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またいつか、再会する日まで

次元の狭間


「ちょっと待ってちょっと待ってお姉さ~ん!!手加減って言うのを知らないのか~い!?」


「手加減なんか要らないでしょ、こっちは貴方に色々とぶつけたいものがあるのよ!!」


空虚を超越せし者フォーミュラートランス状態のアリスが足技で終作を攻撃している。一撃一撃風がブォンと切り裂く音が聞こえる為、本気で攻撃しているらしい。


「スカートで足技はあかんでしょ~?ほらほら~見ちゃうよアリスちゃんのうぶぇ!!」


「見てる暇があるのならね!!」


アリスのハイキックが終作の顔面に当たり、一瞬だけ終作が無防備になる。それを見逃さずにアリスは上海人形や蓬莱人形を操り、色々な大きさの弾幕をぶつける。


「おっほ~、えげつないえげつない。」


「どうして弾幕が貴方の体に当たらずに通り抜けるのよ?」


「能力のおかげだよ~ん!どうしたどうした?そんなんじゃこの終作君は倒せないぞぉ?」


終作がヘラヘラ笑ってアリスを挑発するが、アリスは終作の言葉に耳を傾けずに足の調子を確かめていた。


「これなら、出来そうね。」


「その足技は誰から習ったのかなぁ?オリジナル?」


「そうよ、オリジナルよ。まあ色々な書物とかを参考にしているわ。」


そう言いアリスは脚全体を棒のようにピンと伸ばし、高まった脚力で勢いよく空間に振るうことで剣を持たず斬撃を発生させる技術の『斬脚』を終作に放つ。


「うおっ!!その超技術も使えるのかよぉ!終作君は驚きを隠せないでいる!!」


言葉では驚きの発言をしているが、少しも慌てずに終作はアリスが放った斬撃を手で弾く。


「驚いたと言ってる割に少しも慌ててないのね。でもそれが付け入る隙になるわ。」


アリスは『斬脚』が弾かれる事が予想できていたらしく、終作が斬撃を弾くのと同時に懐に潜り込んでいた。


「うほっ!綺麗な金髪だねぇ!是非触ってみたいもんだ!」


「おあいにく様、髪は快と子供にしか触らせないわ。」


「でも懐に潜り込んで一体何をするばばば!!やめやめそれしゃれにならばびる!!」


終作がヘラヘラする前にアリスは両手を地面に付けて、逆立ちし回転し始める。その際の回し蹴りを終作の顔面にぶつける。


「はあああああああ!!」


回転数は徐々に速くなっていき、やばいと感じた終作が次元の隙間で退避する前に回し蹴りをぶつけ、終作をその場から動けなくする。


「あばば!!でもなんか俺新たな世界に目覚めそうだぜぶっ!!」


「その余裕がちょっとムカつくわね!!」


アリスは回転を止め、正拳突きで終作を思いっきり殴り飛ばす。弾幕での攻撃は無力化されるため、アリスはスペルを使わずに体術で終作に攻撃していた。


「いったいねぇ~、顔が腫れちまったよいてて。君のその力は厄介だからそれをも「させると思う?上海!!」むおっ!!」


終作が強欲の力を使ってアリスの力を奪おうとするが、それを上海人形が体当たりで阻止する。


「ちょっとちょっと本当に堪忍してぇ~、謝るからぁ~、土下座してあげるからぁ~!!」


「謝る気ゼロでしょ。こっちは桜って人から貴方をボコボコにしてほしいって頼まれてるのよ!!」


「嫌じゃぁ~!!終作君はマゾヒストじゃないんだぞぉ!!許してぇ、なんてな!」


終作がニヤリと微笑んだ時、アリスの左肩に剣が刺さった。突然走った痛みにアリスは目を白黒にさせるが、すぐに剣を抜いて傷を魔法で治療する。


