ラッキー・トロピカルの章
名も無い異世界
その世界には強大な魔力を持つ魔王が存在した
魔王は魔族の血を受け継ぐ化け物
魔物を従え
人、エルフ、ドワーフ
フェアリーに竜人の民達を苦しめた
そんな強大な魔力を持った魔王を倒した
魔女達が現れた
魔女達は魔装機と呼ばれる力を使い
世界を揺るがす力を作ってしまった・・・
魔女達の名は
勇気の魔女 赤のディナ
知恵の魔女 青のレイン
力の魔女 黄のローズ
魔女達は讃えられ
その名を付けられた3つの国が作られた、
ディナガード国
レインオラクル国
ローズストーン国
人族が作った魔装機と呼ばれる機械を恐れた
エルフ族やドワーフ族に竜人の民達は
人族と戦い滅びの末路を迎えた
魔王が滅びてから数十年後
魔王と肩を並べる強力な魔力を持つ
魔王の残党と呼ばれる5体の魔物が出現
ディナガード国 ローズストーン国
レインオラクル国の三ヵ国は同盟軍を作り
魔王の残党と戦い勝利した
人族は魔王の恐怖から世界を守ったが
生き残っていた他種族の者達は
人族に危害を加え、人族を滅ぼそうとしていた
▶︎ネル達の時代から30年前
先代レインオラクル王は
エルフ族と魔族が手を組み作られた組織に殺され
レインオラクルの民達は
生き残りの他種族を抹殺する事を決意した
▶︎ネル達の時代から28年前
先代レインオラクル王の息子
リューズ・レディアントは
15歳と言う若い歳にして
レインオラクル国の王となり、
父や民達を殺した
他種族を滅ぼす事を誓った
ディナガード国やローズストーン国は
他種族との和解を考えていたが
人族の犯した罪は消えず
汚れた血だけが流され続けていた
他国が手間取らせている間に
リューズ王は率先して
他種族をこの世界から滅ぼし続けていた
人と種族の違う者達が
私達と同じ考えを持つ事などできない、
それがこの世界の常識に成りつつあった....
レインオラクル国機士団長
レイノルド・グレイスは王に言った
「他種族の中には
力を持たぬ弱気者や幼い子供も居る!!
王はその者達も殺せと機士に命令するのか!!」
レイノルドは男の機士団長だった、
機士と呼ぶのは
魔装機に乗れる者達魔女の事を言う
魔装機にも乗れないレイノルドが
機士の団長なのは他国には珍しい事だった
大臣
『レイノルド機士団長、
リューズ王の父上は他種族に殺されたのです
その苦しみが貴方には分かるのですか?』
レイノルド
『コレでは我々人族は
悪魔の魔王と同じ事をやっているに過ぎない!!
三ヵ国同盟をもう一度立ち上げ
他種族との和解の道を・・・』
リューズ王
『済まぬレイノルド、誰かが手を汚さなければ
この世界の生命は全て滅びるのだ・・・』
レイノルドは口を噛み堪えその場を去った
入り口で待っていた1人の女性機士は
レイノルドの顔を見て何かを察して言った
「ダメだったみたいですね....」
レイノルド
『来ていたのかランゼリア』
ランゼリア
『団長はとてもお優しい方ですから...』
レイノルド
『ディナガードやローズストーンにも
他種族の者達が暴れ回っていると聞く・・・
血で汚れた土の上で
コレからこの世界に産まれる子供達は
本当に幸せに暮らせるのだろうか・・・』
ランゼリア・グレイス
撃滅戦では前線で戦ったクイーン級の魔女
ランゼリアとその姉はグレイス姉妹と呼ばれる
レインオラクル国の最強の機士だった
ランゼリア
『姉さんは元気にしてますか?
