プロローグ 前編
いやはや、久しぶりに書いてみましたが、全作は色々とありまして未完に終わっております。
今回は、更新していく気まんまんですので、よろしくです。
真夏の射光にふと立ち止まり空を見上げると一条の飛行機雲がこの地平線の向こうへ続く一本道に沿って伸びている。
気温32度、南西の風は微風。
空は抜けるよな青さで自分の心境を見透かしているようだ。
右手に持つ鞄からずっしりとした重さが伝わり、うっすらと汗も掻いていた。
前方に向き直ると、遠く陽炎が揺らいでいる。
それを見ると、急に喉が渇きはじめた。
逃げ水とは良く云ったものだ。
逃げるだけならまだしも、この暑さに水分補給を促す効果も持っているようだ。
少し休憩にしよう。
道からそれると赤土の乾いた大地に顔を覗かせていた小さな白い花の隣に腰を下ろす。
風に揺られて、花はまるで謳っているようだった。
それが何を謳うのかはわからない。
鞄から、水筒を取り出すとコルクの栓を外す。
だいぶ温くなってしまっていたが渇いた喉を潤してくれた。
そして、そのまま隣で咲く花にも掛けてやる。
出来ることなら、この空を独り占めしている太陽にも掛けてやりたいところだ。
少しは、落ち着いてくれるかも知れない。
花に水をやると、まるで喜んでいるように花は、その頭を縦に振っていた。
コルク栓を閉めると、きゅっと音を立てて水筒は本来あるべき鞄へとしまわれる。
さ、行こっか……
立ちあがると、南西の風向きが変わっている事に気がつく。
そちらの方角を見ると、黒い雲の固まりが青く澄んだ空を飲み込みはじめていた―――




