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女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十六年度、智香子、中等部二年生編〕

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人体実験、続行

 情報支援役として見れば、それこそ理想的なアイテムとスキルの組み合わせ、ではあるのだろう。

 などと、智香子は他人事のように思う。

 智香子が今ひとつ、こうした便利な機能に心から感心できないのは、他のパーティメンバーにとっては重宝する能力も、智香子個人にとってはあまり利益がないように思えたからだ。

 いや、厳密に考えれば、パーティが効率よく狩りをできるようになれば、智香子自身にも累積効果その他の恩恵があるわけだが。

 ただ、こうした能力は、智香子自身が活躍することを助けてくれるわけではない。

 なんだかなあ。

 智香子としては、そんな風に思ってしまうのだ。

 他人を助けるためのスキルやアイテムばかりが、集まってくる。

 探索者としての自分は、どうにもそういう巡り合わせになっているらしい。

 別に智香子自身にしても、なにがなんでも自分自身が無双をしたい!

 という強い要求があるわけでもないのだが。

 もう少し強めの攻撃用スキルなりアイテムなりが回ってきても、よさそうに思う。

 これはこれで、たいしたものではあるんだけどね。

 智香子は二種類のアイテムによって強化された情報を全身で受け止めながら、そんな風に思う。

 ウサ耳型と〈透徹者の眼力〉、この二種のアイテムによって得られる情報は、量としてみても膨大な物だった。

 その膨大な量の情報を、智香子は少しも戸惑うことなくスムーズに受けて止め、受容している。

 こうしたアイテムを使用していない時に、智香子自身が普段受け取っている情報量は、五感で感じ取れる情報すべてを引っくるめても、今の五分の一以下にすぎないだろう。

 なにもかもクリアに感じられて、すべての事物をかなり細かいところまで把握できた。

 凄いといえば凄いのだが、当の智香子はそれを当然だと感じているので、その凄さについて、今ひとつ実感できていない部分もある。

「なにもかもが、やけにくっきりと感じられるんだけどさ」

 智香子は、仲間たちにそう説明した。

「ただ、今、こうしている時は、それが当たり前だとも思うから。

 だから、こうしている今は、その凄さがちょっとピンと来ない状態でもあるんだけど」

 こうした感覚を言葉で説明するのは難しいかな、と、智香子は思う。

「チカちゃんの自己評価は、この際置いておこう」

 黎は、そういい放った。

「こっちとしては、そのアイテムが使えるということさえわかっていればいいわけだし。

 それよりも、今度は〈叡智の指輪〉も填めてみよう」

「〈叡智の指輪〉、かあ」

 智香子はいった。

「頭の回転が早くなる、って効果だったっけ?

 この状態でその指輪をつけると、どうなるのかなあ」

 そんなことをいいながらも、智香子は黎から手渡された指輪を左手の小指に填めた。

「ん」

 智香子は、それから左右を見渡して、ゆっくりとそういう。

「なんか、そうとわかるような変化は感じないかな」

「まだ一個だけだから」

 佐治さんがいった。

「様子を見ながら、一個ずつ指輪を増やしてみよう」

 あれ?

 と、智香子はいぶかしむ。

 なんか佐治さんの声が、籠もっているように響いた気がした。



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