日常②
喫茶店でお茶を飲みながら外を見ると
朝と変わらず真っ青な空。
本当に雲が一つもない。
「今日の空、めちゃくちゃきれいな・・・」
あたしがつぶやくと雄ちゃんも
「珍しいくらい雲がないな・・・」
どこまでもどこまでも広がる青空。
「こんな空見てると、外が気持ちよさそう!」
あたし達は外に出ると深呼吸した。
イヤなことなんかこの世にないってくらい
すっきりした青空だ。
「ねえ、バトミントンしない?」
「いいぜ、言っとくけど俺、うまいからな。」
あたし達は河川敷に行って向かい合った。
雲だけでなく今日は風もない。
「いくよ!」
ラケットを構えてシャトルを打つ。
何度か乱打した後、次第に上から振り下ろす
本気の打ち合いになってきた。
日頃運動しないあたしですが
何を隠そう中学の時はテニス部。
ラケットで打つテニスやバトミントンは
昔から大好きでよくやってたんだ。
「なかなかやるな。」
雄ちゃんはピシパシ打ち返しながら
ちょっと意外そう。
「もっと下手だと思ってたでしょ。」
あたしが言うと
「うん。思ってた。」
「なんでそんなとこ素直に答えるかなぁ。」
と言いながら、バシッと打つと
雄ちゃんはシャトルを打ちそこねた。
「やったぁ!」
喜ぶあたしに雄ちゃんは宣戦布告。
「今日は負けた方が晩飯好きな物おごること!
どう?自信あったらこの勝負受けて立つ?」
「望むところよ!」
「3回先に落とした方が負け。いいな?」
雄ちゃんは上着を脱いだ。
「いくぞ!」
「いいよー」
バシッ。ビシッ。
あたし達の楽しいバトミントンは
いつしか晩ご飯をかけた熱い戦いになった。
5分打ち合っても決着はつかない。
まだ一本もどちらも落としてない。
10分後。
「雄ちゃん、そろそろやめない?」
「じゃ、あかねの負けー。」
「えーーー!やだ。」
15分後。
「ふーう。」
あたしはついに座り込んでしまった。
そしてその前にシャトルがポトン・・・
「疲れたーー。ちょっと休憩しよ。あたしもうだめ・・・」
「はい、これ。」
雄ちゃんは嬉しそうにカルピスを渡してくれた。
「ありがと。」
「思ってたよりあかねはずっと巧かったぞ。」
「雄ちゃんは何でも上手だねぇ。」
「あったりめーだろ!」
ふと雄ちゃんを見ると腕まくりしてアクエリ飲んでる。
そのたくましい腕にドキッ。
おでこにはうっすら汗がにじんでた。
「雄ちゃん」
ん?ってこっちを向いた雄ちゃんのおでこを
ハンカチでポンポン。
雄ちゃんは、ニコって笑って
「手術してるお医者さんみたいだな。」
「さあ、続きやろーぜ!」
雄ちゃん、メッチャ元気です。
あたし達はまた続きを始めた。
あたしも雄ちゃんも負けず嫌い。
晩ご飯のことより、負けるもんかって
結構本気でやった。
だけどねぇ、技術と言うより
圧倒的体力の差で
あたしは雄ちゃんには勝てません・・・・
結果、3対2で雄ちゃんの勝ち。
「でも、よく頑張ったよ。俺相手に。」
変な褒められかたされて
喜んでいいんだか悪いんだか・・・・
「雄ちゃん、だいぶ手抜いたでしょ!」
あたしが言うと、
「え?何のことだ?」
と、しらばっくれる。
まあいいけど。
実はあたし、
最初の15分で体力使い切ってたみたい。
なのに、最後まで頑張ったのは
上手に雄ちゃんが返してくれたおかげ。
ムキになってるみたいだけど
ちゃんとさりげなくあたしに合わせてくれる・・・
そんな優しさが嬉しかった。
「雄ちゃん、晩ご飯何食べたいの?
何ごちそうしたらいい?」
雄ちゃんは
「俺、鍋がいいなぁ。あかねが作ったやつ。」
・・・・・・・・
「エビも入れてな。」
・・・・・・・
「どうしたんだ?」
「そんなんでいいの?」
「そんなんがいいの!」
「じゃ、美味しいの作る!買い物行こうか。」
「よっしゃ!」
いつか、少し風が出てきたけど
空はほんとに真っ青で美しくて、
高い空の上では鳥の声が響いていた。
「疲れたけど、楽しかった。またやろうね。」
「ああ。いつでもいいぜ。でも・・・」
雄ちゃんは、ニヤッと笑って
「あかね、きっと明日は筋肉痛だぞ。」




