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084話 総長、マッチポンプのラ・メール攻略【ゲーム世界編②:ゲーム本番開始準備①】

<イツキ・ルノワール サイド>


「エレ氣は使い勝手がいいわ。それに比べて・・・」


電離氣体プラズマ】については漏れ出る力だけで勝ってしまい、今回私は何もしていないのだ。

手加減する前にこれだものね。まあ、しばらくはエレ氣メインとしよう。

「それよりもオーラルのご機嫌をとらないと」

帰る前にフィーネの下に戻り、プレゼントする予定だった魔石2個とぷるるんスライム改3体を強引にフィーネに飲み込ませる。

「聖剣達に報いたければ、その恩恵を使いこなしてみなさい」

何も出来ず仲間の武具を失い、敵である私に憐れみと施しまで受ける。

されるがままで悔しげにこちらを見つめるフィーネに、そう言葉をかけその場を去る。

そしてお土産のゴリラ達を回収、一緒に空を飛んでオーラルの下に戻る。


「イツキーーー!!!」

予想通り、私の顔を見た途端に飛んで来て私に噛みついた。

なに?文句言いながらあなたもプラズマを使って飛んでるじゃない。

そう思いながらも、詫びをいれないとオーラルは治まらない。

こういうところは神としての矜持があるらしい。

真実に嘘を混ぜながらの言い訳を・・その必要はないようね。

噛みつきながらもオーラルの視線はゴリラ達をチラチラ見ている。

だって、私は無駄なものを連れてこないもの、既に興味津々ね。

ここはサクッと流して話題を変えたほうがいい。


「イタタタ、ごめんごめん。あのときは私も必死だったのよ」

「・・・ま、それはもういいわ。(ゴリラ達をちらちら)」

くくく、オーラルの(悪)趣味はしっかり把握済、そしてトドメよ。

「この子達すごいのよ!二人は無性なのにツガイなんだって!これって・・・純愛よね?」

【純愛】この言葉がスイッチとなりオーラルは大興奮する。


「すごいわ・・ここの魔物には生殖本能がないのに?それなのに互いに二人で手を取り助け合い、厳しい大自然を生き抜いて・・・これよ!これこそが真実の愛!真のラブロマンスよ!」

魔物達の修行中に私の脳内データベースからこっそり恋愛小説を読みふけって、今ではすっかり嵌っているのは知ってるのよ。

慈愛系の神々ってテンプレでベタな恋愛とか好きみたいね、覚えとこ。

ちなみにイツキも慈愛系女神の素養があるが、内面は不純を嫌う明治のおばあちゃん気質だ。

イツキの予想通り・・なのではないだろうか?


オーラルは私のエネルギーを使ったいわば魔法発動媒体。

現在魔法を使えない私には必須の存在なのよね。

ゴリラ達は、このままオーラルのご機嫌取りの生贄おもちゃになってもらう。

飽きたらフィーネに戻すとして、その間のフィーネの見守りは・・身を隠せるリボンにしよう。

「リボン、しばらくフィーネを・・・ガンガン鍛えてあげて」

「うひひ、了解!行ってきます」

守れ、と言おうとした瞬間、不満げな感じだったので修正したらやる気になってくれたようだ。

超ご機嫌のオーラルから二つ返事で魔力をもらい、ゲートでリボンをフィーネの下に送った。

・・・あ?ゴリラのためにドレスを作れ?分かりましたよオーラル姫様。


この後、フィーネはゴリラ達が派遣されるまで「イツキ様をバカにした」と怒りに燃えるリボンに執拗に追い回される事になる。

薄っすらと気配と殺気を感じるのに居場所すら感知出来ず、警戒と恐怖で夜も眠れぬ日々。

または気配を全く感じず姿も見えないのに何かが這いずり迫りくる音に恐怖し必死に逃げ回る日々。

心身共に疲弊させられることになるのだが、フィーネは2週間程で慣れた。

どの程度が危険なのか?危機感知の修行とともに肝が座ってきたのだ。

その後は、リボンが必死に恐怖を演出するも、その環境で爆睡出来るまでに成長したのだ。

この強心臓のふてぶてしさこそがイツキに気に入られている理由なのかもしれない。

それでも、今まで侍女付きだった元お姫様が、過酷な環境で一人残されて生き抜くことになったのだ。

今後も厳しい生活になるのは間違いない。

だが、この死んだらそれまでの特殊訓練を1年間生き残れば、自ずと心と体を研ぎ澄ませていくことになるだろう。


さて、大陸の東は私が担当するとして・・西の侵略は誰に任せようか?