「貴方、一体何をしたうっ!!」


続けてアリスの左腕と左足に剣が刺さる。アリスは痛みに耐えながら辺りを警戒する。


「女の子を傷付けるのは終作君の趣味じゃないんだけどねぇ、人妻ならいいかなってね!!」


終作がそう言い指を鳴らした瞬間、終作の背後の空間から大量の剣が現れる。それを見たアリスは左腕と左足に刺さっていた剣を放り捨てた。


「あいあむあぼーんのまいそーど、なんちゃってね!さあこれから君に向けて剣を大量に射出させるけど耐えられるかな?」


「そんな剣なんて弾幕で叩き落と「なーんちゃって、君は素直な子なんだねぇ、終作君は嫌いじゃないぞい!!」うあっ!!」


背後にある剣をアリスに向けて射出すると見せかけて終作はアリスに高速接近し、次元の隙間から鎖を射出して拘束する。


「ん~、ある人物の技を真似てみたけど、これは使えるね!」


「何よ、これ!?」


アリスが鎖から逃れようと必死に暴れるが、鎖はびくともしなかった。むしろ暴れていたアリスの動きが徐々に鈍くなり、普通の状態に戻っていた。


「普通の鎖じゃ面白くないからねぇ、力を吸い取る鎖にしたんだよぉ。」


「離し、てよ!!くうぅ、駄目、力が抜けていく。」


「顔を赤くしながら鎖に拘束されてる女の子って絵になるよね!?その顔で睨んでも終作君にとってはご褒美じゃい!!」


アリスは最後の悪足掻きで終作にレーザーの弾幕を放つが、終作の体を通り抜けるだけだった。


「さあさあ意識が飛ぶのは何秒後かなぁ?五秒後?十秒後?早く寝顔を見させてく「いい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!!」アァーーーーーーーー!!」


アリスが気絶する前に復活した快が終作にドロップキックをして吹き飛ばし、鎖を引きちぎった。


「遅くなってごめんなさいアリスさん。」


「あっ、か、快。」


倒れ込んでくるアリスを快は優しく受け止めて抱き締める。その後にアリスに付いていた傷を治療していく。


「いやぁ、助け助けられって感じだねぇ。」


快が後ろを振り向けばドロップキックを喰らって吹き飛ばされた終作が浮遊している剣の前まで戻ってきていた。


「それで、この後は夫婦で俺っちを倒すって訳か。言うなれば君達が勇者で俺っちは魔王って訳だねぇ。アルマに怒られちゃうかなぁこの表現!!」


「アリスさん、少し休んでいて下さい。」


アリスの肩に手を置いて話す快の手をアリスはそっと払って快の隣に立つ。


「これくらい平気、私はね、今とても嬉しいのよ。快と一緒に戦っていることに。快が私を頼ってくれてることに。」


「アリスさん。」


アリスが微笑みながら言うと、快は顔を赤くしてアリスの顔を見詰めていた。ちなみに終作はニヤニヤしながら二人を見ている。


「だから、何も怖くないの。例え相手が次元の違う人だったとしても、負ける気がしないの。」


「アリスさん。僕もです、僕もアリスさんとならどんな強敵でも負ける気がしません。」


アリスと快は互いに見詰め合いながらアリスの左手と快の右手を繋ぐ。恋人繋ぎという奴だ。


「……やべぇ。今のうちに逃げたいけど、逃げたら霊斗や磔に何て言われるか分からないしぃ。尾都にぶん投げれば良かったかなぁ。」


終作は快とアリスを見ながらそうぼやく。何故なら快とアリスの力が段々と混ざり合っていくからだ。


二人の異なる力が混ざり合い、混ざり合って、覚醒する!!


