が悪かった。


「喝ッ!」


「あう」


「集中が途切れておるぞ。もう少し落ち着くのじゃ」


「……はい」


 実際のところ、魔力を扱う際も精神を安定させることは重要である。ルッタの魔法が派手に爆発したり予想外の炎上を引き起こしたりしがちなのは、彼の心が常に荒ぶっているからであった。


(……これもムゲン水を手に入れるためです。あまり面白くないミニゲームだったとしても……できる限りハイスコアを目指しましょう!)


「喝ッ!」


「あう」


「やれやれ……以前のハオランと同じくらい落ち着きがないのう……」


 瞑想の修行が完了するまでの間、ルッタはひたすら叩かれ続けたらしい。


 どうにか瞑想の修行を終えたルッタが次に行ったのは、竹林の広場にある木の人形を用いた打ち込みの練習である。


「ルッタ、背中だいじょうぶカ?」


 シャオメイは心配そうな顔で問いかけた。


「僕は防御力が高いのであまり痛くありませんが……少しも動いてはいけないなんて、ゲームとしてあまりにも厳しすぎます……!」


「よく分からないけど――あれは毎朝やるから早く慣れることヨ」


「そんな……っ!」


 あまりにも残酷な事実を知らされ、絶望するルッタ。


 しかし彼に落ち込んでいる暇はない。やるべき修行はまだまだ残っているからだ。


 打ち込みの練習は、手本であるシャオメイの動き真似てひたすら人形に一撃を加え続けるという単純なものだ。


 もちろん、その間も常に気をまとうことを忘れてはいけない。


 それが終わったら、流れ落ちる滝に向かって一点に集中させた気を放出する気弾の練習。


 さらにその後は、共に拳に気を集中させて岩を砕く正拳突きの練習と、様々な修行を重ねた。


 そうして、いつの間にかひと月が経過してしまったのである。


(思ったよりも時間がかかりますね……。ルッタツーは家で僕として元気にやれているでしょうか?)


 深夜、道場の中で布団を敷いて皆と寝ていたルッタは、家で待つ家族やルッタツーに思いを馳せる。


(何だか少し……寂しい気持ちです)


 そして、初めて明確な寂しさを自覚したのであった。

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