未知の模擬戦⑨
チームでの仮想戦闘の一戦目をクリアした一同は、いったん休憩を挟むことにした…そこには、様々な姿があった。目をキラキラと輝かせる者、ひたすら冷や汗をかいた者、冷静に場を見続ける者……てんでバラバラのように見えてその実、それぞれの表情には共通して浮かんでいたものがある。
───それは思ったよりもやれそうだ、という自信。
「…とりあえず、お疲れ様。色々言いたいことはあるが、反省会とか作戦会議のやり直しはとりあえず後で。今日は組み合わせや前衛後衛を交代してみたり、連携しやすそうなペアを見つけたらどんどん試す。やっぱりまずはこのチームで動くための慣れが必要だと思った…全員、それでもいいか?」
一歩引いて場をまとめ、即座に方針を固めて出す海野少年はまるでチームのリーダーのようだ。思い返せば月での作戦でもリーダーを務めていたし、実際そうなのかもしれない。そういえば聞いたことなかったな、と気怠げな足をさすりながら俊輔は思った。
「オッケー★シュンスケの加入で幅が広がるのは間違いないし!」
「ウンウン、結局なんやかんやあれこれ作戦立てても、実践してみないとわかんないよねぇ。もちろん賛成よ。佐原井クンとは色々初めてだしとにかくトライアンドエラーっしょ」
「賛同します。」
「お、俺も意義なし!」
海野少年の提案に全員が賛成する。もちろん、事前に決めていた作戦が無駄になったわけではない。おそらく俊輔の前衛、海野少年の後衛は揺るがない。より勝率を上げるために、研鑽のために色々試すのだ。可能性が広がったと実感することができたのだから。
「よし、残り三日間で仕上げよう。あーでも今日は早めに解散して療養な。次の日の夜は作戦会議し直すから、年長者は寝れると思わないように。竹也は無理のない範囲で参加で。無理はするな」
「わかりました。」
「うええええまた夜?!夜は寝かせてよ茂樹っちの鬼!夜は!普通寝るもんじゃん!夜勤本気で苦手なのにー!睡眠大事!というか最近労り足りなくない?ボク頑張ってるのに!もっと褒めるとこから始めてよー!」
「ハハッ!薫っちストレス大爆発じゃん、どんだけ夜苦手なのウケる!でもま一理あるわ、優しさは大事よね、愛は救うんだよ海野クン。主に俺たちの心を」
「ねー!」
「ウンウン!」
さっそく夜苦手組がぶーぶー文句を垂れ始めた。竹谷少年はそんな二人を見ても我関せずといった風に落ち着き払っていた。そんなチームメイトたちを見て俊輔は「年下のはずの竹也くんのほうが大人に見える…」とどこか遠くを見ていた。
「…あのな、お前らは毎回だらしなさすぎ!お菓子没収されたくなきゃ真面目にやれ」
「ちぇっちぇー!仕方ない、グミ没収されたくないし真面目にやるかぁ!…さすがに今回は勝ち残りたいしね!」
「ぶーっぶーぶーぶー」
「やかましいわ、豚かお前は。…よし、二戦目行くぞ!気合い入れてけ!さあ地獄のシミュレーター戦の始まりだ!」
「「「はい!」」」
───こうして大会開催までの三日間、シミュレーション内で仮想戦闘三昧になったのであった。俊輔は普通に筋肉痛になった。
「…あ、そう言えばちょっと気になってたんだけど」
「んー?何が気になるのシュンスケ?」
「この団体戦ってさ、最後まで勝ち残ることができたら何か賞品とかあるの?」
「アレ、言ってなかったっけ?!もちろんあるよ!単純に今の実力を試したいって人もいるけど、基本的にはみんなそれが欲しくて頑張るし!優勝チームに与えられるものはね───【地球における任務の優先権】だよっ★」
「───なんて?」




