4月10日 BL実験
4月10日
昨日、道具屋で買った魔物寄せのお香を焚く。
電柱のもんじゃ焼き並みに臭いけど、こうしないと敵と遭遇しないから仕方ない。
敵の姿を見つけ、私は「モンスターが出たぞ」と馬車に向かって言う。
こうすれば、戦闘に自信がないブータロウですら、棍棒を持って「イヤッハーッ!」と馬車から踊り出て来る。
そきてこの隙に、BL本のページを開いて、馬車の真ん中に置いておく。これで準備はすべて完了だ。
バトルは基本的に3人任せだ。か弱い女の子に戦わせるなんてありえないしね。
最近では倒したモンスターに向かって「ありがとう!」なんて言う始末だ。
礼を言うのは、外に出る許可を出した私にだろうとは思うけど。それは、まあいいや。
倒し終わると渋々と馬車に戻って行く。青空を見上げながら、「次に光を浴びれるのはいつかしら」なんて遠い目をして言っている。
私はそれを呼び止め、「ちょっと用があるから」とそのうちの2人だけ町に行かせ、残った1人を馬車に戻した。
町へ行く方はウキウキで、残った1人はガッカリした様子なのがちょっと面白い。
最初に被験者は、ワニンゴ。
私はこっそりと馬車に空けた穴から覗き見る。
ワニンゴは私の秘蔵本を見つけるや、「何だこれ? 勇者のいつも読んでる漫画本か?」と拾って、「げ!」だなんて言って、「これは我らには救えぬものじゃ」と、顔を背けてページを閉じやがった。
あーあ、やっちまったな。これは後でお仕置き確定だな。
その次は、ブータロウ。
ブータロウは、「え? これ、マジで」みたいな顔をして数ページめくった後、「いやー、分からない。僕には理解できないな」とか言いつつ、本を閉じて道具箱の奥底にしまった。
拒否じゃないから、まあ及第点ってとこかな。
最後はもちろんカレキ。
前の2人が何かいらんこと言うかなと思ってたけど、自分が見たものは記憶から早めに消去したかったらしく、その心配はなかった。
カレキは本に気づいた時、「勇者殿の毎日読まれている本か…⋯ふむ」などと言って手にして、「な、なんじゃ! このハレンチな本は!」とか言いつつ、「ああ…⋯」、「うあ…⋯」とか言いながらページをめくっていた。
「70年生きてきて、まさかこんな世界があるとは知らなんだ。しかし、年長者の責務として、少し勇者殿にはキツく言わんといかんな」とか言ってページを閉じてたけど、その後、結局は何も言ってこなかった。
うーん。カレキが最初に“オチ”そうだなぁー。