「「君が隣にいる限り!!僕は(私は)負けない!!」」


「っ!!これは冗談なんか言ってる場合じゃねぇ!!本気でヤバイ!!どれくらいヤバイかって言うともう本当にヤバイ!!」


終作が慌てて後ろに設置してある剣で快とアリスの頭を貫こうと射出したが、二人から出た黄色の闘気で剣が粉々になった。


「あーあ、遂に覚醒しちゃったかぁ。終作君の嫌な予感が的中しちまった。わーい嬉しくなーい!!」


「アリスさん、行けますよね?」


「ええ、いつでも。」


終作が現実逃避している間に快とアリスは地面を踏み込む。


「まあいいか、さぁて二人とも。この終作君に君達の力を見せておくれ!!この始祖神を見事倒しておくれ!!」


終作が高らかに叫ぶと、快とアリスは地面を駆け出す。そのスピードは高速、いや神速、いや光速の域に達していた。


「うぉいうぉいうぉい!!容赦ないね本当に!!」


同じく終作は光速で動い……てはなく次元の隙間に入ったり出たりを繰り返して二人から距離を取っていた。


「そぉらいくぞい!!」


終作が浮いている大量の剣を快とアリスに向けて射出する。対して快とアリスは射出された剣を避け、拳で弾き、蹴りで軌道を逸らしながら終作に近付いていく。


「チィ、なら二人の力をも「だから力は奪わせないわよ、上海!!」邪魔くせぇ!!」


終作が次元の隙間で移動しながら二人に向けて手をかざし、力を奪おうとするが、それを再び上海人形が阻止しようとする。


「人形ごときに剣を使うのは勿体ねえが、そら味わいな!!」


終作が舌打ちしながら上海人形に向けて剣を射出する。それを見たアリスは指を動かそうとしたが、寸での所で止めた。


「人形を犠牲に近付いてくる気か。合理的うぎゃあ!!」


終作が上海人形に目を向けた後、快とアリスの方を向いた時、終作の右肩に自分が射出した筈の剣が刺さっていた。


「シャンハーイ!!」


動揺した終作を見た上海人形が終作に近付く。それを終作は刺さった剣を上海人形に投げる。


「なっ!!おいおいマジか!!」


終作は上海人形の行動に驚きを隠せなかった。刺さった訳ではない、避けた訳でもない。


上海人形が自分で剣の腹を殴って(・・・・・・・)弾き飛ばしたからだ。


ここで説明するが、快とアリスが互いに思い合う事で発現した力、その名も『約束する終焉の超騎士プレッジ・オブ・エンドナイト


その力を発現して、快は意図せずに新しい超技術が編み出された。それは『能力共鳴(ハウリング)』である。


能力共鳴は名の通り、自分の能力を味方に分け与える事が出来る。つまりアリスは自分の能力である『人形を操る程度の能力』と快の能力である『本気になれる程度の能力』の二つを今持っているということになる。


「やっぱり、力が涌き出ると同時に何だかとっても安心するわ。まるで快に抱き締められてるみたい。」


快の能力はリミッター、つまり限界を限度なく越えることが出来る能力であり、上海人形は今、限界を越えてアリスの手を借りなくても複雑な動きに対応できる。


つまり、自立したという訳だ!!


「この人を止めるよ皆!!」


『おおーーーーーー!!』


大量の上海人形、蓬莱人形が現れ、終作に向かっていく。終作が剣を射出したり、弾幕を放ったり、パンチやキックで迎撃しようとするが、どれも上海人形と蓬莱人形に受け流れされてしまう。


