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女子中高校生が部活で迷宮に入るだけ。 東京迷宮_2015~  作者: (=`ω´=)
〔二千十六年度、智香子、中等部二年生編〕

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アイテム選び

「とりあえず、自分が興味あるのを選んでみて」

 智香子は仲間たちにそういった。

「これだけの数があると、片っ端から〈鑑定〉するのも手間だし」

「使いたいやつを選んでから〈鑑定〉して貰う形ね」

 佐治さんは軽く頷いた。

「そっちの方が手間は省けるかな」

「割と見た目とかデザインって大切だから」

 柳瀬さんも、そういう。

「使いたい、って思えるアイテムでないと、使いこなす気にならないと思うし」

「わたしとしては、近接戦闘用に使い勝手がいいのがほしいところですが」

 世良月がいった。

「師匠のやり方を見ても、戦闘可能領域は広い方がいいと思うのですよ」

「最終的には、遠距離も近距離も自然とこなせるようにはなると思うよ」

 黎は意見を述べた。

「探索者としての経験を順当に積んでいけば、だけど。

 ただ、性急にそうなろうとすると、かえってどっちつかずになるんじゃないかな」

「月ちゃんは、遠距離メインでいいと思う」

 佐治さんも、そういう。

「今のところ、いい感じに伸びているみたいだし。

 実際に戦果を出せているってことは、そういうやり方が性に合っているってことだと思う」

「この六人だと、頼りになる後方支援役の方が欲しいくらいだしね」

 香椎さんはいった。

「六人中四人が前衛で近距離メインって、バランスとしてはそんなに悪くはないと思うけど」

「まだまだ、苦手な領域を補うよりは得意な領域を伸ばす方が効率がいい段階だよな」

 佐治さんは、しみじみとした口調でいった。

「全員、伸びしろはかなり残っている感じだし」


 いろいろと意見を交わしながら、全員で相談しながらアイテムを選んでいく。

 黎は、敏捷性と攻撃力のプラス補正が働くアイテムを中心に選ぶ形となった。

 佐治さんは、防御力と攻撃力の、同じくプラス補正がつくアイテムを中心に。

 香椎さんは、かなり大きな長方形の盾と長い槍を選んでいた。

 プラス補正効果などがない代わりに、どちらも頑丈で長く使えそうだ、ということで選んだらしかった。

「うちのパーティ、頼りになる盾役とか敏捷性と攻撃力に優れた前衛はいるから」

 と、香椎さんはいう。

「ちょっと半端なわたしとしては、そういう前衛を支援する前衛を目指す方が効率がいいと思う」

「そういうのは、半端ではなくてバランスがいいっていうんですよ」

 世良月は、そう評した。

「攻撃と防御、両方を手際よくこなせる人は貴重です」

 防御を無視した攻撃特化型が、二人もいるからなあ。

 とか、智香子も思う。

 盾を持たず、自身の素早さと回避だけを頼りにエネミーと渡り合う。

 黎も柳瀬さんも、そんな戦闘スタイルだった。

 こういう、一見して無謀なスタイルを採用する探索者は、現実にはそんなに多くはない。

 まだまだ初心者の域を出ていない六人、その中の、人数にして三分の一がその珍しいスタイルを採用しているというのは、かなり珍しい事例だろう。

「うひひ」

 その柳瀬さんは小さく笑い声を立てながら、なにやら怪しげな形状の腕輪? を手首に填めていた。

「それ、なに?」

 香椎さんが、訊ねる。

「あちこちから棘が出て、見るからに中二っぽい見た目なんだけど」

「これ、こうするとですね」

 柳瀬さんが手を軽く振ると、その腕輪から物凄い勢いで鉤爪が飛び出し、拳を覆う。

 鉤爪というか、棘というか。

 そんな感じの尖った、細長い物体が、柳瀬さんの拳を檻のように覆っていた。

「トゲトゲでできたドリルだね」

 佐治さんが、感想を述べた。

「それで殴ったら、痛そうだ」

「ええと、状態異常付与効果あり、だって」

〈鑑定〉スキルを使った智香子が、読み取った情報を伝えた。

「一定の確率で、ってあるから、実際にはそんなに頼りにならないかも知れないけど」

 ちなみに、その奇妙な腕輪の名称は〈棘檻の凶手〉だった。

 名称まで、中二っぽいな。

 などと、智香子は思う。



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