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あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜  作者: 雪野 結莉
最終章 こぼれ落ちた運命は

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最終回

 実家のニルスお父さんに腕を引かれ、わたしは教会の赤いカーペットの上を歩いている。


 ミラーのお父様とニルスお父さんと、どちらが式の時にわたしと歩くかで少し揉めた。

 と、言っても、どちらも主張したとかではなく、どちらも遠慮してお互い「どうぞどうぞ」状態だったのだが、オリバーお兄様の「じゃ、嫁入りの時はミラー家から行く体裁なんだから、ルーク様への引き渡しはニルスさんに頼んだら?」という鶴の一声であっさり決まった。


 しかし、ニルスお父さんは、貴族ではないので今回のような大規模な結婚式での大役は無理だと断ったのだけれど、ミラーのお父様が後見人としてわたしの左側に立ってくれると言うことで話はまとまった。

 わたしは今、ニルスお父さんとミラーお父様に挟まれて歩いている。

 結婚式には珍しいスタイルだが、ルーク様が誰にも文句は言わせないと言ってくださったので、実現したのだ。


 大聖堂のパイプオルガンに合わせて、ゆっくりと祭壇で待っているルーク様の元へと進んでいく。


 向かう先の祭壇の向こうには、隊服を用意する時に協力してくださった大司教様がいた。

 大司教様が結婚式を執り行うことはないのだが、今回はなぜか大司教の方から結婚式を執り行いたいとお申し出いただいた。

 隊服の時の御恩もお返しできていないのに、申し訳ないと思う反面、とても嬉しい。


 広い大聖堂の椅子が全部埋まるくらいの参列者の横を通り、一歩一歩ルーク様に近付いて行く。

 ただでさえ、キラキラとステンドグラスから漏れる光がルーク様を照らして輝いているように見えるのに、ルーク様は神々しいまでの笑みを浮かべていて、ほんとに眩しい。


 ルーク様の前まで来ると、わたしはニルスお父さんから腕を離してルーク様と向かい合った。


「ルーク様、娘をよろしくお願いします」


 ニルスお父さんとミラーお父様は、小声でそう言うと参列者の席へと戻って行く。


「はい……!」


 ルーク様はその後ろ姿を見送って、小声でそう返していた。


 ルーク様と向かい合う。


 ルーク様は心なしか目をキラキラとさせていた。


「ニーナ、きれいだ……」


 子どものように目を見開き、わたしを見つめるルーク様を見てると、昔から変わらないなと思う。ふふっ。


 ルーク様を見つめていると、今までのことが思い出される。

 ジーナとして初めてお会いした時のこと。

 幼いルーク様と一緒に遊んだこと。

 学園で一緒に学んだこと。

 ……ジーナの最期の瞬間に抱きしめてくれたこと。

 生まれ変わって初めてルーク様をお見かけした時は、あまりにも素敵になっていてびっくりしたっけ。

 そして、初めて唇を重ねて……。


 もう目元がうるっとしているわたしを見て、大司教様がくすりと笑う。


「まだ式は始まったばかりなのに、もう泣いていてはもちませんよ? さあ、誓いの言葉をお願いします。ルーク・デイヴィス、あなたはニーナ・ミラーを妻とし、生涯愛し抜くと誓いますか?」


「はい。生涯はもちろん、この命が尽きてもニーナだけを愛すると誓います」

「ほほっ、命が尽きてもですか。さて、ニーナ・ミラー、あなたはルーク・デイヴィスを夫とし、生涯愛し抜くと誓いますか?」

「はい! わたしも、この命が尽きても生まれ変わって、また何度でもルーク様の元に戻って愛し抜くと誓います!」


 ぷっ、と大司教様が笑い出した。


「これはこれは、強い絆でふたりは結ばれているようです。末永く、お幸せに。ここに、この婚姻が成立したことを宣言いたします」


 大司教様の宣言に、場内がわあっと歓声で包まれる。


 こんなにもたくさんの人に祝ってもらえるなんて。


 あまりの嬉しさに、嬉し涙がポロリと落ちた。

 それを、ルーク様はハンカチを出して拭ってくれる。


「ニーナ、泣くなよ。まだまだ、これからもっと幸せなことが起こるから。苦労させた分、その何倍も幸せにするから」

「はい! 何倍も幸せになりましょう! もちろん、ルーク様も一緒に、ですよ!」


 泣き笑いをするわたしを、ルーク様はぎゅっと抱きしめた。


「2人とも、まだ早いですよ。独身者には目の毒ですから、式が終わった後にどうぞ」


 大司教様が、わたしを離さないルーク様を見て笑いながら言う。


「数奇な運命にも負けず、結ばれた2人には、より一層大きな幸せが訪れるでしょう。神様は見ています。悪いことをすれば己に返ってきます。そして、良いおこないも自分に返ってくるのです。努力は身を結びます。もう魔法はなくなってしまいましたが、それを上回る力がわたしたちにはあるのです。ご結婚、おめでとうございます」


 大司教がわたしたちへと、お祝いの言葉をくれた。


「ニーナ!これで、オレたちは夫婦だな」


 満面の笑みを浮かべながら、ルークがそう言い、急にわたしを抱き上げた。


 わわわ!

 これって憧れのお姫様抱っこだよね!


 ルーク様はわたしを抱っこしたまま、くるくると一回転した。


「ル、ルーク様.まだ式の最中」

「ニーナ、オレはこの日を忘れない。ニーナ、生まれて来てくれてありがとう。オレのところに来てくれて、本当にありがとう」


 目を細くしてそう言うルーク様の瞳から、ポロリと涙が溢れている。


 ルーク様の笑顔と、ステンドグラスからの光と、涙すらもルーク様をかがやかせる。



 わたしは、わたしもこの景色はずっと忘れないだろう。


 やっと、拾えたんだ。



 ジーナの時に、指の隙間からこぼれ落ちた運命は、ニーナとして生まれ変わって、ふたたび手にすることができた。




 そして、もう一度あなたに逢えたのだ。





 ~fin~




最終回までお付き合いいただき、ありがとうございました!


おまけでエピローグを書いております。

本日、0:20分公開致します。

そちらもお楽しみいただけたら幸いです。

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