元カノ⑤
あたしが目を覚ますともう9時。
外は雨が降っていた。
薄暗いはずだ・・・
「おはよー。」
雄ちゃんが隣で言った。
ギョッ!
「なんて顔してるんだよ。お化けじゃねーから。」
「何でここにいるの?」
「しんじられねーこと言うやつ・・・
自分で 『帰らないで~』とかいっといて。」
雄ちゃんは笑いながらあたしのほっぺを突っついた。
・・・あんまりよく覚えてないんですけど・・・
頭痛いし・・・
二日酔い?
「あんなにストレートに言われちゃ
帰るわけにはいかないだろ。」
ニコニコしながら雄ちゃんは楽しそうに言った。
あたしは何を言った?
「なかなかかわいかったぞ。
もっかい言ってくれねー?」
だからあたしは何を言ったんだー?
「覚えてねーの?」
「うん・・・」
「教えて欲しい?」
「・・・いやいい。恥ずかしいから。」
雄ちゃんは大笑い。
「ま、しらふであのセリフ、
なかなか言えねーよな。」
だから・・・何なのよあたしが言ったのは・・。
思い出しなさい!あたしの頭!
「いつもあれでもいいんだぜ。」
雄ちゃんがあたしの目をのぞき込んでいった。
「はっきり言ってくれたらよく分かるし・・
まあ、あかねの場合言わなくても
だいたい顔に出るから
分かり易いと言えば分かり易いけどな。」
少しずつ記憶のかけらが繋がってきた。
帰らないでって追いかけたこと
酔いに任せて思ってること全部言ったこと
雄ちゃんに抱きついたこと・・・
思い出すと恥ずかしい・・・
布団で顔を隠すあたしの手を
雄ちゃんは
「だーめ!」
って掴んで
「そうやって隠れるのはダーメ。
顔隠すときは、こうやんだよ。」
って、あたしをギュッと抱きしめた。
幸せすぎて頭クラクラしてきた。
雄ちゃんは、あたしを胸に抱いたまま
「前にも言ったけどさー。
迷ったり疑ったりするんじゃねーぞ。」
今まで絶対言わなかったんだけどと前置きして
雄ちゃんは、ぼそっと言った。
「今まで分かれた理由のほとんどが
それだったから・・・」
そうだったの・・・
っていうか、そんなにたくさんの彼女がいたの・・・
ふーーん
「そう来るか・・・」
雄ちゃんはあたしの顔みてニヤッと笑った。
「俺、もてるもん。しゃーないじゃん。」
自分でよく言うよ・・・
「だけど、精一杯守るから。
ちゃんとついてくるんだぞ。いいな。」
「雄ちゃん・・・」
「返事は?」
「はい。」
嬉しくって朝からうるっとした。
雄ちゃん、朝から泣かさないでくれる?