魔物達には「イツキ様とオーラル様のおそばに」と秒で断られたが「これも修行よ」と渋々了承させた。

だが、まとめ役が不在だ。強さだけではなくカリスマ性も欲しい。

本来なら魔王が最適なのだが・・・

前のおっさん姿の際には、自身の余りの醜さに相当心がすさんでいたのだが、今は違う。

元の姿に戻った【美】の魔王。確かに強いのだが・・こいつの戦意は戦闘では使われない。

自分の顔や体を鏡で見ては、自身の【美】の成長・・本人曰く、毎日【美】が成長しているらしい。

意味分からん・・に一喜一憂している。

こいつの戦闘とは・・肢体の微細な変化、その僅かな美醜との戦いに全振りされているのだ。

前魔王の黒鬼父も美の魔王の配下に徹しているし、これはアテが外れたわね。


「実力は不安だけど、鍛えてからあいつらを使うか・・オーラル、ゲート!」

「喜んで!・・で、何か呼ぶの?」

「侵略に使える配下が居るんだよ」

魔物達に西側を任せる代わりに【1年間は一緒に修行して欲しい】との要望を受けた。

今から呼ぶ人物は、まだ実力は低いがカリスマ性はある。

魔物と一緒に修行をつければ、一つの軍として機能するだろう。

早速ゲートを開き、私の謎空間から呼び出した者達は・・・


「【第六天魔王】たる私が、ついに役に立つ時が・・って、あれ?伊月、なんかちっちゃい?かわいい!」


現れて早々に私に抱きついてきたのは、天界マーキュリーで捕縛した【第六天魔王】こと信長の娘【織田信姫おだのぶひめ】、それと戦国武将達だ。

ボコした後、天界神ガイアの支配から解放してあげたらとても喜ばれた。

「お礼に伊月の役に立つ」と言われたので、将来のマーキュリー配下として発氣修行をさせていたのだ。


「発氣はこの短期間でコントロール出来るようになったみたいね」

「もちろん!・・ところで、先に呼び出された信玄は居ないの?」

む、あいつはおっさんラブの宗教設立で忙しいけど・・信姫ってそういう性知識あるかしら。

さて、どう説明しようかしら?まずは探りを。

「信玄の衆道の事は知ってるの?」

「もちろんです!」

あら、流石は武将の姫。そういう性教育も受けているのね・・そう思ったが実情は違うようだ。


「あやつはなまぐさですが【衆道】という仏道に対しては真摯に向き合う立派な僧侶ですから」

ん?・・仏道?思わず家康達に目を向けると、慌てて顔を逸らされた。

あんた達、あれが仏道って・・そういえばタチカワ流とかあったわね?似たようなもの?

「伊月は衆道について詳しそうね?ねえ伊月、衆道とはどのような教義?どの仏様を信奉しているの?」

・・・あんな男同士のイチャラブを推奨する仏様なんていないでしょう。

「家康の話では大衆の中で愛を育む観音菩薩では?と言うの。でも信玄の話と噛み合わなくて」

「あ?」家康を睨みつけると奴らは慌てて逃げていった。

観音菩薩が衆道って、本人が聞いたら仏罰を喰らうわよ?

まあ、ここで教えてもいいけど、信姫はこのまま清い心でいれば神聖属性の高みを目指せそうなのよね。

それなら・・・こう言うしかないわね。


「信玄は衆道の尻合いから請われたのよ。天界マーキュリーで大僧正相当の地位になって新たな宗教団体を設立中よ。ただ、教義は秘匿されていて私にも分からないの」

「なるほど・・父も一向一揆で苦労しましたが、宗教とは奇々怪々な面もありますからね」

はい、嘘を付くことにしました。その代わり神聖属性会得出来たら一緒に現地視察に行こう。

周囲に目を向けると何故か家康達もほっとしているが、お前らも一緒にだぞ。

こいつら信姫の事を孫のように思っているフシがあるのよね。

天界ガイアの束縛が信姫にしか適用されていなかったのも頷ける。きっと人質だったのだろう。

女好きと噂の秀吉・家康も、眼の前の美の魔王に見向きもせずに信姫を優しげに見ている。

しかも、いつのまにか信姫の部下が増えているんだけど?

