誘惑②
冷酒って口当たりはすごく柔らかくて
美味しいからいくらでも飲めちゃう。
一口飲んで、もう一口飲んで、
ついでにグッと開けちゃえ!って、
よせばいいのに飲んでしまった。
冷酒はほんとに危険です。
そして、
「あれ?足に力が入らない・・・」
何だか目がうつろ・・・
「大丈夫?」
田中先生はあたしの顔をのぞき込んで尋ねるけど
「大丈夫!多分♪」
って、何の根拠もないままあたしは答えた。
「じゃー3次会いこっか!」
と、カラオケに。
当然ながらあたし、足取りが怪しい。
「しょうがねーなぁ。」
田中先生はあたしの手を取って
「さ、カラオケ行こう!」
って、連れて行く。
でも、途中で歩くのがつらくなった。
たまたまあったいすに座って
「先いってて。」
って言ったけど
「こんな所に一人おいて行けないだろ。」
って、横に座った。
って、えらく距離が近いんですけど・・・
「ね、歩ける?」
「もう少し座ってるから行ってもいいよ。」
「だぁかぁらぁ・・・ダメだって。」
「何でよぉ」
くしゅん!!
あたしは寒くなってくしゃみをした。
「寒い?じゃ、もうちょっとこっち来なよ。」
って、あたしの肩を抱き寄せた。
「やめてよ!」
あたしはびっくり。
「いいじゃん。別に。」
周りを見れば、げ、ここは・・・
カップルばっかりの公園。
「恥ずかしがらなくても、ここってそう言う所だし・・・」
知ってたの?
じゃ、教えてくれたらいいのに。
そしたらとっとと別の場所に行くのに。
田中先生はあたしの手を掴んできた。
「離してよ!」
「照れなくていいからさ・・・」
「あかね!!!何やってんだ!!!」
あ、雄ちゃん!
一瞬で状況を判断した雄ちゃんは
「すみませんね、こいつが迷惑かけたみたいで。
後は俺が面倒見ますから。」
言葉は丁寧だけど
雄ちゃん、ものすごーーーく目が恐い。
「あれ誰だ?」
「同じ学校の先生。」
あたしが答えると
田中先生は、ばつが悪そうに
「じゃ、よろしく・・・」
と、去っていった。
「なにやってんだよ、ボケッ。」
雄ちゃんは怒ってる。
だけど、あたし、メッチャクチャ嬉しかった。
怒ってる雄ちゃんは無視して
「雄ちゃーん、恐かったよぉー」
って、雄ちゃんの胸に身を預けた。
「俺が来なかったらどうするんだよ。
まったく・・・」
「あたしが困ったら、雄ちゃんは
いつだって助けに来てくれるもーん。ね?」
そう言って、雄ちゃんの顔を見上げると
恐い顔してた雄ちゃんが、
あたしの顔見て笑い出した。
「ったく・・・しょうがねーやつだなぁ。
そんな顔してたら、誰だって手ぇ出したくなるぞ。」
「なによそれ・・・」
「目が色っぽすぎ。
俺以外をそんな目で見るのは許せねー。」
そう言って雄ちゃんはあたしにデコピン。
「いったーぁ」
「さ、このまま帰ろうぜ。」
そう言って、雄ちゃんはあたしの手を取って立たせ、
駐車場へと向かった。
「雄ちゃん、飲まなかったの?」
「ああ、こんな事もあろうかと思ってさ。
飲まなくて正解だったぞ。」
運転する雄ちゃんの横顔を見ながら
改めて、胸がときめいた。
部屋の玄関に着くのを待ちかねて
扉が閉まった瞬間、
雄ちゃんを後ろからギュッと抱きしめた。
「何だよ、あかね?」
振り向いてビックリしてる雄ちゃんの顔見上げて
「大好きなの。」
雄ちゃんはあたしの目をじっと見て
「その目は、俺といるときだけにしてくれな。」
って、あたしを抱きしめてくれた。
「あんまりそんな目で見ると、今夜、寝かせてやんねーぞ・・・」




