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碧い月へ  作者: フレーズ
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【投石】



私の思いの数々を


読もうともせず削除した


そんなことを


当たり前のように報告されて


私はただ一言だけ


ひどいねと返した


私が笑っていたから


貴方も笑っていた


まるで面白い話のように


普通に笑っていた


私の顔は笑いながら


次の言葉を捜したが


口は動こうとしなかった



小石を投げ込まれた


心の水面は


小さな波が弧を描き


その波動は静かに


隅々まで拡がった


底に沈みゆく小さな石は


その前の小石を少しかすめ


隣り合わせに居座った


この小石たちは


多分ずっとこのままだ


誰かに掬われる事はない


ましてや


貴方に掬われる筈はない


きっとこのまま増えていき


心は段々重たくなって


我慢できない痛みとなる



私はいつかそんな心を


放り出したい時が来る


貴方の思いも寄らない


そんな時期


私の心の全てを


昔懐かしい場所に


自らの手で


置き去りにする時が来る


その時貴方は


空っぽの体を抱いて


どんな顔でどんな風に


笑っているかな


無くした物も気付かずに


ただ笑っているのかな


まるで面白い話を


聞いている時のように


今と同じ顔して


だだ笑っているのかな






【記憶】



私がこの世に生まれた日


なぜか貴方は記憶出来ない


一日前だったり


二日後だったり


三日後だったり


四日後だったり


五日後だったり


過去の五回全て


その日だけ擦り抜けた



毎年毎年同じ会話


「今日じゃないよ」


「あれ、今年も間違えた?」



貴方の記憶からは


なぜかこの数字だけが


削除されてしまうのね



「記憶できない


初恋の人の生まれた日は


今でもちゃんと覚えているのに」



呆れちゃう


抜けぬけと良く言えたものだわ


今年は何日ずれるだろう


逆に楽しみになってきたよ


本当だよ


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