表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/52

第九話 決戦準備

少し短い内容となってしまったので、本日は連続投稿です。


そして更に 新たなブックマークを一件頂きました!!

付けて下さった方、誠に有難う御座います。お礼に明日も連続投稿致しますので、どうか楽しんで頂けると嬉しいです。

「なあ旦那、旦那ってば!! いい加減起きねえのかよ。もう日はとっくに登ってるぜ」


 この灰河町に迫っている危機を聞かされた翌日よくじつあさ。いつまで経っても一向にきる気配けはいのないみやびに痺れ切らした千賀丸せんがまるが、彼の身体を揺すりこえける。

 すると閉じていた両目りょうめが僅かにひらいた。


「………………ん″ん? 誰じゃお前?」


「千賀丸だよ!! もういい加減覚えてるだろうによ、 全く意地悪な旦那だぜッ」


「知らん…。ワシの眠りを邪魔するな、斬り…殺すぞッ」


「良くそんな物騒な事あくびするみたいに言えるな」


 口では意地悪いじわるを言い続けているが、寝起きでけられなく成っただけ彼もれたのだろう。雅は千賀丸が上げたあかりより入ってくるひかりからにげげるように畳の上をい、腕で目を隠す。

 その背を丸め部屋へやすみちいさくなる姿には、あの夜のまみれ刃を振るう鬼気ききはもう影も形もなかった。馬鹿デカい猫みたいである。


「眠りの邪魔するなって……もう町の皆は仕事始めてるぜ? 群が来る前に村を囲う板壁いたかべとかほりを完成させなきゃいけねえんだと」


「それがどうした…勝手にやらせておけば良い。此処はワシの町じゃない」


「別にひまで寝てる位なら手伝ってやっても良いだろ。それとも若しかして、雷峰と戦ったきずがまだいたむのか?」


「傷ならとっくに治っとるわ。ふあぁぁ………あの程度の輩にとこさせられる程(やわ)ではない。ワシが寝ておるのは、ただ単に…無償むしょう人助ひどだすけなどせんと心に誓っておるからじゃ」


 雅はそう言って頭に巻かれた包帯ほうたいを外してた。

 彼といい雷峰といい、本当に人間にんげんうたがわしくなる程の頑丈かんじょうさと回復かいふく速度そくどである。獄門衆は元々身体が頑丈に出来ているらしいが、二人ふたりは明らかに千賀丸自身と比べてものちがう。


 一体どうやってこのたたか専用せんように作られたかの如き肉体にくたいを手に入れたのか。

 その事も気になったが、この調子では何を言っても碌な返答へんとうもらえそうにない。



「じゃあもうオイラ知んねえからな。外出てくるから、寂しくてベソ掻くんじゃらねえぞッ」


「………………………………………………待て」


 共に連れ出すことをあきらめ、最後に冗談じょうだんで言った言葉。当然無視(むし)されると思っていたそれに まさかみやび反応はんのうした事で、逆に千賀丸の方がおどろかされる。


 やっはり旦那といえどせま部屋へやに一人()いていかれるのはさびしいのだろうか。

 そう思って振り返ると、部屋の隅で丸まっていた雅がふところから何やらかみらしき物をしたのだ。


「これをあの能面ジジイに渡して、準備しておく様に言え……」


 雅はそう言って千賀丸が居るのとは全く別方向べつほうこうへとその紙をほうり、再び寝息ねいきを立て始めたのである。


 それはずっと懐に入れていたらしく、ちり紙の如くにグシャグシャ。しかし拾ってみるとどうやら手紙てがみの様である。

 恐らくむれむかつ上で、なにか事前じぜんつたえておく必要のある事が書かれているのであろう。


 少年はそのぐらい自分で届けろよとも思ったが、思うのみに留める。

 そうして二人で借りるには手狭てぜま宿やどから飛び出し、千賀丸はなにか自分でも出来る仕事しごとさがしに外へと出掛けたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