「人形が、皆自立して動いてる。」


「アリスさん、感動するのは分かりますけど、今やるべきことは分かってるよね?」


「分かってるわ、行くわよ!!」


快とアリスが気持ちを改めて一歩前に踏み出そうとした時に、頭上から巨大な剣が降ってきた。


「まさか少し本気にならねえといけねえとはな!!潰れろ!!」


「潰れろ?こんなもので私達を止めれると思ってるのかしら?」


「「こんなもので、僕達(私達)を止められないよ!!」」


快が渾身のアッパーカットで、アリスが回し蹴りのハイキックを剣にぶつける。すると、剣はビシビシっと亀裂が走り、まっ二つに割れていった。


「これ一応古代の兵器みたいなものなんだけどぉ!?何で壊せるの!?ならこれじゃい!!」


終作は向かってくる快とアリスの周りに数え切れない程の次元の隙間を一瞬で展開させ、それを爆発させる。逃げ場などない攻撃。


「ハッハッハッハ!!これで終わったダニィ!?」


煙から快とアリスが黄色と青色のドーム状の結界から出てくる。だが二人とも無事ではなく、額や腕、足からは血が出ていて、服はボロボロに破け、アリスはロングスカートだったのがミニスカートの状態になり、快は上半身裸になっていた。


「神域 ハビタブルゾーン。今の状態の僕なりの結界を張ってギリギリ生き残れましたか。アリスさん!!」


「分かったわ!!」


終作が何かをする前にアリスが快の腕を掴んで終作に向けて投げ飛ばす。


「これが僕の全力だあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


快は右腕を思いっきり振りかぶって終作の顔面を殴り飛ばす。だが終作は吹き飛ばされずに、踏ん張って吹き飛ぶのを耐えていた。


「ぐうぅぅぅぅ!!けど、そんなんじゃ俺は倒せねぇぞぉぉぉぉぉぉ!!」


「だったら私も加わればいい!!足りない所を埋め合う、それが恋人、夫と妻ってものでしょう!!」


終作が反撃しようとした時、アリスが追加で終作の顔面を殴り飛ばす。二人なら、負けるものなどない!!


「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」


「いい夫婦だ、君達は、強い!!」


程なくして、終作は砲弾の勢いで地平の彼方へと殴り飛ばされていった。それと同時に次元の狭間が消え、見晴らしのいい丘の所に二人は出た。


「腕折れちゃった、快は大丈夫?」


「僕もですよアリスさん。ってアリスさん!?体が透けてますよ!?」


快は透けていくアリスに近付こうとするが、アリスはそれを手で制した。


「だってこれは夢なんだから。一時の夢、そろそろ覚める時間なのよ。」


アリスが折れていない方の腕の手で空を指差す。空は朝日が出る寸前だった。


「快、私は戻ったらさっきまでの事を忘れてるかもしれないわ。でも、快は覚えといて。って何泣きそうな顔になってるのよもう。」


「だってぇ、アリスさんにまた会えない日々が来ると思うと悲しくて、元の世界に戻ってもアリスさんは僕の事を覚えてないし。」


「なら、早く黒幕を倒して。大丈夫よ、快ならきっと出来るわ。」


アリスはそう言い快の頭を撫でると、崖から落ちる寸前の所まで歩き、快の方を向く。


「アリスさん!!僕、頑張るから!!頑張って黒幕を倒すから!!だから!!」


「その言葉を聞いて安心したわ。大丈夫よ、私もこれから頑張るからね!!だから、待っているわ!!」


アリスは最後の言葉を言い終わるのと同時に朝日が昇り、消えていった。アリスは最後の言葉を一番美しい笑顔を快に向けて言った。


「っぐ、うわあああああああああああああん!!」


快は涙を堪えきれず、その場に崩れ落ち、声を上げて泣いた。その様子を二人の男が見ていた。


「快は孤独に耐えきれないからな、それでどうだった快と戦ってみて?」


二人の内の一人は木刀を降り終えた磔が様子を見に来ていていた。もう一人は白色のパーカーを、下は黒のカーゴパンツを身につけている終作ではなく、真っ白のタキシード姿になっていた。


