8月12日 ホストのキヨテルとアンベレベ教と玉狩り族編
8月12日
敵を知れば百戦危うからず……と、誰かも言っていた。
これは確か、風俗嬢の情報を綿密に調べ上げることで、地雷を回避するという挑戦者が編み出した言葉だったと思う。
そんな古人の言葉に倣い、私たちも童貞大邪神アンベレベ教の本部に潜入した。
道案内をしてくれたのは、この街のナンバーホストのキヨテルだ。
キヨテルは「男子の尊厳を取り戻したいッスね! でも、女子にはキラわれたくないッス! 頑張るッス! あざース! よろチクビー!!」と、長い前髪をクリクリしながら言った。
つまり、女子の味方をするらしい。謝礼に婆たちが指名することになってるそうだ。
そしてキヨテルは、カルト教団について詳しいらしい。
テレビでは社会派コメンテーターとしての実力も発揮してるそうで、「今は世界から貧困と差別を直したいと真剣に思ってるッス! ラノベとか惰弱の極みッスよ! あんなの小学生で卒業すべきッス! あんな妄想垂れ流しの幼稚な本、全部焚書されるべきッスよ! 作者も読者もいい加減に大人になってぇ、現実見て生きるべきッスよ!」と、なんか言ってはいけないようなことを勝手にベラベラと話しだした。
「俺、こういう本も書いてるんでぇ! ラノベよりタメになるんでぇ! 社会人としての教養ってやつッス! 読んで下さい! 夜露死苦!!」と、表紙にキメ顔をして、『現代社会の闇をキヨテルが斬る!』とかいう、どこかでパクッてきたっぽいエッセイだかなんだかを渡してくる。
少し開いて読むと、右半分のページに『減税しなければ今の政権は持たない』とか『現政権を倒して革命せよ』とか、どっかのネット記事を丸パクリした内容に、左半分のページにはキヨテルがポージングした写真と、『減税……それは闇の衣を剥がす光の矢』、『革命……それは自由への俺の夢』みたいな意味不明なポエムっぽいのが添えられている。
ロリコはなんかフガフガ言いながら夢中になって読んでいるが、こういうのが騙されるんだろうな。
「俺ぇ、カルトとかマジ許せないんでぇ! 任せて下さいッス! 頑張るッス! 自分、ヤル気だけはあるッス! トラスト・ミー!」と、妙にヤル気だ。
「すまん。カルトとカルタの違いがよく分からないんで詳しく説明してくれないか?」と聞いたら、キョトンとした顔をして「同じものッス! 超米国では“カルト”で、超欧米では“カルタ”って言うッス! ベリーイージっスw」と親指を立てて言い出した。
……はー。先が思いやられるな。