子供がそろそろ欲しいと
メアリア姉さんは言ってましたよ』
メアリア・グレイス
ランゼリアの姉でレイノルドの妻
年齢が30を過ぎると
人間のマナは低下し続ける、
魔装機に乗れる体では無くなったメアリアは
機士を抜け、レイノルドの妻となった
ランゼリアの言葉を聞いたレイノルドは
少し恥ずかしそうにしていた
確かに子供は自分も欲しい、
しかし
機士団長の仕事を疎かにする訳にもいかない
ランゼリアはレイノルド機士団長に言った、
団長は姉さんとの時間を大切にしてください
それまでは私が機士団の者達の面倒を見ます
ランゼリアはクイーン級の強い魔女
彼女になら機士団を
任せられると思ったレイノルドは
ランゼリアの肩を持ち任せると強く言った
▶︎ネル達の時代から26年前
オドマン・ジーンと呼ぶ
レインオラクル国の天才科学者が
魔女の細胞から赤子を作る実験を開始
3000体の量産魔女を作る
この事は
一部の科学者の間でしか知られていなかった、
無論
機士団長レイノルドとリューズ王も知り得ない
▶︎ネル達の時代から23年前
5年の月日で
レイノルドとメアリアとの間に女の子が産まれる
子供の名前を何に決めるか悩むレイノルド、
男で有れば簡単に思い付いたのだが
女性の名前を付けるのに苦悩していた
妻のメアリアは
夫のレイノルドに決めて欲しいと言い、
レイノルドはプレッシャーを感じていた
ランゼリア
『まだ悩んでいるのですか?』
レイノルド
『名前と呼ぶのは
その者の運命を定める事だ・・・・
恥じぬ名を考えてあげねば・・・・』
娘の名前で悩んでいたレイノルドだったが、
この5年で起きた出来事を
機士隊長ランゼリアの目を見て話し始めた
レインオラクル国は
他種族の生き残りを根絶やしにし続けていた
全ての他種族の里を見つけ
この世界から人以外の種族は滅びたと聞かされた
他種族の処刑を
見せ付けるかのようにしていた事を
レイノルドは怒っていた
レイノルド
『本当に必要な事だったのか・・・』
ランゼリア
『わかりません、しかし
人を守るのは人にしかできないのだと
私は思いました・・・・・』
正義はどちらにも無い
唯 生き抜く為には必要な事だった
そう考えなければ報われなかった....
どちらかの血が流れ
その血を誰かの血で塗り替えられる連鎖
誰かが手を汚さなければ
どちらかの種族が滅びるしか無かった
レイノルドは言った、
我々は血を流し過ぎた
その償いをしなければいけない と
レイノルド
『機士団を解体し魔装機を捨て去る!
魔装機はとても危険な兵器だ
魔物を倒す道具としては重宝するが
誰かを苦しめる事も簡単にこなす』
その言葉の重みに
ランゼリアは返答に困っていた
確かに兵器を捨てれば
少しは平和な世界に成るのかも知れない、
しかしそれでは・・・・・
その時
ハッとした顔でレイノルドは何かを思い付いた
どうしたのかと
ランゼリアはレイノルドの顔を見ると
レイノルドは嬉しそうに答えた
「娘の名前が今思い付いた」っと
フェアリア
世界の平和を願い考えた名だった.....
その夜
ランゼリア機士隊長の耳に
疑いたくなるような事が届いた
機士団を解体し魔装機を破棄する
その発言を知ったレインオラクル国の幹部達は
反対派を集い、レイノルド機士団長と
その妻メアリアを殺害した
一歳にも満たない子供を抱き
ランゼリアは低い雄叫びを上げた
▶︎ネル達の時代から20年前
機士団長に成っていたランゼリアの横には
3歳の誕生日を迎えたフェアリアがいた
魔装機学者のイオン・モラクスは
大変だなとランゼリア機士団長に言葉をかけた
ランゼリア
『イオン博士も
身内の子供を預かったと聴きましたよ、
ローズストーン国から捨てられた子供だとか?』
イオン
『ナインの事か・・・
マナの低い者は不要などと考える者も居る、
とても人間の考える事とは思えんよ....』
フェアリアは3歳
イオンの預かっていた子供は5歳
大きくなれば2人が仲良くなればと
ランゼリアは考えていた、
父と母を早くに亡くしたフェアリアには
幸せになって欲しいと思っていた
機士と呼ぶ危険な仕事では無く
別の道を彼女には与えて上げたい
それが幸せだとランゼリアは口にした
▶︎ネル達の時代から15年前
数年前から
ディナガードやローズストーン
他国との機士同士の揉め事が多発していた
少しの歪みが大きく膨らみ
国と呼ぶ人種の違いが争いを産んだ
その頃にはランゼリアの年齢は30を過ぎ
マナの低下で機士団長の席を降りていた
他国との戦争になれば
強い魔女がレインオラクル国には必要に成る
クイーン級の魔女メアリアから産まれた子供、
フェアリアは必ず強い魔女に成り得る
それに目を付けた幹部会の一部の者達は
ランゼリアの手から
フェアリアを奪い取ろうとした
ランゼリア
『貴様ら何をしているのか分かっているのか!!』
レインオラクル国の機士
『ランゼリア元機士団長、
コレは国を守る為に必要な事なのです!!
