6月28日 賢者アナルゴと正統派ヒロイン修行編
6月28日
あれから涙を流す訓練をしているが、なんとも上手くいかない。
絶対泣けるというレビューの映画とかも観たが、眠くなっただけだ。
お目々を開きっぱなしにしてたら少しは出るかと思ったが、特にそういうわけでもなかった。少し充血して痒くなっただけだ。
「泣けんのか!? 泣けんだろ!! 泣くんだ!! ジョー!!」とロリコにずっと側で言わせているが、ムカつくだけで何の効果もない。
はー。困ったもんだ。涙が出てきそうになる。
いや、実際には涙は出てこないんだし、それで困ってるわけだけれども。
3日経って、ワニンゴたちはまだ「フォー!」と腰を振っていたが、何やら通行人に向かってやり出すようになった。
しかも、妙齢の女性だけだ。ガキとオバハンには近寄りもしない。なんだか怪しい。
カレキに詳しく話を聞くと、ヤツらのグラサンの下の目つきがイヤらしくなっていたらしい。鼻の下も心なしか伸びてたようだ。
そういや、さっきもロリコを囲んで、「フォー!」とかやってたな。なんだか変だと思ったんだ。
どうやらせっかく治してやったのに、変態に戻ってしまったらしい。それにしても早すぎだろ。1週間も経ってねぇんだぞ。
コイツらは、矯正しても無駄だったってことみたいだ。変態は1日にしてならずってやつだな。
そろそろビンタしなきゃと思ったけど、いまの私はレベル1でステータスも貧弱だ。ワニンゴを倒す力はない。殴った瞬間に、私が弱くなったことをヤツに悟られてしまう。
幸い、私の弱体化にまったく気づいた様子はなかったが、私も少し気をつけて行動しなくちゃね。めんどくさいけど。
この先のことを考えてると、カレキが「近くに“嘆きの洞窟”と呼ばれるファンタジーっぽい、いかにもなダンジョンがあるそうです。そこで涙を流すヒントがあるやもしれませんぞ」とか言うてくる。どうやらアナルゴ情報らしい。たまには賢者らしいこともするんだな。
……でも、なんで私に直接言って来ないんだ?
ワニンゴ、アナルゴ、フグリ田は「フォー!」とか言いつつ、さっきから私と一定の距離を保っている。
私が近づくと、それに合わせるかのように離れて行く。
手招きしても、「フォー!」と腰を振って、私とお目々を合わせようともしない。
ロリコは「で、では出発の準備をしますねぇ!」とか言いだしたが、何やらお目々が泳いでどこかへ行っていた。
ふーん。
まあいいや。とにかく、その“嘆きの洞窟”とやらに向かうとしようか。