「強敵でした。最後の爆発は私の全力の力を込めて放ったのですが、人間は無限大の可能性を秘めてますね。」


「……お前誰だよ?」


ヘラヘラした口調ではなく、丁寧な言葉で話す終作。実は終見記というモードで悪魔の力が無くなり、始祖神の力のみの状態になっている。


言葉遣いも身だしなみも完璧な紳士、本当にお前誰だよ状態になっている。


「今日の出来事は二人の記憶の中に残しておきましたよ。」


このモードは記録する程度の能力が追加され、内胸ポケットに仕舞ってあるメモ帳と羽根ペンを使って記録をし、それに線を引いて書き直すとその記録したものが改変される。


つまりアリスが元の世界に戻っても、先程までの記憶は失われないという風にしたのである。


「さて、そろそろ皆さんが起きる時間です。起こしに行ってはいかがですか?」


「その口調止めてくれない?何か気持ち悪くなる。」


「無理ですね。」


「お前ら、朝食の準備が出来たってお前誰だよ!?」


「霊斗さんなら分かってくれると思ったんですが。」


霊斗がお玉とフライパンを持って磔の所に来たが、終作の姿を見た瞬間にお玉とフライパンを落とした。


「終作!?お前終作!?お前終作だよな!?」


「何処からどう見ても終始終作ですよ?分かりませんか?」


「「絶対分からねえよ!!」」

















あの後、皆を起こし、修行を付けられてたハリスマリーと刀哉が倒れているのを見た磔が治療して皆で朝食を食べた。ご飯に味噌汁、鮭の焼き物、ほうれん草のお浸しといったごくシンプルな朝食。


そして、皆が帰る時間がやってくる。


「あれ?快さんと絢斗さんと霊斗さんはどうしたんですか?」


「絢斗は先に元の世界に帰っている。霊斗はどうせまた会えるからと言って何処かに行ったぞ。快は、まあ色々あったから放っておいていい。さて、皆にはプレゼントがあるから受け取ってくれよ。」


