表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/52

第五話 月夜のバトルロワイヤル⑤

基本二日に一度更新。

『ブックマーク』や『評価』等々を一つでも頂けた日は翌日も更新します。


「ホアッ、ホホホホッ!! ホアハーーーッ!!」


フォン フォン フォフォッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″ッ″…………ズ″″ウ″ォ″ン″″″!!!!!!!!!!!!!!



 骨面こつめんの獄門衆が野生的やせいてきさけごえと共に石鎚へ繋がったくさりまわす。そして瞬く間に円盤えんばん状の残像ざんぞう浮かぶほど加速かそくさせられたいわかたまりみやび目掛けてはなった。


 どうやら 剥き出しの本能ほんのうはその剣士を一番いちばん脅威きょういとして認識したらしい。

 

「 おっと」

…………フウォ″オ″″″ ッ!!!!!!!!


 そしてみやび自身もなんとなしに自らが一番にねらわれると予期よきしていたらしく、彼ははなたれた石鎚せきついを業を用いずおのれ反射はんしゃ神経しんけいのみで上体反らし回避かいひ

 またその動きと同時、彼は右手みぎてふところへとんだ。



 すると、 何故かその骨面こつめん行動こうどうに対してかお屈辱くつじょくあかくした男が居たのである。


「なんだとッ、拙者は後回あとまわしか!! しのびを嘗めおって、後悔させてやるぞ貴″様″ら″ァ″ァ″!!!!」


 獄門衆ごくもんしゅう精神せいしん不安定ふあんていさを象徴するが如く不動尊ふどうそんが叫ぶ。どうやら骨面がみずからよりもみやびへの攻撃を優先ゆうせんした事を受け、己をしたられたと激昂しているらしい。



キィッ″ッ″ッ″″ッ″″ッ″″ッ″″…………ブ″オ″ォ″ン″!!!!!!



 その怒りに任せ、忍は両腕りょううでを天へとげる動作と共に得物えもの回転かいてんを急激に加速かそく。そして骨面こつめんみやびへ向けて 巨大きょだい手裏剣しゅりけんは風切り音と共にはなたれた。


(間髪入れず今度はこっちかッ。体勢立て直すひますら無い、これぞ乱戦の醍醐味だいごみじゃな!!)


 背骨せぼね直角ちょっかく近くまでらせ石鎚をかわした直後ちょくご 容赦なく飛んでくるその手裏剣しゅりけんに、雅は寧ろうれしそうに内心で叫んだ。

 現状彼は体勢たいせいなおせておらず、攻撃の到達までにはとても重心じゅうしん中立ちゅうりつもどせない。回避かいひ不可能ふかのうな絶体絶命の状況。


 だがしかし、これまでかさねてきた戦闘経験せんとうけいけんによりみやびは既にこの瞬間の最善手さいぜんてえていた。


 それは崩れゆく身体からだなおす事でも、迫り来る手裏剣しゅりけんめる事でも無い。

 雅は不動尊ふどうそんが攻撃を放ってきたのとほぼ同時どうじ、懐より抜き去った短刀たんとう一本を此方こちらからも相手へ向けて投擲とうてきしていたのだ。



       スウォンッ

         ブ″ウ″ォ″オ″オ″!!!!



 放たれた手裏剣しゅりけん短刀たんとうの影が上下にかさなり 擦れ違って 両者の肉体にくたいへとせまる。


 そしてさき到達とうたつしたのは雅が投擲した短刀たんとう。敵との間に引かれた最短たんとうルートを狂いなく辿たどり、綺麗な直線ちょくせん残像ざんぞう引いて宙をつらぬいた。

 がしかしその余りに単調たんちょう軌道きどうけるにも容易たやすく、獄門衆ごくもんしゅう反射神経はんしゃしんけいで不動尊がひるがえし標的を外す事となる。


 そしてそれから瞬き一つほどのかずして、手裏剣しゅりけんが姿勢崩れ切ったみやび身体からだへと到達とうたつ


「 ッホギャア″ア″ア″ア″ア″″!!!!」


 手裏剣しゅりけん命中めいちゅうしたらしい甲高い悲鳴ひめい。それが血生臭ちなまぐさい空気立ち込める夜闇よやみこうがわより不動尊の耳へとこえてたのだった。

 何とも呆気ない、勝負しょうぶ幕切まくぎれである。







「……ッ″!?」


 しかしその直後、何故か千剱岳の忍仙の背筋せすじを鋭い悪寒おかんが這い上がっ

       ッギ″″″イ″ン″!!!!!!!!!!!!


 本能の警告で、不動尊は咄嗟とっさに業の力を使いてのひらうちへとクナイを出現しゅつげんさせ背後へとかえる。すると其処には何故なぜか、自らの横をっていった短刀たんとうつかみ今正にやいばろしてくるみやびの姿が。

 忍はそれを紙一重にクナイでめ,死神しにがみ指先ゆびさきを間一髪すりける。



「……ググッ″!!」

「おお、コレも受け止めるか! 良いのぉ、お前良いのおッ!! では、これは如何じゃァ″ァ″!!」


ガガガガッ………ギ″″ン″″ッ!!!! ガ″ギィン″″″ッ!!!!!!