メアリアの娘は機士と成り
この国の平和の為戦わねば成りません!!』
ランゼリア
『フェアリアの未来は
フェアリア自身が決める事だ!!』
レインオラクル国の機士
『お許しくださいランゼリア元機士団長』
レインオラクル国の機士と戦った
ランゼリアだったが、数の暴力に負け
8歳のフェアリアは
レインオラクル国の機士達に連れて行かれた
フェアリアは育ての親ランゼリアの名を叫んだ
機士達を傷付けたランゼリアは
レインオラクル国の
地下深くの牢獄に閉じ込められ
フェアリアはオドマンと呼ぶ
マッドサイエンティストの元に連れて行かれた
オドマン
『この子の記憶を?』
幹部の男
『お前ならそれが出来ると聞いた、
この女はこの国には必要な道具だ
兵士として産まれた者なのだ』
フェアリアの記憶を消し
レインオラクル国の機士として作り上げる
強い魔女から産まれた
フェアリアのマナは既に高く
機士としての素質は十分に合った
オドマン
『つまり、この娘を
殺戮兵器として作り上げると言うのじゃな?』
幹部の男
『なに?』
オドマン
『お主達幹部会の人間が
何を考えているのかはどうでも良い、
戦争になった時の道具として
この娘を使いたいと思ってるのだろ?』
幹部の男
『・・・・・』
この男は悍ましい
詰まるところの本音をペラペラと喋る
人間と魔物を融合させた怪物や
遺伝子だけで人間を作ったとは聞いていた、
オドマンと呼ぶ男の恐ろしさを
改めて幹部の男は気付かされた
人としての形を保ち
国に従う者ならどうなっても構わない
そう男は返事を返した
怯えるフェアリアに
オドマンは薬の入った注射器を手に持ち近寄る
オドマン
『直ぐに楽になる、怖いのは今だけじゃ』
数ヶ月後
目の色を失ったフェアリアは
何も無い空間に立たされていた
目の前に出てくる
手足を拘束された人間を殺し続ける作業
それを快感に感じたフェアリアは
いつしか自分の楽しみは殺戮だと思い始めていた
記憶を消されたフェアリアは
自分の名前は何なのだとオドマンに尋ねた
オドマン
『この世界に産まれて
幸せなお前の名はラッキー・トロピカルじゃ』
ラッキー
『ラッキー・・・ラッキー・トロピカル!!
私はラッキーなんです!!』
▶︎ネル達の時代から13年前
プルネンと呼ぶ男が次元の壁を開け
未来のプルネンとその機士プラクトが
13年前のレインオラクル国にやって来る
未来からやって来たプルネンは
リューズ王を殺害し、顔を変え
大臣のドルズとして国を動かした
▶︎ネル達の時代から12年前
地下の獄中に居たランゼリアの元に
ドルズ大臣とプラクト
そしてエルフの女がやって来た
痩せ細ったランゼリアは
目の前に立っていたエルフを見て言った
ランゼリア
『エルフ・・・』
エルフの女の名前は
セリア・ノア・テリスティン
後に仮面と呼ばれる者だ
ドルズはセリアに命令した
「お前の力を知りたい、この檻の中の女を殺せ」
セリアはゆっくりとランゼリアに近寄り
ランゼリアの目を見た
ランゼリアは何かを訴える様な目で
セリアの目を見つめていた
セリアには分かった
自分にも守りたい者が存在する、
この者も自分と同じ目をしているのだと...