「信姫、新顔が増えているけど」

「はい、私が解放された事で封印されていた武将達が集まって来ているのです」

どゆこと?信長なら分かるけど、なんで信姫のために戦国武将が?

それに答えたのが家康だった。


織田信姫は、生まれてすぐに【征夷大将軍】を与えられていた。

生まれた際に安土城が光り輝き、その可憐さに天皇から与えられたそうだ。

今で言う聖女の立ち位置ね。しかし、誰も反対しなかったのかしら。

そもそも【征夷大将軍】ってお祝いであげるものなの?

そういう事情で、信長も秀吉も武家の棟梁たる【征夷大将軍】を名乗らなかった。

本能寺の変は「ときは今、我らの天使を、わが妻に、初潮が始まる、その前に」と歌った変態ロリコン武将の乱?あいつ、そうだったの?

秀吉の大返しも「殿が死んだ?短気は損だぎゃ〜ね。まあ天下など柴田殿にでも任せて儂は信姫様の教育係にでも・・何!?信姫様を妻にだと!?すわっ!幼女趣味のハゲネズミを滅するだぎゃーーー!」

これが中国大返しの真相らしい。

なお、天皇からの勅令により大返しの際には敵対していた毛利の全軍も混ざっていた。

のちの関ヶ原の戦いは、淀の君が「秀頼は未来の関白。信姫こそ妻にふさわしい」と強引に話を進めた結果らしい。

最終的に戦乱を憂えた信姫が「日の本に平穏を、家じいに託します」と、家康に【征夷大将軍】を譲渡した。

だが、その行為が戦乱を楽しんでいた天界神ガイアの怒りを買い、殺害されて魂を封印されたのだ。

ちなみに「流石に天下統一が幼女の取り合いではお恥ずかしいので、私が編纂し直しました(家康談)」との事。

頭痛くなってきたわ。歴史研究家や歴女が聞いたら発狂しそうね。


「なら適役ね。織田信姫!あなたにこの大陸の西部統一を命じるわ。今日より【西威大将軍】よ」

「は・・はい!この生命を賭して達成してみせます」

「だめ、無理はしない事。その前に1年間鍛えてあげるけど、何かあったら私を頼りなさい」

「ちっちゃい伊月、かしこかわいい〜!」

いや、いちいち抱き上げなくてもいいから。

初対面は良い印象無かったけど、天界神の束縛を解放したらものすごくいい娘だったのよね。

西側は信姫達に任せるとして、ついでにアレも準備しましょう。


黒ブサとの戦闘中、甘言を弄してきた瘴気の塊を美味しく頂いたのだけど、アレって母子竜の残滓だったのよね。食べた時に瘴気化の理由を見せられた。

冒険者に殺されたようだけど、それだけなら恨むこともない。

殺害後に素材として採取される際「使えねー!」とゴミとして捨てられたようで、その恨みで瘴気化したようだ。

興味を引いたのは、小竜の部分が私のエネルギーイーターに抵抗した事だ。

神すら喰らえる私の力に抵抗する、その強き憎悪を気に入ってしまった。

あれから1年間、潤沢に力を与えながら体内で育てていたのだ。

『小竜、新たな体を与えてあげるから特性のエネルギー石に乗り移りなさい』

『いやよ。ここ最高なの!外は怖いしずっといるわ!』

・・・こいつ、今までの食っちゃ寝生活にすっかり怠惰になってるわ。

『そう?なら私の憎悪をまた見せ『すぐに出ます!』・・いい子ね』

『あんたの憎悪はしゃれにならないのよ。瘴気がビビる憎悪って絶対にオカシイわ!』

ぶつぶつ文句を言いながら、とても嫌そうにエネルギー石に乗り移る闇竜。

よし、逃げられないように名前を与えよう。


「始めからそうすればいいのよ。あなたの名前は【アンリ】よ。1年間鍛えてあげるわ」

名前を与えると、エネルギー石は黒竜の子供の姿に変貌したのだが・・・

「遠慮します」と逃げていった。

とってもやる気なアンリには、闇のスペシャルメニューで答えることにしよう。

まあ、西に向ける戦力はこれ位でいいでしょう。


「あ!?新入りね?あなたの名前は【ひゃっくり】よ」

「なにそれ?それにもうアンリって名前貰ったもの」

「イツキーーーー!!!なんで私に名付けさせないのよーーー!!!」

はぁ・・・オーラルに変な名前を付けさせないように気をつけないと。


あとは・・そろそろ私の戦闘スタイルを決めましょう。



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