 


 ここ直近ちょっきん戦ってきた者達であれば皆使(つか)えばわりであった業『死不別互しすらもわかたず』による瞬間移動しゅんかんいどう攻撃。それを完全な初見しょけんにも関わらず 目前の忍はめてみせた。

 そのかんばしい事実じじつに雅はまらなくころしたくなり、その弾かれた短刀たんとうかえかえし不動尊目掛けたたけた。



ギィン″ッ!!!! ズシュッ  ガァン!! カッ! ガギン″!!!!!!  ッ ズバ″″ァ″″″………ドン!!!!



 短刀対クナイという間合まあみじかい得物用いた接近戦せっきんせん


 だがやはり、近距離きんきょりでの戦いではみやび優位ゆういがあるらしい。

 むすんだ刃が火花ひばな散らす内、短刀たんとうが徐々に敵をかすはじめ 遂にはにくを深々()き血飛沫が舞った。更にその深手ふがでで一瞬(ひる)んだ不動尊ふどうそんへと雅はりをたたみ、その口から苦悶くもんかせる。


「 ガハァ…ッ″!!」


「如何したッ、千剱岳せんじんだけ忍仙にんせんとはこの程度か? もっと力を捻り出せ、この程度ではワシに殺されてしまうぞ!!!!」


 自らの入れたりにより、をくの字へとった忍。それへと雅は挑発ちょうはつとも 声援せいえんとも 罵倒ばとうとも取れる様な不思議な言葉ことばびせけた。

 

 するとそれを受け、不動尊ふどうそんはその顔をしわめたまま、闘志とうしもどった いやそれまで以上に闘志とうしがった声でこうさけかえしたのである。



「グ″ゥ″ゥ″ゥ″ッ……千剱岳を 嘗めるなア″ア″ア″ッ!!!!」

      ギィン″!! ガギィ″ン″″″!!!!!!



 そして忍はその剣ヶ峰から底力そこじから発揮はっき。もう致命傷ちめいしょうまで指折ゆびおかぞえるばかりという所から、己のうちにある技術ぎじゅつすべてを搾り出してかえし始めたのだ。

 ごうちからにより左手にもクナイを出現しゅつげん得物えもの二本にほんを全体重傾けた決死けっし前進ぜんしんと共ににもまらぬ速度そくどで振るい 戦いの主導権しゅどうけんを敵からうばかえした。



キィン″!! ッギ″ン″!! ガキィ″″ッ!! カッガ″ッギイン″″ガ″ン″ッガ″ン″ フォン ギイィン″″ッガ″ッガァ″ン″″ッギィン″ギィ″ン″″ ガギ″イ″ン″″″ッ!!!!!!!!!!

                  「 ッな″!?」



 すると その鬼気迫る猛撃もうげき気圧けおされたか、みやび重心じゅうしんが僅かにうしろへといた。


「ッ 隙ありィ″ィ″″!!!!」  

              ダン″″!!!!!!


 敵が背後はいごんで一旦距離(きょり)つくろうとしている。

 そう勘付いた不動尊はかさず此方から間合まあいをめ、血匂けっしゅうぎつけたさめの如くに脊髄反射でらいく。


 雅に先んじた跳躍ちょうやく、それにより電光石火で敵のふところへともぐんだ。そしてこの一瞬いっしゅん勝敗しょうはい全てをけんと、 不動尊は全身全霊ぜんしんぜんれいを乗せて右手みぎてのクナイを敵の喉元のどもとへとしたのである。






           


スカッ…………………………………………………


 しかし、そんなおのれ命運めいうん全てける思いで放った一撃いちげきつたえてきたのは、空気くうきのみをつらぬいてゆく実に空虚な手応てごたええ。


 唐突にゆめからめてしまったかの如くのう現実げんじついていかれる。まるで天地てんちがひっくりかえってしまったかの様に、情報じょうほうを何一つとして頭で処理しょり出来できなくなる。

だがそんな中(ただ)ひとるぎない事実じじつとしては、 彼の瞬き一つしていない視界しかいうちから、 忽然とみやび身体からだが影も残さず消失しょうしつしたという事。



そして、 その消えた身体からだうしろより、 それが今この瞬間までかくしていたとあるものが姿を現した。

 戦いの輪から弾き出されいまいままでいきひそめていた骨面こつめんの獄門衆。それが放った石鎚せきつい質量しつりょうかたまりが突如不動尊(ふどうそん)の目と鼻の先へと出現しゅつげんしたのである。


…………………………………………………………………………ッド″″″ゴ″″ グシャァ






お読み頂き有難うございます。


もし楽しんで頂けましたら、『ブックマーク』と『評価』等々を宜しくお願いします。そしてそれらを一つでも頂けましたら、明日も新しいエピソードを追加させて頂こうと思います。

そして少しでも小説の技量を上げたいと思っておりますので、感想なアドバイスなどを頂けると嬉しいです。


何卒応援のほど、宜しくお願い申し上げます


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