生命力を失ったランゼリアを見て
セリアの力は本物だとドルズは確信した
ドルズ
『お前も私達と共に戦え、
人間達に怨みが有るのであろう?』
ドルズの返答に答えず
セリアは何処かに行った
その頃オドマンの手には
バリルと呼ぶ幼くマナの高い子供を手に入れ
ラッキーとバリルを兵器として育てていた
▶︎ネル達の時代から11年前
量産魔女として作られた子供で
実験の成功として残ったのは1人だけだった
その者の名前はキラ・デニューク
ドルズは非道な実験をしていたオドマンと接触し
量産魔女のキラを機士団の隊長にする
▶︎ネル達の時代から10年前
元クイーン級の魔女ランゼリアの脳を使い
弱い魔女を強くする強化魔女と呼ぶ
実験をオドマンが開始する
10歳ぐらいの子供達を集め
ランゼリアの脳細胞を子供達の脳に移植する
集めた子供達の大勢は死亡したが
1人だけ耐え抜き生き残った者がいた、
モエ・ヒョウリと呼ぶ13歳の女の子だった
▶︎ネル達の時代から8年前
マナの低い17歳のナインが
ナイト級のキラに魔装機で勝利し
レインオラクル国の機士となった
▶︎ネル達の時代から4年前
ドルズは機士の中でも強い者を集め
No.と呼ぶ組織を設立
番号の数字が決められ
数字の低い者がその者の強さを表す
集められた強い機士達は
己の強さを示し戦った
仮面を被った謎の機士が
誰にも敗北せず1の称号を得、
プラクトが2、キラが3の称号を勝ち取った
メンバーの中でもっともマナが低いナインは
自分の魔装機で皆を倒し4の称号を貰った
最年少14歳の機士バリルは
自分よりマナの低いナインに負け
イラつかせていた
バリル
『ふざけやがって・・・
どうして私があんな奴に・・・』
モエ
『まぁまぁバリルちゃんはまだ若いんだから
コレからもっと強くなると思うよ』
バリル
『ちゃっかりお前に負けたのにも腹が立つ』
強化魔女の成功例
モエ・ヒョウリはバリルに勝利し5の番号を、
バリルは6の番号を受け取った
若返り機士となったオタエ・マンカイバラは8
引っ込み思案で臆病な
クロ・ウツシミと呼ぶ機士は
No.最後の9の数字を獲得していた
オタエ
『皆さん強いどすなぁ』
クロ
『どうして私がこんな怖い組織に・・・・』
ラッキー・トロピカルは
わざと勝敗に負け7の称号を得ていた
ラッキー
『とても縁起が良い番号です!!
やっぱり私はラッキーなのです!!』
1人気持ちよくワハハと笑うラッキーを
皆はマヌケを見る目で眺めていた
バリル
『アイツ頭大丈夫か?』
モエ
『オドマンの洗脳で自我を失ってるんだと思う...』
バリル
『まぁ、俺より弱い奴なんかに興味はねぇーよ』
仮面
『・・・・・』
仮面にはわかった・・・
あの女性が本気で戦えば
私達以上の強さを持っていると....
こうしてNo.は設立し
▶︎ネルが異世界に転生された時代がやって来た
ドルズは
ディナガードやローズストーンを滅ぼそうと
No.を使い戦争を起こすが
No.4のナインが
姫を攫いレインオラクル国を裏切り、
使命を背負い戦った機士達にNo.は負け
ドルズの野望は崩れ去った
ラッキー・トロピカルは
父レイノルドの事も母メアリアの事も
育ててくれたランゼリアの事も
フェアリア・グレイスと呼ぶ自分の名も
全て思い出す事無く
ローズストーン国の機士に負け 捕虜となった
しかし
ラッキーに危険性が無いと感じた
ローズストーン国の機士アズサは、
ラッキーを牢から解放し
魔装機に乗らなければ
この国で自由にして良いと彼女に言った
ラッキーはアズサに感謝し
今は屋台でクレープを作り続けていた
ラッキー
『ふんふんふ〜ん♪
やや!アズサさんではありませんか!』
ラッキーは今も楽しく
ローズストーン国で暮らし続ける
全ての記憶を失い
【レイノルド・グレイス】
レインオラクル国初代機士団長
メアリアの夫 フェアリアの父
【メアリア・グレイス】
レインオラクル国元クイーン級の機士
レイノルドの妻 フェアリアの母
【ランゼリア・グレイス】
レインオラクル国二代目機士団長
ランゼリアの妹 フェアリアの育ての母
【フェアリア・グレイス】
グレイス家最後の生き残り
記憶も名も失いオドマンと呼ぶ男に洗脳され全てを失った