ハリスマリーの指摘に磔が気まずそうに言う。何かを察したハリスマリーはそれ以上深くは聞かなかった。


「じゃあまずは終夜、と言ってもあげるものなんてもうないんだよな。」


「おいおい!!それは勘弁してくれよな!!」


「冗談だ、このお楽しみ袋を上げよう。帰ってから開けてくれよな?」


そう言い磔は終夜に紙袋を渡すが、磔が紙袋から手を離した途端に終夜が地面に埋め込まれた。


「おい磔!?この紙袋一体何キロあんだよ!?」


「軽く1000キロは越えてます。じゃあそのままの状態で次元の狭間に入ってくれよな。」


「覚えてろ磔!!けど楽しかったぜ、じゃあな!!」


終夜が次元の隙間に入っていったのを確認した磔は次にハリスマリーに紙袋を渡す。


「えっと、さっきみたいな重さじゃないですよね?」


「そこは心配するな。ちゃんと軽いからよ。ハリスマリーには剣術の指南書や甘いもの、料理の本などだな。」


「こ、こんなにもらっていいんですか!?」


ハリスマリーはビックリした表情で磔を見るが、磔は頬をポリポリとかいて苦笑いを浮かべる。


「こんなにって大した物はあげてないぞ?」


「ハリスマリーさん。私が教えた事を忘れずにちゃんとやっていってくださいね!!」


「分かりました霊愛さん!!磔さん、今度は私の世界にも遊びに来てくださいね、にゃはは!!」


ハリスマリーはにっこりと笑顔でお辞儀をして狭間に入っていった。


「次は俺か、中々に貴重な経験をさせてもらった。礼をする。」


「そんなかしこまらなくていいよ。終作が無理矢理連れてきたもんだからな。」


「世話になったな磔。また機会があれば会おう!!」


「あっ、おい渡すものあんだけど!?」


刀哉は磔が物を渡す前にさっさと狭間に入っていった。


「まあ、刀哉が着ている服にこっそりと誰も知らない和食の料理本を置いたんだけどな。」


「あっ、磔。アルマとパルスィならもう狭間に入っていったわよ?」


「あいつら自由過ぎんだろ!?」


「それが俺というものさ!!」


磔がため息をつくと狭間からアルマとパルスィがひょっこりと顔だけ出していた。


「世話になったな磔!!また来るからな!!」


「今度は子供も連れてくるわね。磔、頑張りなさいよ。」


「物はもう受け取ったぜ!!じゃあの!!」


そう言ってアルマとパルスィは顔を狭間の中に引っ込めた。それを見た磔と桜がため息をつく。


「あいつらの相手疲れる。」


「それは同感ね。磔、さっさと黒幕を倒しなさいよ。」


「分かってるさ、桜には前あげたものとは違う甘いものを渡しておくよ。量は多めにしといたからな。」


磔は桜に紙袋を渡す。受け取った桜が中身を確認するとこの世界に来てから初めて優しい笑顔を見せた。


「分かってるじゃない。どれも私の好みの物よ。」


「桜も頑張れよ。色々大変だろうけどな。」


「はいはい、じゃあまたね!!」


桜は照れ臭かったのか少し顔を赤くしながら磔に笑顔を見せて狭間に入っていった。


「俺か、こういう幻想郷もあることが知れて良かったな。新たな可能性を見ることが出来た。」


大和が手を伸ばして磔とガッチリと握手をした。


「世界の管理は大変だ、まあ磔なら大丈夫だと思うがな。」


「そこは試行錯誤でやっていくさ。今度会った時は戦おうぜ大和?」


「そうだな、物は要らねえ。磔との戦闘の約束だけで充分だ。霊斗を頼むな。」


「任しとけって!!」


大和は磔の言葉を聞いて安心したのか、清々しい顔で狭間に入っていった。


「私は上には上がいるって事が知れたわねぇ。ねえ磔?今度こっちの世界に来てみない?」


「いや、1度尾都の世界に行ってるんだよな。無理矢理連れてこられたけど。」


「あらあら、大変だったみたいね。」


磔はその時の事を思い出して顔をひきつらせた。それを見た尾都は何があったのかを察した。


「今度尾都の使ってる術式教えてくんね?」


「これは教えられないわよぉ。でも、こっちの世界に来た時には考えてあげるわね。」


「まあ難しそうだもんなあれ。っと尾都に渡すものは。」


磔が紙袋を取り出そうとした時、尾都が尻尾で磔の動きを制する。


「そんなのはいらないわよ。」


「あれま、じゃあ尾都の師匠とその妻によろしく言っておいてくれ。」


「二人を知ってるのね。任せなさいな、もしかしたら師匠は磔と戦いたがるかもしれないわね。」


そう言い尾都はクスクスと笑って狭間に入っていった。


「おっそろしい事を言って帰るなよ。」


「最後は俺だな。磔、本当にありがとうな。」


「気にすんなよ幻真。また来てくれよな?」


「そっちこそ、また俺の世界に来てくれよな!!」


幻真と磔は笑顔で笑い合い、拳を合わせた。幻真は拳を合わせてない方の腕には紙袋の紐がかかっていた。


「勝手に取っていくなよ幻真。」


「いいじゃないか、じゃあな!!」


幻真は元気よく次元の狭間に入っていった。


「終作君には何もないのかい磔くーん!?俺結構頑張ったんだよぉ!!」


「いや、そもそも終作の好きな物とか知らねえし。何あげたらいいか分からねえんだよ。」


「しまったァァァァァァ!!俺のプロフィールをもっと公開しておけば良かったァァァァァァ!!」


終作は大袈裟に落ち込み、次元の狭間に入っていった。


「まあ、好みの物は勝手に貰っていったぜ!!」


「盗むんじゃねえよ人の物を!!返せ!!」


「知らん!!バイピー!!」


終作はしてやったり顔で磔を見た後に次元の狭間を閉じた。なんやかんやあったが皆無事に送れたようだ。


「俺もこれから頑張るからよ、皆も頑張ってくれよ!!」


磔は笑顔でそう言い、闘技場の方面へと向かっていった。気持ちを改めながら!!

これにてコラボ終了です。参加して下さった皆様、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!

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