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PASS!  作者: 寛世
第1章
14/53

──閑話休題──



 少年は風を伴って音となり、駆け出す。

 別棟の廊下で、窓の外を見つめる少女に向かって。


「───雪姫!!」

「あ…湖礼。おはよう」

「もうこんばんはだよ!体は大丈夫なの?」

「平気。すぐ帰るから」

「そっか…雪姫が学園に来るなんて珍しいね、何ヶ月ぶりかな。もしかして天候崩れる?」


 夕陽が差し込む廊下に二人きり。

 一人は帽子を被った、少し嬉しげな湖礼少年。

 もう一人は車椅子に乗った、長い黒髪の少女。


「本当に、気分なの。何か起きそうな気がして」

「あ、それ半分は当たってる」

「半分?」


 少女の顔が少年に向いた。併せて車椅子が自動で少年の方を向く。


「今日、地球から仲間が来たんだ」

「そう」

「雪姫も仲良くしてあげてほしい!きっと仲良くなれるから!」

「仲良く…なれるかな。こんな、不完成な私と」

「こんな、じゃないよ。君は君、不完成でも何でもない」

「ありがとう。でも、周りからしたら私はただの──だから」


 少女の顔に影がかかる。それに呼応するかのように、少女の周りの空間が突如冷気を帯びた。少年は少し身震いしたが、顔に出さなかった。しかし少女はそれに気づき、両の拳を握りしめていた。


「ごめん私、また……帰る。声かけてくれて、ありがと」

「ううん、また学校でね!」

「…じゃ」


 車椅子が自動(オート)で翻し、廊下の奥へと少女と共に姿を消していく。その姿を見送ってから、少年は音速で元いた教室へ駆けていった。


(雪姫がまさか学校にくるなんて、ほんとびっくりしちゃった!普段は部屋から出てこないのに!シュンスケが来てから、なんだか楽しくなりそうだなあ!)




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